公平な選挙制度を!


by sea_of_sound_2008
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選挙制度 多様な意見の受け皿も必要
2009年9月1日

 8月30日に投開票された衆議院議員選挙は、民主党が308議席を獲得し圧勝した。自民党を軸に動いてきた日本の政治が大転換を迎える。

 「政権選択選挙」と位置付けられた今回の総選挙は有権者の関心を集めた。「歴史的転換期」を前に投票率も上がるであろうと思われたが、期待された割には意外に伸びなかった。県内の投票率は64・95%、全国は69・28%だった。

 「選挙に金が掛かり過ぎる」と中選挙区制から小選挙区制に移行した1996年以降では過去最高の投票率となったが、前回選挙に比して県内では2・6ポイント、全国では1・8ポイント上がったにすぎない。

 投票率が上がらなかった要因の一つとして現行の小選挙区制が挙げられる。各党とも候補者の擁立に苦慮している。大政党以外、多数の選挙区に候補者を立てにくい事情がある。

 それだけ、有権者の「選択肢」が奪われる結果になっている。

 選挙後、比較的若い世代の会員が多いインターネットのサイトで、会員を対象にしたアンケート調査が行われた。

 約24万人が回答し、「投票しなかった」有権者は25・3%を占めた。そのうち24・8%が「投票したい候補者・政党がない」と答えている。

 今回の選挙は「政権交代」を旗印にした民主と自民・公明両党との対決を中心に進められてきた。

 従来の自・公の政権運営に「ノー」を突き付けたい有権者は民主に投じるしかなく、各種世論調査で民主有利が示される中で、「勝敗は既についている」「投票しないのは精いっぱいの判断」とする無力感派や苦渋の判断をした有権者もいる。

 大政党間で争われる小選挙区制の選挙は「風」に左右される要素が少なくない。4年前の「郵政選挙」や今選挙が如実に物語っている。けれども「風」に押し流される選挙であってはならない。

 国民の価値観が多様化する中で小政党が担ってきた「少数意見」を、どう国政に届けるか。二大政党制の流れの中で、さまざまな意見の受け皿をどうするのか。

 例えば、現行制度でも選挙区と比例区の定数配分を比例区に厚くするだけで選択肢はより広がる。国民の声を吸い上げる多様な方策についても論議を重ねたい。

引用元:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-149267-storytopic-11.html

 比例区の定数を増やすという案に賛成。大政党に有利、少数政党に不利、という小選挙区制の弊害は今回の選挙でも証明された。民主党が提案している比例区の削減の先に待っているのは、改憲である。自民と民主しか選択肢がないなんて冗談じゃない。
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by sea_of_sound_2008 | 2009-09-04 08:06 | 政治

*このエントリは衆院選・国民審査関連のリンク集です。随時更新されます。一番上に表示されるので最新エントリを見るには下にスクロールしてください。もしくはRSS対応のブラウザかRSSリーダーをご使用下さい。











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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-31 00:00 | 政治
河北新報 - 09衆院選政権選択/政策競争が歴史の扉を開く

 二大政党化の利点ばかりが強調されるが共産、社民、国民新など小政党の役割を軽視するわけにはいかない。大政党がすくい切れない環境や平和など生活に密着した政策課題を提示し、存在感をアピールしてほしい。

引用元:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2009/08/20090819s01.htm (魚拓)

新潟日報 - 09衆院選 連立の在り方も考えたい

 1994年に成立した「自社さ」政権以降、国政では比較第1党の座を占める自民党を補強し、安定させる形で連立政権が続いてきた。しかし、本格的な二大政党時代を迎え、政治状況は大きな転換期にある。

 そうした時代の中で、情勢によっては小政党の政権への影響力が強さを増していく可能性がある。

 社民党と国民新党はそのことを自覚し、総選挙後に担うかもしれない責任を踏まえた対応をしてほしい。変化を見せてこそ、国民に「政権選択」選挙を実感させることになる。

 有権者もこれまで以上に連立政権の在り方に目を凝らしたい。それは二大政党制の中で政治や政策の二者択一化が進むことを防ぎ、多様性を確保することにつながるはずだ。

引用元:http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/index.asp?syasetsuNo=2168 (魚拓)

神戸新聞 - 二大政党化/重み増す「第三の選択肢」

 野党3党も、共通公約を公表した。

 社民党が重視する製造業派遣の原則禁止や障害者自立支援法の廃止、国民新党が党是とする郵政民営化の抜本的見直しなどを柱に据える一方、3党間で隔たりの大きい外交・安全保障政策の言及は避けた。

 社民党はマニフェスト(政権公約)で「新しい連立政権を目指す中で基本政策を実現」と明記した。しかし、かつての自社さ政権で自衛隊容認などの方針転換を重ね、「護憲」の主張がぼやけて議席を減らした苦い経験がある。改憲派が少なくない民主との連立でも、いずれぶつかる壁だろう。

 国民新党は「政権にはすり寄らない」としており、独自色を強めて影響力を行使する狙いのようだ。

 野党共闘と一線を画す共産党は「建設的野党」を宣言。民主政権が誕生すれば、後期高齢者医療制度の廃止など一致できる政策には協力するという。従来の絶対的野党から現実路線に一歩踏み込み、政権交代を党勢拡大につなげる試みといえる。

 このほか、先日結成されたみんなの党や改革クラブ、新党日本などが政界再編も視野に議席獲得を目指す。

 小選挙区制度で二大政党化が進むほど、二者択一に収まらない多様な意見をくむ「第三の選択肢」は重みを増す。その旗をしっかり掲げ、存在価値をアピールできるか。自、民以外の政党の踏ん張りが日本の議会制民主主義の在り方を左右する。

引用元:http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0002240711.shtml (魚拓)

徳島新聞 - 衆院選公示 この国をどの党に託すか

 多様な国民の声を政治に反映させるには、二大政党だけではなく、他の政党の役割も重要だ。

 公明党の太田昭宏代表は「景気回復に全力を挙げ、医療、介護、子育て、若者の雇用支援に力を注ぐ」とし、共産党の志位和夫委員長は「大企業に応分の負担をさせ、軍事費削減のメスを入れる」と強調した。

 社民党の福島瑞穂党首は非核三原則の法制化や、仕事、暮らし、地域の再建を目指すとし、国民新党の綿貫民輔代表は郵政民営化の見直しを訴えた。

引用元:http://www.topics.or.jp/editorial/news/2009/08/news_125064212584.html (魚拓)

琉球新報 - 09衆院選きょう公示 選択に値する政策論争を/公約と実行力を吟味したい

少数意見どう反映
 ……有権者の間では、二大政党への関心が強まるが、判断材料が二つに一つということでは、そこから漏れてしまう少数意見が政治に反映しにくいという弊害も出てくる。

 政治への不信感は、政党や政治家の姿勢に由来する点も大きい。日ごろからこの国の針路について、真摯(しんし)に思案し、行動することで有権者の信頼を得ることができよう。

 自公連立政権の維持か交代か、政権の枠組みへの国民の高い関心が集まる。だが、自民と最大野党の民主の主張には、県民が関心を持つ外交・防衛政策などの違いが分かりにくい。2党の動向ばかりに目が奪われていては、選択肢を狭めてしまうと危惧(きぐ)する有権者もいるだろう。

 有権者は、確かな目で候補者を判別したい。そのためにも、より幅広く政党や候補者の主張に耳を傾けることで、適切な政策を見つける努力をしたい。政党や候補者は、有権者の審判に堪え得るよう具体的な施策を提示し、主張してもらいたい。

引用元:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-148608-storytopic-11.html (魚拓)

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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 11:24 | 政治
社説:’09衆院選 政治改革 己に甘すぎないか

 今回の総選挙でも「政治改革」は争点の一つになっている。各党のマニフェストでも、公務員改革などは積極的な半面、政治家に課せられるテーマは歯切れが悪い。特に自民党は具体策に欠ける傾向が目立つ。

 世襲議員の制限は自民、民主、公明党などが具体策を提示している。いずれも、前職議員が引退などした場合、その配偶者および3親等以内の親族が同一選挙区内から立候補しても、「公認または推薦しない」方針を明示している。問題は実施時期で、民主党は09年からの適用を打ち出したが、世襲議員が多い自民党は「次回から」と、延引している。

 政治資金問題で焦点になっている企業・団体の献金、パーティー券購入を民主党は3年後に全面禁止することを明示した。相次ぐ党首脳の献金不正問題を抱えているとはいえ、この種の方針転換は歓迎したい。公明党は政治資金規正法の制裁を強化し、不正議員には公民権停止を科すよう求めている。一案だ。

 一方、自民党は、政治資金の透明性を確保する措置を「1年以内に結論を得る」にとどめ、具体策の提示を避けている。政党助成金として税金が投入されて以来、政治資金への国民の視線は一段と厳しくなっている。もっと留意すべきだ。

 政治の責任を大いに指摘したいのは国会議員の定数削減と1票の格差是正問題だ。自民党は「衆院を次回から1割以上、10年後には衆参両院で3割以上の削減を目指す」と、うたう。民主党は衆院の比例代表議席を80減らし、より小選挙区重視の選挙制度に変える方針を打ち出している。1票の格差を抜本的に是正しようと、47都道府県に1議席ずつまず配分する「基数配分」の廃止を提唱している。

 これに対し、公明党は新しい中選挙区を導入し、定数の大幅削減を行う方針を掲げ、共産党は衆院の比例代表の削減は「間違った政治」と指弾。社民党は「比例代表中心の制度への改革」と主張している。

 選挙制度の手直しは各党とも党勢に重大な影響を与える。党利党略に走りやすいが、少数意見を極力取り入れるか、政権交代を常に意識できる2大政党制を促進させるかは、「国のあり方」そのものだ。大いに論議を深めてほしい。

 早々に着手しなくてはならないのは、1票の格差是正だ。衆院は2・3倍に、参院にいたっては4・9倍にも達している。衆院は10年に1度の国勢調査の結果を踏まえ2倍以内に是正されるが、参院は是正策を設けていない。国民の基本的権利に、これほどの格差は許されない。

引用元:http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20090814ddm005070053000c.html (魚拓)

 深刻な問題であるわりに、触れられることの少ない民主党の比例区議員定数削減を、採り上げたのは評価できる。一票の格差問題や他党の選挙制度について、書いているのも良い。しかし、その分民主の政策の危険性には触れられていないのは失点。
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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 11:05 | 政治
二大政党制 多様な民意をどうする

 衆院選の最大の焦点は、紛れもなく政権選択。自民、民主両党ががっぷり四つに組んだ争いを展開している。わが国でも、政権交代が可能な二大政党制の時代が幕を開けたといえるかもしれない。

 とはいえ、この衆院選で定着するかは未知数だ。両党とも国民のすべての思いを代弁できるわけではない。ましてや、選挙結果によっては政界再編もありうる。

 直近の国政選挙だった2007年の参院選は民主が大勝し、自民は初めて第1党から転落した。比例代表の得票率を見ると、民主が39%、自民が28%を獲得した。一方、公明、共産、社民、新党日本、国民新党の各党は合わせて30%を超えた。

 自民が圧勝した05年の衆院選の比例代表でも、自民と民主の数字が逆転しただけで、他の5党の得票率は30%余で変わらない。この数字は極めて重い。

 有権者の価値観は多様化している。選択の基準となるテーマは経済、環境、福祉、護憲、地方など多岐にわたる。比例代表ではそれが率直に表れる。決して二者択一の枠には収まりきれない。

 二大政党の「受け皿」からこぼれ落ちる層が常にあることを思えば、多様な民意をくみ上げるシステムはあった方が良い。

 この点で選挙制度の変革には慎重であるべきだ。民主党がマニフェスト(政権公約)で、比例代表を大幅に減らそうとしていることは疑問だ。自民党も削減をうたっているが、その対象は明確にされていない。

 国民が二大政党制を望んだとしても、ゆっくりと収れんされていくべきものだろう。制度によって強引に推し進めるものではない。それは少数意見を捨てることになる。

 自民党が公明党と連立してから既に10年近くの時間がたつ。一方、民主党もこの選挙で勝てば、社民、国民新両党との連立政権をつくることを明言している。日本の政治は間違いなく連立の時代になっていく。

 小政党はそこに活路を見いだせるのではないか。少数意見を代弁しながら、連立相手の大政党の暴走をチェックする機能が期待される。自公政権では公明党がその役回りだった。

 社民党が民主党中心の政権に参加すれば、安全保障の問題は政権の火種にもなるが、内からブレーキを踏むこともできる。是々非々の「建設的野党」の立場を表明した共産党は、外から政権をチェックする道を選んだ。

 政権を争う二大政党のはざまに埋没するのか、それとも確固とした存在感を示せるのか。小政党は重大な岐路に立っている。

 この選挙で政権交代が起きたとしても、起きなかったとしても、望みたいのは国民の思いが離れれば主役の座から退場させられるという緊張感のある政治だ。

 この選挙はそうした状況をつくり出せる絶好の機会。ぜひ生かしたい。

村井康典(2009.8.20)

引用元:http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2009/m08/r0820.htm (魚拓)

 全国紙にない視点を求めて、衆院選公示前後の地方紙をかなり見て回ったのだが、はっきり言って失望した。ほとんどが「政権交代」「政権選択」「二大政党制」といったキーワードで組み立てられたものだったからだ。その中でこの岩手日報の「論説」は貴重である。

 おおざっぱな枠組みでは肯定しつつも、二大政党制にはっきりと疑念を投げかけている。以前から言われていたように、自民・民主以外に投票する人々は約三割いるのだ。「比例代表を大幅に減らそうとしていることは疑問」と民主党マニフェストを批判しているのも良い。民主党は三割もの民意を切り捨てるのかと言いたい。
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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 10:33 | 政治
 自民党と民主党の両党が、マニフェストで議員定数の削減を競い合っている。民主党のマニフェストには「衆院比例区80削減」が盛り込まれた。自民党のマニフェストも「衆参両院議員の総定数3割以上の削減」を盛り込んだ。この一致は何を意味するのか。


「民意」を偽装する小選挙区制

 小選挙区比例代表並立制が採用されて以来、この国の選挙制度は「民意」を歪める装置として、また作り出す装置として働いてきた。現行の選挙制度の元で行われる選挙結果は、少数派の意思が圧縮され、多数派の意思が増幅されたものでしかない。

 なぜ現行の小選挙区制は、有権者の意思を反映しないのか。それは一つの選挙区で一人しか当選者のいない、「勝者総取り」の小選挙区を中心にしているからだ。

 小選挙区では、二位以下がどんなに票を集めていても、選ばれるのは一人の勝者であり、その他の候補への投票は、死に票となって有権者の意思は大きく切り捨てられる。得票率が過半数に満たない候補が、選ばれることも起こる。その場合、過半数の「民意」がその勝者を選ばなかったにもかかわらず、無視されることになる。

 このような特質のため、「勝つ」候補が票を集める傾向にある一方で、「勝てない」候補への投票は避けられる。政策的には他の候補を支持しているのに、「勝てない」という理由で「勝つ」候補に投票する有権者も現れる。有権者の「民意」はねじ曲げられる。

 小選挙区制は、有権者の「民意」を偽装する。

 小選挙区の弊害を補い「民意を反映」するのは、比例区だとされてきた。得票数に応じて議席が配分される比例区は、小選挙区に比べて「民意を反映」している。だが民主党案によれば、その比例区を一挙に80議席も削減するという。つまり単純小選挙区へ近づくということだ。そうなれば小選挙区の弊害は増幅される。


鳩山代表は細川内閣の官房副長官

 小選挙区制が導入された当時、政府は「民意の反映は比例代表制で補う」と答弁していた。逆に言えば小選挙区は「民意を反映」しないと認めていたのだ。その細川内閣で内閣官房副長官を務めていたのが、鳩山由紀夫である。

……政府は「民意の反映は、比例代表制で補う」と答弁した。小選挙区制に対する「民意を反映しない」という批判を否定できずに、かろうじて比例代表制を加味することで、議会制民主主義を担保できるというものであった。

引用元:http://www.jlaf.jp/iken/99/iken_990500.html

 その鳩山が代表を務める民主党が、今度は「ムダづかい」と称して衆院比例区を狙い打ちするのは、欺瞞である。鳩山は比例区削減が「民意」を切り捨てることであると理解しているはずだ。「国会議員も身を削る」等と言われているが、実際に削られるのは、国民の「民意」であり、選挙権の効果であり、意見の多様性であり、少数野党の議席である。民主党は痛まないどころか、議席占有率を高めることが出来る。

議員数の削減は改革詐欺

 民主党のマニフェストを見ると、「天下りのあっせんの全面的禁止」や「国家公務員の人件費削減」等と並んで、「衆議院の比例代表定数の80削減」が「ムダづかいをなくすための政策」、「行財政改革」とされている。これを読んだ人には「国会議員の数は多すぎる、しかもその維持に相当のお金がかかっている」といった予断が植え付けられることだろう。はっきり言って詐欺である。

 上で述べたように、1) 比例区は「民意の反映」の為の存在であり無駄ではない。2) 日本は海外と比べると、国民の数に比べて国会議員の数が多いとは言えない。国民の多様な意見を国会に届けるためには、議員はもっと多い方がいい。3) 議員を削減することで得られる予算はそれほど多くない。「土佐高知の雑記帳」の試算によると、議員を80人減らすことで浮くのは年額44億円に過ぎない。「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」の試算でも、「議員定数80を削減した場合の公金削減分」は、約54億1853万円に過ぎない。

 それでも約50億円という数字は多いと感じる人がいるかもしれないが、引用した二つのブログも指摘しているように、政党助成金は年額約320億円と文字通り桁違いだ。国会議員にかかる費用は、有権者の意志を国会に届け、民主主義を実現するためのコストであり、「ムダづかい」ではない。

 国会議員が何のためにいるのかを考えよう。国会議員は主権者である国民の代表者だ。それを減らすことは国民の権利を踏みにじることを意味する。

本当のオルタナティブがなくなる

 自民党と民主党がともに議員定数の削減を目指していることは、この二つの党が制度的に二大政党制を完成させ、少数政党を排除しようという共通目標を持ったとみなせる。これはまず両党にとって都合の良いルール作りを進めて、どうするのかは後に持ち越そうという、手続き面での暗黙の合意であるのかもしれない。実現すれば両党が基本的に一致する政策が、なし崩し的に進められる可能性がある。

 改憲や海外派兵に反対することが難しくなるだろう。財界の支配にメスを入れることが難しくなるだろう。大企業・富裕層からの再分配が難しくなるだろう。消費税増税に反対することが難しくなるだろう。特に危惧せざるを得ないのは、将来の憲法改正を見据えつつ、改憲派で議席を確保したいという狙いが透けて見える点だ。議席数は憲法改正の発議は勿論、改憲手続き法(国民投票法)の規定にも直結する。

 「政権交代」が最優先視されるこの衆院選において、改憲や消費税は大きな争点とはなっていない。にもかかわらず、ここで予め未来を方向付けるようなことを決めて良いのか大いに疑問だ。まず大政党に有利な「民意」は増幅し、そうでない「民意」は縮小するルール作りをしよう、という姿勢は間違っている。


国民は二大政党制を望んでいるか

 そもそも国民は二大政党制を望んでいるのだろうか。朝日新聞の調査では、「自民と民主の二大政党以外の政党にも勢力を伸ばしてほしい」と思う人が54%と過半数いる。去年のデータながら、読売新聞の調査では、自民党・民主党の両党に不満を感じる人がそれぞれ8割いる。7月の読売の調査も同様の傾向を示している。

 国民は積極的には二大政党制を支持していない。にもかかわらす二大政党化が進んでいるのは、最初に述べたような小選挙区制のカラクリによる。


二大政党制は「偽装された民意」

 小選挙区制が導入された当初の目的は、リクルート事件などを受けて、腐敗した金権政治をただすことにあった。国民が二大政党制のレール作りを望んで、細川政権に高い支持を与えたとは思えない。だが今や政界・財界・マスメディアがスクラムを組んで二大政党制を既成事実化しようとし、国民が二大政党制を望んでいるかのように「民意」が偽装されている。

 民主党が次の衆院選で大勝すれば、「民意」の支持があったとして、衆院比例区の削減を躊躇しないだろう。そうなれば自民党に比べて「リベラル」な政権が誕生しつつ、社共は排除されて、政治全体としては大きく右寄りになる。

 問題となるのは、今の民主党が隠している改憲や海外派兵、消費税増といった志向性だ。「政治改革」の名の下に小選挙区制を導入した細川政権のように、自民ですらやれなかったことを非自民政権がやる、という逆説が繰り返されるかもしれない。そして議員定数の削減は、そのための布石となる。

 この政治状況下で本当のオルタナティブとなるのは、社民党や共産党だ。しかし今度発表されたマニフェストは、そうした選択肢を選ぶ権利すら国民から奪おうとしている。



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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-17 23:58 | 政治
 「民主党マニフェストに“ダメ出し”するのがメディアの仕事か?」と題された記事で、ジャーナリストの上杉隆が、大政党のマニフェストだけがマニフェストと呼ばれるべきであり、少数政党のものはマニフェストとは呼ばないと、以下のように主張している。これは本当だろうか?

 マニフェストは「政権公約」と訳されることからもわかる通り、政権獲得が期待される政党が、今後の数値目標や工程表などを具体的に示した上で、施政に関して有権者に約束するものである。

 そうした意味でいえば、自民党と民主党以外の政党の「マニフェスト」を、マニフェストと呼んでいいのか疑問の残るところだ。

 少なくともマニフェスト発祥の地・英国では、少数政党のそれは「マニフェスト」とは呼ばない。

引用元:http://diamond.jp/series/uesugi/10088/

 検証の為さっそくBBCのサイトで「lib dems manifesto」と検索してみると、あっさり保守党でも労働党でもない、イギリス自由民主党のマニフェストに関する記事が見つかる。ここでは二本の記事を紹介しておこう。一本目の記事では、自由民主党のマニフェストを紹介(マニフェスト自体もダウンロードできる)、二本目の記事では。それに対する人々の意見を紹介している。この上杉の主張が全くの嘘であることがわかる。

 どうやら上杉は我々の知るイギリスとは異なるイギリスを知っているらしい。たぶん時間を気にする白ウサギに導かれて不思議の世界にさ迷い込んだのだろう。

 更に付け加えると、民主党が連立政権を組む場合を想定すれば、社民党・国民新党のマニフェストも視野に入れるべきだが、この記事にそのような視点は全く無い。このような独断と偏見は、民主党への過度の傾倒と少数政党への蔑視に基づくものである。
時事 - 共通政策、8月中旬に=3野党

 民主、社民、国民新の野党3党は31日午前、国会内で幹事長や政策責任者による会合を開き、衆院選で訴える3党の「共通政策」について、8月中旬の早い段階で成案をまとめる方針を確認した。3党は与野党逆転を実現した場合、これを土台に連立政権樹立に向けた協議を進める見通しだ。

 会合には民主党の岡田克也幹事長、社民党の又市征治副党首、国民新党の亀井静香代表代行らが出席。3党がそれぞれのマニフェスト(政権公約)の内容を紹介した。又市氏は「憲法理念の実現」など四つの基本政策を説明し、「新しい連立政権の中で実現すべき政策だ」と訴えた。

引用元:http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009073100058

 また同記事は、「そもそもマニフェストは実現可能性を問うものではない」との理由で民主党を弁護する。しかし結論から言うとこれもデタラメである。
 そもそもマニフェストは、実現可能性を問うものではなく、将来の政策を示し、その達成度合いをチェックするための指針なのである。よって、メディアに期待されるのは、未来の実現可能性を問うことではなく、現実(過去の)のマニフェストの達成状況を検証することではないか。

引用元:http://diamond.jp/series/uesugi/10088/?page=3

 今度はマニフェスト選挙の主導者である「21世紀臨調」のサイトを覗いてみよう。「政権公約(マニフェスト)に関する緊急提言~新政治改革宣言・政党の立て直しと政治主導体制の確立~(pdf)」という文書には、以下の記述がある。

 また、マニフェストで具体的な数値目標などが設定されるということは、①そもそも政策の実現には財源その他の資源的裏付けが必要であること、②この資源は有限であるため、あらゆる願望をすべて実現することはおよそ不可能であること、③だからこそ、掲げた政策の実現可能性が問われるということを、国民と政党の双方に自覚してもらう効果をもつ。検証可能な具体的な目標の設定により、政党は政党間競争を通じて実現可能な政策の立案能力を鍛えられ、政権を獲得した後はその結果が厳しく検証される。

……これまで日本の政党の「選挙公約」は、国民にとっても、候補者にとっても重要視されてはこなかった。しかもその内容は、検証が不可能であるような抽象的な目標や願望を総花的にあれもこれもと羅列したものにとどまり、具体的な政権イメージを惹起できず、実現可能性は無視され、実行体制も構築されず……

 マニフェストは、①政治の機能がダイナミックな選択にあること、②政党の機能は社会の多種多様な利害・関心を複数の選択肢に集約する機能であること、③政党が掲げる政策は、資源の裏付けを含め、実現可能なものでなければならないことを明確に再認識させる。

*強調は引用者

引用元:http://www.secj.jp/pdf/20030707-1.pdf

 明らかにマニフェストは、その主導者たちによって「実現可能性」を問うためのものとして規定されているのである。「マニフェストは実現可能性を問うものではない」とする上杉の定義は、一般性を持たないローカルな「オレ定義」に過ぎない(実現可能性にこだわるマニフェスト選挙自体問題である)。

 上杉は事実に基づかない定義を振りかざして、「まだ打席にも入っていない民主党」のマニフェストを批判するよりは「長い間バッターボックスに立っていた」自民党のマニフェストを検証せよと言う。政権を獲る前から財源に固執する主張には賛同できない(というよりそれがマニフェスト選挙の弊害だ)し、その指摘も正しい。しかしこのような奇妙なレトリックを用いてまで民主党を擁護するのは、詭弁であり贔屓の引き倒しと言うべきである。

 ところで、彼自身が同連載の別の記事で書いているように、民主党は大連立という八百長試合をやりかけた政党である。「まだ打席にも入っていない民主党」ではなく「無理矢理打席に入ろうとしたことがある民主党」というべきだろう。そしてこの記事に明らかなように、少数政党はバッターボックスに立たせてもらえないどころか、ベンチ入りすらさせてもらえない。

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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-13 18:32 | メディア
 マスメディアは自民党と民主党に報道を集中させている。本当に「民意」は自民党と民主党のみを求めているのだろうか。二大政党制を望んでいるのだろうか。世論調査は異なる事実を伝えている。


……自民と民主の政策に「はっきりとした違いがある」と思う人は28%で、「あまり違いはない」は64%に上った。「民主党政権」で日本の政治は「良くなる」は26%、「悪くなる」9%で、「変わらない」59%が最も多かった。

引用元:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20090704-OYT1T00747.htm

 自民党と党民主の政策に「あまり違いはない」「民主党政権で日本の政治は変わらない」が6割。「はっきりとした違いがある」「民主党政権で日本の政治は良くなる」は30%弱。

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引用元:http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20090704-OYT9I01060.htm

 上の記事のグラフ。自民党と民主党のどちらも「これからに不安を感じる」が約8割。「これまでに失望を感じている」は過半数。これは「これからに期待している」や「これまでに満足している」に大きく差を付けている。

◆今度の総選挙で、自民と民主の二大政党以外の政党にも、勢力を伸ばしてほしいと思いますか。そうは思いませんか。

 勢力を伸ばしてほしいと思う 54
 そうは思わない       38

*改行と空白を調整

引用元:http://www.asahi.com/politics/update/0802/TKY200908020173_01.html (魚拓)

 自民党と民主党の二大政党以外の議席増を望む人が、54%で過半数。

 次の調査は去年のものだが、興味深い結果が出ているので、参考としてリンクのみ示す。


 読売の調査結果からは、人々が自民党と民主党の双方に、大きな不安感や失望感を持っていることが見て取れる。また両党に際だった違いはないし、政権交代しても大きく変わらないと認識しつつ、どちらかと言えば民主党に期待する姿が浮かび上がる。そして朝日の調査結果からは、自民党より民主党を支持しつつ、過半数が二大政党制は望まないという結果が出ている。

 こうした調査結果にもかかわらず、なぜ民主と自民だけが採り上げる価値があるとされるのだろうか。それはやはり一つの選挙区で一人しか当選しない小選挙区の存在が大きな理由だろう。二大政党の候補のどちらが勝ってどちらが負けるかに注目が集まり、第三党以下は蚊帳の外に置かれてしまう。

 かつて小選挙区制が導入された時、政府は小選挙区は「民意を集約」するものであり、比例区は「民意を反映」するものだと説明した。それに倣って言えば、現在の報道は「民意を集約」する「小選挙区型報道」と言うべきものであり、「民意を反映」するべき「比例区型報道」が無いと言える。

 それは上の世論調査も例外ではない。読売の世論調査は、自民党と民主党のみを採り上げている。朝日の世論調査も、自民党と民主党から選ばせる項目が多い。これらは勝ちそうな二人の候補のどちらかを選ばせる小選挙区の論理そのものである。

 二大政党制に回収されない「民意」がこれ程あるにもかかわらず、何故無視されるのか疑問である。需要があるのだから、それに応えれば良いではないか。単純なことだ。そうしないのは、マスメディアの主体性の問題だ。これでは世論を誘導しようとしていると言わざるを得ない。

 自公退場を望む声は強い。しかしそれが民主支持となって現れているだけでなく、自民と民主の双方を疑う視点も持ち合わせていることにも注目しなければならない。しかしこの二つの流れの内、マスメディアは前者のみを採り上げて、後者を無視し続けている。

 心配なのは今後選挙戦が盛り上がるにつれ、あるいは前評判通りに民主党が勝利した時に、「民意」は二大政党制を望んでいると既成事実化されてゆくことだ。選挙結果や報道のあり方によって「民意」が左右されることを思えば、そうなりかねない。それが選挙前の「民意」とは異なることを記しておくと同時に、そうなる前にマスメディアが、「民意」に反するこうした報道姿勢を転換することを望む。



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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-13 16:12 | 政治
 最近細川政権のことを考えることが多い。おそらく衆院総選挙後に出現するであろう民主党政権が、どういった性格のものになるかを考える上で、示唆するものを与えてくれそうだからだ。そう思っていたところ、今日8月9日付の朝日新聞朝刊に、細川護熙元首相とその参謀役だった田中秀征のインタビューが載っていた。

 細川政権は初めてが多い政権だった。初めての非自民政権。初めて首相としてアジア・太平洋戦争を「侵略戦争、間違った戦争」と明言。初めて小選挙区制を導入。清新なイメージがあり、「政治改革」を掲げて高支持率を得た。ここから現在まで続くポスト55年体制の政治劇が始まった。

 いろいろと考えさせられるところの多いインタビューだが、今と繋がるテーマとして私が特に注目したいのは、「侵略戦争」発言、小選挙区制と二大政党制、そして改憲のことだ。

 「侵略戦争」という発言は、就任後初の記者会見でなされたものだ。しかし、その後の所信表明演説では「侵略行為」という表現に後退した。当時はどういう経緯で「侵略戦争」発言がなされたのかと、舞台裏を探られた。このインタビューでは、「もう少し言葉を尽くして説明すればよかったと思わないでもなかったが、明快に言ってしまった」と答えており、細川個人の英断があったことを窺わせる。

 ――細川さんは政権発足直後の記者会見で、先の大戦について「侵略戦争だった」と答えられました。

 細川 もう少し言葉を尽くして説明すればよかったと思わないでもなかったが、明快に言ってしまった。

 ――発言への反発、脅しとかも。

 細川 それらしきことは随分ありましたね。

 田中 大量に来たよね。血で書いたような手紙もあった。

 細川 街宣車もたくさん来た。

 田中 細川発言の延長線上で、自社さの村山政権は「侵略」や「植民地支配」を謝罪する「村山談話」を95年に出す。05年、自民党の小泉政権がそれを踏襲する「小泉談話」を出した。小泉さんは、細川さんが「侵略戦争」発言をしたとき、私に「あれでいいんだ」と言ってきました。

 細川 そうなんですか。

 そしてこの二人は、小選挙区制導入のまさに当事者であった。統一会派を組んでいた日本新党と新党さきがけは、選挙制度改革を受け入れることを条件に、他の非自民勢力と結集し政権を誕生させた。そして政権発足の翌年1994年に政治改革法案が成立する。この問題の多い選挙制度に対して、社会党の一部が強硬に反対したが、結局細川首相と自民党総裁河野のトップ会談で、修正合意することで決着した。しかし意外なことに、細川は二大政党制を支持しないと言う。

 ――ただ、細川さんは単純な二大政党論者ではない。国会答弁で将来は「穏健な多党制」に向かうと発言された。

 細川 その時点とその後では事情が変わりました。選挙制度が変わった。最初の政府案は小選挙区250、全国区の比例代表250でしたが、法案成立時は小選挙区300、ブロック制の比例代表200。いまは300と180。だんだん二大政党制に有利な制度になっています。

 田中 政府案の「250・250」がそのまま成立していれば、穏健な多党制を担保できたのですが。少数政党は主張が明確です。大政党にあいまいさを許さない存在になるんですよ。今の流れだと、大政党がわけの分からない烏合(うごう)の衆になります。

 ――民主党はさらに比例区の定数を80、減らそうとしている。

 細川 それはよくない。しかし民主党が今度の選挙で勝利すれば、その先は二大政党制ではなく、「穏健な多党制」に移行するのではないかという予感もある。単純小選挙区制で二大政党制のイギリスでさえ、第三党の自由民主党が力をつけ、「穏健な多党制」にシフトしつつあるのですから。

 インタビューイが語った内容とはいえ、二大政党制批判や民主党の比例定数80議席削減に反対する意見を、朝日が採り上げるのは初めてのはずだ。朝日は自らが音頭をとって論点を提出しない傾向があるので、あまり高望みは出来ないが、今後二大政党制・議員定数削減の問題について、追随するメディアが現れることを期待したい。

 また改憲については、きっぱりとこう語る。

 ――小泉さんの後の安倍政権は、「憲法改正」「占領政策からの脱却」を主張した。どう思われますか。

 細川 「ノーサンキュー」です。それだけです。

 ――宮沢さんは首相をやめる直前に番記者に語っているんです。「憲法は変えないほうがいい。二度と戦争はしちゃいけないんです」と。政権交代は構わない。自分の原点である平和、憲法は守ってほしいと。

 田中 宮沢さんは細川さんがそれを引き継いでくれると期待したんです。

 細川 宮沢さんや後藤田正晴さんなんかと一緒にやれたらおもしろかったでしょうね。

 細川としてはそうなのかもしれない。しかしこの政権の裏方だった小沢一郎は、小選挙区制と改憲をセットで考えていたのではないか。この二つは話題となった小沢の著書『日本改造計画』にはっきりと書かれている。そして、それこそが私が来るべき民主党政権に対して最も不安を覚える点なのである。



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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-09 10:07 | 政治
共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」に賛同する。

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」

2009年8月4日

 民主党は、7月27日に発表した衆選マニフェスト(政権公約)のなかで、「ムダづかい」削減のために衆議院比例区議員の定数80削減を提案した。
 自民党でも、定数削減を政権公約にしている。

 しかし、国会議員の定数削減は、議会制民主主義のもとにおける有権者の多様な意思の表明を困難にし、民主主義の精神を踏みにじるものであり、我々はこの提案に強く抗議する。

1. 議会制民主主義のもとでは、広範な市民の多様な意思をできるだけ的確に議会に反映させること、従ってまたこのための仕組みが極めて重要である。

2. このためには、然るべき人数の議員が必要である。
 現在の衆議院の定数、480人は決して多すぎるものではない。
 現在の選挙制度が発足した時には500人であったが、その後削減されている。

3. ヨーロッパの主要国(独、英、仏、伊)では、人口は日本の2分の1から3分の2であるが、下院議員の定数は600人前後である。
 人口10万人当たりの定数は、独で0.74人、その他では1.0人前後である。
 これに対し、日本では0.38人と極めて少ない。

4. 米国の連邦下院議員定数は、435人と少ないが、独特の大統領制である、州の権限が強い連邦国家であるなど、政治制度が日本と 著しく異なっており、比較の対象にするのは適切ではない。
 それでも、米国の議会予算は日本より大幅に多い。

5. 定数削減の目的は、これまで、民間のリストラ、国の行政改革に対応して、国会も人員、予算の節約を図る必要があるため、といわれてきたが、今回「ムダづかい」削減による財源確保が目的、とされている。
 しかし、国権の最高機関である国会の議員の在り方を、民間や一般公務員と同じように論ずることは基本的に間違っており、特に議員定数の一部を「ムダ」とみなしてその削減を財源確保の手段としていることは、到底容認できない。
 定数削減の結果、国会がまともに機能しなくなったら、民主主義が衰退してしまうことを無視している。

6. このような危険を冒してまで議員定数を削減しても、それによる予算節約はそれほど大きいものではない。
 国会の予算は、国会図書館を除くと約1,100億円である。(この他、政党助成費が321億円ある。)
 これは、一般会計予算の0.12%であり、この一部を削減しても予算の1万分の1から2程度である。
 因みに、米軍へのいわゆる「思いやり予算」は2千数百億円に上る。また、F-15戦闘機は一機100億円、F-2は120億円である。
 もちろん予算節約の努力は必要であるが、他方、国会の基本的な任務遂行に必要な予算は、民主主義のコストとして負担すべきである。

7. 定数削減は、比例区の定数削減として提案されているが、この提案には、民意をより正確に反映する比例区の定数を削減し、最終的にはこれを無くして、完全な小選挙区制に変えてしまおうという意図が窺われる。マニフェストには「政権交代が実現しやすい選挙制度とする」と記されているからである。
 ただし、専門家によると、小選挙区制では政権交代が起きる可能性が高い、ということは明瞭とはいえない。

8.小選挙区制には問題があることは広く知られているにも拘わらず、選挙制度の在り方について公に議論しないまま、定数削減によって完全な小選挙区制へと実体を変えようということは、極めて不公正、不当な政策であるといわざるをえない。

9. 小選挙区、2大政党制は、統治する立場からは好都合といわれているが、市民の立場からは、多様な民意を的確に反映させることにはならず、不公正である。
 有権者の意思を的確に反映させるためには、少数政党への投票をも尊重する比例代表制を基礎とした制度が絶対に必要である。

10. このように大きな問題があるにも拘わらず、定数削減という方針が尤もらしく聞こえ、一定の支持を得ているのは、ろくに仕事をしない議員が多すぎる、世襲議員が余りにも多い、などのためであろう。
 この状況を改めるのは、定数削減ではなく、望ましくない議員を落選させ、真っ当な人物を選ぶことである。

11. 参議院議員の定数については、今回は触れない。参議院の在り方を議論する過程で慎重に検討すべきである。
 衆参合わせて何割削減などという粗雑な議論は、問題外である。

 以上の理由により、我々は国会議員の定数削減という政策の撤回を強く求める。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/
join@kaze.fm

引用元:http://kaze.fm/wordpress/?p=276

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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-07 07:37 | 政治