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by sea_of_sound_2008
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 シン・サンチョルの論文、というよりはヒラリー・クリントンへの手紙といった方が良いのかもしれない、「爆発はなかった 魚雷もなかった」という座礁説を唱える文章に対する評価をめぐり、ブログ「虹の日記」のコメント欄で、ブログ主のどろさんと私の間で議論があった。有用な議論に思われるので、整形して(文面は変えていない)エントリとして立てることにする。
 私の問題意識は、「『陰謀論』とか『トンデモ』とかいった言葉をなげつけることは、現在の状況において政治的な圧力になりかねない」ということにあるので、もう少しそういった点を展開させることができたら良かった。そうならなかったのは、私の責任である。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 01:19

> 一番の弱点は、爆薬成分が検出されたことについての合理的な説明ができない点です。

アルミニウムや爆薬が決定的な証拠になったわけではないでしょう。
「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見です。
http://www.asahi.com/international/update/0523/TKY201005230173.html

ある説に間違った点があれば訂正するのは当然です。

しかし「陰謀論」とか「トンデモ」とかいった言葉をなげつけることは、
現在の状況において政治的な圧力になりかねないことに鈍感すぎます。
シン・サンチョル氏は検察公安部に告訴されています。

ありていに言うのなら、「トンデモ狩り」という形で、
韓国政府の公式見解を押し付ける結果になりかねません。

ついでに言うと「コロンビア衝突説」は田中宇の説でしょう。


どろ@2010/05/30 02:57

sea_of_sound_2008さん
 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。
 自分の説に都合が悪いからシン氏が触れていない部分が多くなるだけではないのですか。
 シン氏は、韓国政府も、軍も、国際調査委員会も、爆発でないものを爆発だと断定しているといいます。
 すると火薬成分が検出されたという発表は、真っ赤なウソだということになります。
 しかも彼の意見が正しいとすると、衝突した相手を韓国政府と軍は隠蔽していることになります。
 事件発生時刻もねつ造ということになります。
 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。
 ここまで言えば、これは立派な「謀略論」だと思います。
 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。
 確かな論拠があってそれを否定するならいいけれど、デタラメな論拠でそれをするのはよくないと言っているんです。

 「コロンビア衝突説」が田中宇氏以外のだれか別の人の説だと私がどこかに書いていますか。
 批判は歓迎しますが、ずれた批判はちょっと受け入れがたいです。。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 04:43

まず、あなたが「謀略論」と呼ぶところのもの(そう呼ぶべきではないと考えますが)に、
反論を加え、正しいのかどうか検証する作業を行うことに賛成します。
その上でいくつかの疑問を呈さざるを得ないのです。

> 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見
> というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。

火薬やアルミニウムの痕跡は、重要視することはできないのではないかということです。

合同調査団の最終報告書にも出てきません。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E1838DE0E2E2E7E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

> 事件発生時刻もねつ造ということになります。

あなたも書いているように、発生時刻は二転三転しています。
この論文に限らず、韓国では疑われている点の一つです。

それを「軍当局も当初は座礁と思っていたのでしょう」と推測で説明するのは、
せいぜいこう考えれば納得できるといったことであって、
少しも科学的に何かを立証するものではありません

「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するものです」
とも書いておられますが、これは韓米軍事演習中の事件で、沈んだのは戦艦です。
それに原因の究明に二ヶ月は長すぎます。

> 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。

下記のURLを見ると天安鑑生存者は必ずしも自由に証言できる状態ではないようです。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1113361.html

> 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。

無矛盾であるだけでは「科学的」ではありません。「検証」を受けつけないものは科学ではないのです。
したがって公式の声明もそれ以外の説も検証されるべきなのです。


bogusnews愛読者@2010/05/30 09:49

沈んだ艦を引き上げて、海の底までさらって証拠を集めて、2ヶ月もかけて検証したのに、「原因の究明に二ヶ月は長すぎます。」と言われちゃあ立つ瀬がありませんな。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 11:44

>bogusnews愛読者さん
そのレスの付け方は本質を外したものでしょう。というのは
「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するもの」
というどろさんに対して、

「軍事演習中にもかかわらず、北朝鮮軍の攻撃だと即座にわからない
のはおかしいのでは?」と言っているのが私のコメントだからです。

ところで私も「bogusnews愛読者」なんですがね。

「公式の声明もそれ以外の説明も検証されるべき」というのが、
私の立場であることを繰り返しておきます。


どろ@2010/05/30 14:05

sea_of_sound_2008さん
事件当時の報道を振り返ってみましょう。

http://www.asahi.com/international/update/0326/TKY201003260537.html
韓国大統領府報道官は27日未明、「北が直接攻撃した可能性は低いが、関与についてはわからない」と語った。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100327/kor1003270005000-n1.htm
聯合ニュースによると、韓国軍消息筋は「船体後方から沈没中で、攻撃を受けた可能性もある。船尾側が爆発して穴が空いたということは、北朝鮮の魚雷艇などによる攻撃の可能性もある」とした。ただ、青瓦台(大統領府)の報道官は「北朝鮮が関与したかどうかは現在、確認できない」としている。また、韓国YTNテレビによると、大統領府関係者は北朝鮮による攻撃の可能性は小さいとの見方を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000548-san-int
「北攻撃」ではなく機雷接触、内部事故説が有力に 韓国艦沈没
3月27日20時0分配信 産経新聞
 沈没現場は南北境界線からは比較的離れている。北朝鮮領からのミサイルや砲撃などの標的にはなりにくい位置だ。
 あえて北の攻撃と考えた場合、境界線を越境した潜水艦による海中での魚雷攻撃がある。しかし北朝鮮専門家たちは「海軍力で劣勢の北朝鮮には現在、韓国に対しそうした大胆な軍事攻撃を加えるほどの意図や動機は見あたらない」としている。
 このため“事故”説が強まっているが、これまでの情報では艦後部で爆発が起き、停電となり、艦底から浸水し船尾が沈没し始めたとなっている。
 1200トン級の軍艦の沈没には相当の爆発力が必要だ。そのため南北双方が海上に設置している機雷の一部が流出し艦に接触した可能性や、艦装備の爆雷など艦内爆薬の誤爆説が出ている。
 また機関故障で発生したガスなどによる爆発事故の可能性も指摘されている。
 韓国海軍は近年、新造艦の配備や装備の改善など兵力拡充が続いている。その結果、兵力・装備では北朝鮮を上回りつつ
あるが、急速な拡充で訓練や運用などの面に問題があるとの声も聞かれる。

http://www.chosunonline.com/news/20100327000016
軍当局は沈没原因について、哨戒艦内部で原因不明の爆発が起きたか、北朝鮮の機雷などによる爆発のいずれかではないかとみている
別の軍関係者は「ペンニョン島、大青島の間は水深が浅く、潜水艦による魚雷攻撃の可能
性は低いとみている

以上のように、当初は北の攻撃に韓国側は否定的でした。
これが変化したのは天安引き上げ後です。
艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
これは外部爆発以外に考えられない状態です。
座礁ではあり得ません。
なぜなら座礁なら、船全体が暗礁に乗り上げなければこんなことになりませんが、そんな推進力があるはずがないからです。

座礁説の欠点は、天安が乗り上げた暗礁を見つけだせない点です。
「暗礁に乗り上げた可能性」を理論的にいくら唱えても、肝心の暗礁がなければなんにもなりません。
現場は漁船も行き来する場所ですから、海図を入手するのは簡単なはずです。
その程度の検証もしないで座礁説を唱えているとは思えませんが、調べても暗礁がなかったから書けないのではないかと私は疑っています。
日本の場合は詳しい海図が販売されていますし、特に注意すべき地域はネットで公開されています。
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210635.html
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210725.html
この点、残念ながら自分は韓国語の読み書きができないので、調べることができません。
もしも現場に暗礁があり、そこに傷があって天安の塗料でも付着していれば、攻撃説への決定的な反証になると思います。
そういうものが発見されれば、自分も自説を撤回するでしょう。
あるいは隠蔽工作のために暗礁を削り取ったかも知れませんが、その場合でも痕跡ぐらいは残っているはずです。
そういうものが見つかれば、かなり有力な反証になるでしょう。

火薬成分とアルミの検出が報道されているのに、調査報告書には記載がありません。
たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。
この点も、韓国側がデータを加工していない傍証になると思います。

ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
検証は大いにやるべきです。
が、いま出されているものには説得力がないと言っているのです。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 17:01

> ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
> 検証は大いにやるべきです。

ということは私たちは基本的に同じ立場に立っているということです。
共同で検証できることを感謝します。そのことを認識した上で、
論点を三つにまとめつつ再反論させていただきます。

1.検出された 火薬の痕跡は北朝鮮攻撃の証拠となるか

> たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、
> この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。

同意見です。その場合あなたは火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因として
みなす態度をとるわけにはいかなくなることに留意してください。
あなたの主要な根拠だったのだから、一歩退却ですね。

「天安号の煙突と切断面、海底で発見されたという火薬痕と金属破片も、事故海域が
韓国軍の射撃訓練区域一帯という点から、韓国軍や米軍のものではないということが
立証されてこそ、証拠の一つとして提示できる。火薬痕は天安号自体の砲煙の可能性
も検証されなければならない。」
http://blog.livedoor.jp/hanchung/archives/1238938.html

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

> 艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
> これは外部爆発以外に考えられない状態です。

これは、かならずしも外部からの爆発によらずとも説明できるかもしれません。
下記URLに次のような説明があります。要約するなら、沈没の原因は座礁であるが、
その際ガスタービン室の周りの骨材の決壊をきっかけとして折れたとするもののようです。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1274485366348Staff/view

「イ・ジョンイン代表は「ガスタービン室は40~50トンの大きな機械なので、
船の強度を維持していた骨材が損傷して折れれば、これらはそこに維持でき
ない」とし「一種の切断の過程で、爆発とは無関係」と主張した。」

「続いて合同調査団が出した爆発の証拠に対しては「それ自体が座礁による
衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話した」

「イ・ジョンウン代表はこの他にも座礁の可能性を示す証拠を提示した。彼
は「後進してプロペラが曲がったのは確実だ」とし「左舷も翼二枚が曲がっ
て損傷したが、それは強引に後進したことによる」と主張した」

3.座礁説には座礁位置の特定が必要か

最後の論点は、天安鑑が座礁した地点がはっきりしていないという点です。
これにはそうせざるをえない事情があります。当局が記録を公開していないからです。

「また「その部分(座礁や衝突)を確認するには、天安艦の航跡と位置さえ確認
すれば良い」とし「その部分が非公開なので、天安艦が座礁したのか衝突した
のか、現在のところ確認ができない」とし、航跡記録の公開を要求した」
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1275031901749Staff

ついでに「こうした座礁事故は潮の干満の差が大きい西海(ソヘ、黄海)では
たまに起きている」とするソースを挙げておきましょう。
http://japanese.joins.com/article/article.html?aid=125310&servcode=400§code=430

最後に再び「公式の声明もそれ以外の説も検証されるべき」という私の立場を
確認しておきます。「北朝鮮魚雷説か座礁説か」ではありません。


どろ@2010/05/31 00:04

sea_of_soundさん

1.火薬の検出について

おっしゃる通り、報告書に基づく限りで私は火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因としてみなす態度をとるわけにはいきません。
火薬成分が検出されたのが報道されていますから、見つかったのは事実でしょう。
しかし調査委員会はそれを証拠採用しなかった。
すると韓国政府のデータは、出ている部分については加工されていない可能性が高く、信用がおけるのではないかという傍証になります。

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

イ・ジョンイン代表は艦が折れた原因を「座礁による衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話していますが、これにはかなりの衝突が必要で、岩礁にぶつからなければ起きない現象ですね。
しかし艦船の推力程度でこんなことになるのでしょうか。
そういう実例はありますか。
同じように座礁説に立っているシン・サンチョル氏(議会推薦の調査委員会委員)は、別の意見です。
シン氏は暗礁説をとっていません。
砂浜乗り上げ説です。
シン氏が調べたところ、現場海域には暗礁がないそうです。

「シン委員はまず、ペクリョン島の砂浜に座礁した天安艦が急いで脱出し、他の船と衝突した可能性に重さをおいた。衝突の可能性を提起した理由は、まず沈没位置の周辺に巨大な岩盤はなく、暗礁は排除した。」

浅瀬に乗り上げた程度で艦がまっぷたつに割れるはずはないので、シン氏は別の艦船との衝突という第2原因を仮定しなければならなくなりました。

しかしその仮説も無理だと思います。
艦の壊れ方が座礁説や衝突説を否定しているからです。
甲板が上方にめくれているのは、座礁説でも衝突説でも説明できません。
艦首と艦尾の船底が上の方向に折れていることも、説明できません。
ビジルキールがやはり上方に強い力でねじれていることもです。
艦全体に下から上に強い力が掛かり、破断部分では特にすべての破断面が上方にねじ曲げられています。
これらの現象は艦底から甲板にかけて強いエネルギーが通り抜けたことを示しています。

イ・ジョンウン代表は左舷の翼二枚が曲がって損傷していることを、強引に後進したことによると主張していますが、それならばすべての羽が曲がらなければなりません。
一部の羽だけが曲がっているというのは、プロペラが回転していなかったことを示していませんか。
プロペラ部分が海底の砂地に半ば埋もれて、艦が潮流に引きずられたから、埋もれた部分だけが曲がったと考える方が合理的です。

3.座礁位置について

イ・ジョンウン代表は「折れた場所で今私たちが 暗礁にぶつかったと言っているのではない」とし「暗礁にぶつかり、そこから 抜け出して5~7km程漂流(して沈没)した」と主張しています。
沈没位置は分かっているのですから、航跡記録などなくても、その付近の海図を入手すれば暗礁の有無が分かるでしょう。
暗礁にぶつかったのなら痕跡が残っているはずです。
削られた暗礁があり、そこに天安の塗料痕でも発見されれば、魚雷説は吹っ飛びます。
しかしスクリューまで乗り上げて、艦が折れるほどの激しい座礁など、艦船の推力であり得るとは思えません。

4.バブル効果は迷信で、調査団の発表通りなら艦はバラバラになるか

 URLが示されている米国ジョーンズホプキンス大のソ・ジェジョン物理学教授の意見ですが、検討に値しません。
 オーストラリア海軍の魚雷実験の写真があるので、本文に追加します。
 実験はMk-48魚雷の威力テストで、Mk-48は艦の直下で爆発して竜骨を折るように設計された魚雷です。つまり今回使われたと推定されているものと同じです。 
 艦はバラバラにならず、まっぷたつに割れています。

 批判はよいけれど、何でも口からデマカセを言うのは、まじめな批判ではないと思います。


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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-30 17:47 | 政治
 BBC News の記事「S Koreans divided over response to North」の訳です。私の翻訳を信用せず、重要な箇所は原文で確かめてください。誤訳その他はコメント欄にどうぞ。
北朝鮮への反応で分かれる韓国人

 3月26日に北朝鮮との領海近くで沈んだ軍艦をめぐり、朝鮮半島では緊張が高まっている。

 合同調査団は、北朝鮮の潜水艦から発射された魚雷が船を沈没させたとしているが、ピョンヤンはそれを否定している。韓国は北朝鮮との貿易的つながりを停止してしまった。

 事件の深刻さを、そして北朝鮮にどう対処するのが最善かを、韓国の読者が議論する。


Kyungho Rhee, student, Seoul

 北朝鮮はメッセージを送ろうとしている。彼らは、韓国の人々に大きな怒りを引き起こしつつ、たまにこんなことをする(?)。

 韓国はとても強くなった――立脚点を明らかにしておくならばね(?)。

 北朝鮮との貿易を止めるのは正しい行為だ。けれどもそれが深刻な結果をもたらすとは思わない。

 ここでは戦争への欲求(appetite for war)がそんなにあるわけじゃないんだ。経済は強くなりつつあるけど、戦争は僕らをひどく傷つけてしまう。

 僕らにはとても強い軍隊があるわけじゃない。アメリカの支援があるが、それに頼るわけにはいかない。だから北朝鮮との交易を止めるのが、僕らにできる最善のことだ。

 長期的な観点から見るなら――僕が思うに最も大きな影響力を持っているのは中国だ。この問題をどう展開するのか、彼らはその鍵だ。

 僕は、韓国とアメリカは、中国を北朝鮮に働きかける位置に戻すように、努力をしなければならないと信じている。けれど、それは大変な苦闘になるだろう。


Junwhan, 38, government official, Seoul

 天安艦の沈没はとてもシリアスな事件だ。私は水兵たちの死にショックをうけ大変悲しい気持ちになった。

 私はとても心配している。というのは、これが朝鮮戦争以来北朝鮮によるもっとも挑発的な行為だからだ。

 核実験や長距離ミサイルの実験も非常な脅威だったが、それらは実際に韓国の人々を傷つけたわけではない。この事件は人々の命を犠牲にしてしまった。

 数年前に北朝鮮の船舶が北方限界線 [inter-Korean maritime border] を越え、二つのコリアの間に衝突が起きた。北朝鮮は復讐を誓った。

 北朝鮮はまた韓国の外交力、特にアメリカとの関係、を試したかった。それに彼らは、韓国が北朝鮮にどう対応するのかについて、非常に分かたれた社会だということを知っている。

 個人的に私は、北朝鮮に対するより保守的で強硬な姿勢を支持している。思うに我々は厳しくふせがなければならない、だから貿易削減(?)には全く賛成だ。

 放送も重要だ。金正日は我々の敵だが、北朝鮮の人々は我々の同胞だからだ。彼らは外の世界で何が起きているのか知る権利がある。


Lee Jae-youn, intern in a company, Seoul

 これは本当に悲しい状況です。安全保障の問題が非常に深刻なので、人々は心配しています。けれど、私たちの中には政府の発表に対して疑いを持つ人もいます。

 そもそも、なぜ今これが起きたのでしょうか?一週間後には選挙が控えていますが、北朝鮮の挑発行為の多くは選挙前の期間に起きました。だから私たちは、この哨戒鑑沈没事件が与党によって悪用されているのではないか?と疑問に思っています。

 私たちの政府は調査結果を事実と見なしていますが、証拠は明瞭とはいえません。私が疑問に思っているのは、爆発があったにもかかわらず、どのようにして[魚雷の残骸の上の]インクペン(ink pen)のマークがまだ存在しているのかということ。それになぜ北朝鮮は魚雷の底に署名したのでしょうか?

 なんにせよ、これは私たちの国にとって非常に悲しいことです。私たちは死んだ四十六人の水兵の追悼式で一緒に涙を流しました。だから、私はこの事件が誰かの利益のために使われることを望みません。

 これは深刻な状況です。多くの人が戦争について語っています。朝鮮戦争60周年記念日が近づいているし、繰り返し繰り返し我らは彼らに復讐するのだと言う大統領に、私たちは気が気でない思いをしているのです。


Gyuhang Kim, student, Seoul

 僕やその他の多くの人々は、韓国政府が証拠を作り上げ(making up the proof)さえして、故意に北朝鮮を非難しているのではないかと疑っている。

 僕たちはみな政府の反北朝鮮感情に気付いているし、公式報告書は全く信じていない。

 魚雷前部の「1番」というマークは、あのような衝撃を生き延びて存在することはできない。証拠の信頼性に疑義を呈したいくつかのニュースサイトが理由もなく閉鎖され、僕らは政府の検閲を疑っている。

 それにまた、僕は、再統一に向けて最初の一歩を踏み出そうとするつらい仕事をやってきたこれまでの大統領たち、とりわけ金大中、の長年にわたる苦難の業績を、政府が無駄にしていると思う。

 李明博大統領は、再統一への努力の年月を破壊しているだけではなく、韓国の経済と人々とを北朝鮮との戦争――核戦争もしくは第三次世界大戦への序曲――の危機にさらしている。

 沈没の原因について、噂が広まっている――合同訓練中のアメリカの潜水艦との過ちの可能性のような。それは北朝鮮を非難するために韓国政府によって隠蔽されたとされている。


Choi Jae Woo, 24, science teacher, Cheonan

 この事件のことをとても悲しく思っている。私は兵役で海軍にいた時、同種の艦船で働いていた。こうした攻撃のことは心配したことがなかった。

 私は北朝鮮との戦争の可能性を心配している。友達もまたそのことを心配している。

 私たちは北朝鮮のやったことにとても怒っているが、戦争は望んでいない。

 保守派と進歩派の間では、多くの議論が係争中だ。私は保守派だ。

 私はそんなことはやめて(?)、貿易を中止し、彼らの船が我々の領海に入ってくることを防げと言いたい。けれども、本当に危険なことになるかもしれないから、それ以上のことは無理だ。

 私たちはあまり多くのことはやれない。北朝鮮により大きな影響力を持っているのは中国だ。中国がコントロールしてうまくやっていくことを望んでいるが、彼らが姿勢を変えるとは思わない。

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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-26 10:07 | 政治
 韓国哨戒艦沈没事件に対する合同調査団の結果が発表された5月20日は、「科学的」であることとは何かを巡って、中国とアメリカの間で言葉が交わされた日でもあった。それまで「科学的で客観的な調査」を重要視して来た中国に対し、アメリカが合同調査団の最終報告書こそ「証拠に関する客観的、科学的調査」だとやり返したのだ。
 「科学的で客観的」であるためには検証が付き物である。だが、韓国哨戒艦天安の沈没原因については、合同調査団の下した結論の独占状態にある。わかりやすく言えば、「オーケー、あなたがた合同調査団がそのような結論を下しているのはわかった。これは僕らにも関わる非常に重大な問題だ。だから、それを確かめたいんだけど?」ということだ。その意味で、中国が「検証可能なものでなければならない」と言っているのは、全く正しい。


 最終報告書の発表を受けて、北朝鮮は全く異例の反応を見せた。20日には、北朝鮮は韓国に「検閲団」(「検証団」と意訳するのが適当と思うのだが)を派遣すると申し出た。この申し出は韓国側に拒否されたが、22日に再び派遣を申し出ている。ハンギョレ・サランバンによれば、韓国政府関係者は20日の申し出について「南北関係史で前例がないことであり、予想外の対応」とコメントしている。二度の申し出はそれ以上の異例さということになる。北朝鮮のふるまいがいつも通りだとしている人はこの点で正しくない。
 この「検閲団」は、韓国と北朝鮮の相互断絶の流れに呑まれて、一抹の泡として消えてしまったようだ。どんなにこれが受け入れがたい提案であっても、李明博政権は受け入れるべきだったろう。確かに当事者、それも加害者とみなされている立場の国家が、検証作業を行うというのは問題がないではない。しかし、もし北朝鮮「検閲団」が資料を歪曲し無罪を主張したとしても、それに反論すれば良いではないか。それが科学というものだろう。

 これはまた科学という手続きの場を借りて、北朝鮮を対話に参入させることができる絶好の機会でもあっただろう。断罪するが弁明の機会は与えないというのでは、北朝鮮を追いつめるだけである。


 合同調査団の構成について、各報道をまとめると韓国軍が主体であり、米海軍も加わっているようだ。アメリカのキャンベル国務次官補は、「アメリカも調査に積極的にかかわっており、その結論を強く支持する」と述べた。そのことが直ちに真実性を歪めるわけではないだろう。しかし中立性の観点から言うと疑問が残る。それにここにはもう一つの問題がある。
 韓国の参加は(与党に有利な政治的判断を下すかもしれないと言う疑いはあるにせよ)当然として、アメリカもまた合同調査団に関わっている。既に報道されているように、中国とロシアは独自に調査しており、結論をまだ出していない。となると六ヵ国協議関係国の中で、調査も無しに結論を出しているのは、北朝鮮を除けば、日本だけである。このことからも鳩山政権が、合同調査団の最終報告書を受けて、韓国政府に即座に全面支持を与えたのは早計であると言える。

 せめて日本も独自調査をすべきだった。そしてより良いと思われるのは、真に国際的な検証をおこなうように提唱することだ。ここで「国際的な」という意味は、合同調査団が自らを誇って主張しているような意味ではない。「様々な国家に所属している人が参加していること」ではなく、「国家にとらわれない」ということである。

 そのような場が設けられるならば、おそらく関係各国(今や日本もそこに含まれるのだが)にとっては、冷静さを取り戻す機会になるだろう。あらためて北朝鮮の関与が結論づけられたとしても、その過程で北朝鮮を外交的な交渉の場に引き出すことができるかもしれない。そして、これは哨戒艦沈没事件に対する、かなり理性的な回答ではないだろうか。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-26 08:23 | 政治
 韓国の哨戒艦が沈没した原因がなんであれ、確実にわかっていることが二つある。一つは、韓国では「北朝鮮関与説」以外の異論が提出されていること、もう一つは、そうした異論に対して韓国政府が言論弾圧を行っていること。そうした事情を踏まえるなら、日本が韓国と同様に「北朝鮮関与説」に染まろうとするのは早計だ。


 今日20日、3月26日に韓国で起きた哨戒艦の沈没事件に対して、合同調査団が「北朝鮮製の魚雷による沈没」とする最終報告書を発表した。といっても、その結論は既に知られていた。韓国政府が散々漏らしてきたからだ。李明博大統領は、今月初めには既に「北朝鮮関与説」に心を決めていたようだ。
 哨戒艦沈没事件が日本でも俄然注目されるようになったのは、おそらく16日に行われた日韓外相会談を境にしてだ。韓国の柳明桓外交通商相が岡田克也外相に、北朝鮮の犯行であることを断定したからだ。岡田外相は、韓国側の見解を全面支持する日本の姿勢をはっきりさせている。

 これは哨戒艦沈没を巡る韓国と北朝鮮の政治対立に、日本が巻き込まれていくことを意味する。だが、そのことは日本では充分に検討されているとは言えない。岡田支持発言を批判する声も紙メディアにはなく、インターネット上にしかないようだ。だが、日韓外相会談の時点で、既にこの事件がかなり錯綜したものであることはわかっていた。


 韓国の「北朝鮮関与説」以外の説にはどのようなものがあるのか?二つ取り上げる。

 一つは、『ハンギョレ21』が報道した未回収機雷説だ。「ペクリョン島を要塞化せよ」との朴正熙元大統領の指示に基づき、1970年代に敷設された機雷が、その後の回収作業にもかかわらず一部未回収のまま残されており、それに接触した可能性があるという。要職にあった元軍人が匿名で証言した。
 もう一つは、KBS テレビが、「謎の第3ブイ…なぜ?」という特集で示唆した、米潜水艦との衝突説だ。「田中宇の国際ニュース解説」と「河信基の深読み」での紹介をまとめると、同番組は、沈没した哨戒艇とは別の「第3ブイ」でも捜索作業が行われたことに注目し、そこにアメリカの潜水艦が沈没していた可能性を指摘するものであるらしい。

 なんとこの放送は当局から名誉毀損で告訴されてしまった。

 言論弾圧の状況に関して、やはり二つの例を取り上げる。哨戒艦が沈没した原因に対しては、いろいろと推測が成り立つが、韓国政府はそうした推測を許さない態度で望んでいる。

 まず、韓国の検察は、インターネット上の言論活動に対して、「デマ」への処罰という形で取り締まる姿勢を見せている。それらの中にはくだらないものもあるだろうが、言論の場に権力が介入することは、言論全体を萎縮させる効果をもたらす。
 先程述べたように、KBS の番組「謎の第3ブイ…なぜ?」に対しては、韓国政府が名誉毀損で告訴している。この番組はインターネットでも閲覧できたそうだが、現在は閲覧できず当該ページには「法廷闘争のため原稿掲示と映像サービスは中断します」とあるだけだ(この訳文は「河信基の深読み」による)。
 こうして権力を使って異論を排除してゆくということは、当局が許した公認の結論以外は許されないということだ。「デマ」とは、畢竟「当局の見解以外は全てデマ」「北朝鮮関与説以外は全てデマ」ということではないのか。


 昨日と今日、鳩山首相もまた韓国を支持する発言をした。だが、その日本が支持することに決めた韓国の状況はというと、以上かいつまんで見たように、非常に問題があるものだ。それに同調するのは正しい選択とは言えない。また韓国内でも野党やハンギョレのような進歩派メディアは、政府と違った意見を持っている。
 日本で差し当たりこの先に起こりそうなことは、世論が悪魔化された北朝鮮のイメージを自己確認することだろう。やっぱり北朝鮮はこういうことをする国だ、だから北朝鮮には強硬論で望むのが正しい、というわけだ。もう一つ起きそうなことは、普天間基地問題とのリンケージだ。この合同調査団報告書の出した結論は、「北朝鮮の脅威」に対して海兵隊の「抑止力」が必要であることの証左として喧伝されるかもしれない。
 この件をマスメディアがどう伝えるか非常に心配だ。日本のマスメディアは、拉致事件について強硬論一色から未だに抜け出していない。だが、日本政府が韓国政府に同調し、日本政府にマスメディアが同調するということでは困るのだ。それは結局は韓国の異常な状況を日本に伝染させることになる。


 あと、二三のことを書いておきたい。

 まずはアメリカがこの問題にどう関わっているのかということ。KBS が伝えた米潜水艦との衝突説が本当だとしたら当事者であるのはもちろんだが、そうでなくても朝鮮半島の情勢にアメリカが関わっているのは当然だ。当初アメリカは北朝鮮の犯行とする見方には否定的だった。それが何故変化したのか。今後東アジアで何をしようとしているのか。

 また、特に書いておかなければならないのは、仮に北朝鮮が関与していたとしても、北朝鮮に強硬な姿勢で望むのが唯一の方策ではないということだ。雑誌『世界』6月号の連載「ドキュメント 激動の南北朝鮮」によれば、犠牲者兵士の家族協議会代表は、李大統領に対して「同じ方法で仕返しするようなことはいけない」と語ったという。「北朝鮮関与説」が韓国政府の唯一の見解となっている現状では、それ以外の説を検討することは重要だが、それが全てではない。


 今後起きることが何であれ、李明博政権の強硬論は韓国の政治だけでなく、日本の政治にも良い影響を及ぼさないであろう。これがきっかけとなって日本で対北朝鮮強硬論が勢いづくことが考えられる。李明博政権の「北風」に巻き込まれてはいけない。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-20 14:57 | 政治