公平な選挙制度を!


by sea_of_sound_2008
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 まるで民主党が護憲派であるかのような表象が、メディアによってなされている。「マガジン9条」は民主党候補へのアンケートを行った。「+++ PPFV BLOG +++」で知ったのだが、そのアンケートの感想として、トップに一時次のような文章が掲載されていたようだ(Googleキャッシュに残っていたので、ローカルに保存してある。現在はもうキャッシュも見られない)。

 そこで「民主党候補者に憲法9条を問うアンケート」を実施しました。……回答はとても興味深いものです。6項目の選択肢では答えられないという「7・その他」が一番多かったというところに、民主党の現在の姿が集約されているように思われます。でもその理由を読むと、多くが「9条の意義を大切にし、安易な改正は許さない」としていることが分かります。

 民主党政権になっても、九条は守られると言いたげな文章である。同サイトは「コラムリコラム」のコーナーでも、毎日新聞のアンケート結果を引用して、「民主党の候補者たちの回答は、『マガジン9条』のアンケート結果とよく似ている。……『他の部分には問題があるが、9条は変える必要がない』という回答が多かった」と同様の主張を行っている。毎日の当該記事は以下の通りである。

選挙:衆院選 候補者アンケート分析(その1) 憲法改正でも温度差

 民主党も憲法改正に「賛成」が57%で多数派だが、自民、公明両党より低い。「反対」も24%あり、改憲派と護憲派が混在する党内事情が反映された。9条改正については「反対」66%、「賛成」17%で、公明党と同様、9条以外の改憲を支持する意見が強い。集団的自衛権の憲法解釈については「見直す必要はない」61%、「見直すべきだ」25%だった。

引用元:http://mainichi.jp/select/seiji/09shuinsen/news/20090820ddm010010124000c.html (魚拓)

 さて、民主党は九条を守る「護憲派」なのだろうか?以下それを分析するのだが、ある意味ではそうだと言える。ただし民主党特有の意味において、である。その辺りの事情を、まずは2004年3月の「横路・小沢合意」に見よう。小沢一郎と旧社会党系のリーダーである横路孝弘の政策協議の成果である。長くなるが全文引用する。要点は、九条は変えない、だが国連の下に軍を送る、この二つだ。

                        2004.3.19
日本の安全保障、国際協力の基本原則


 冷戦の時代は終焉したとはいえ、世界各地においては紛争が頻発している。世界の安全保障と国際協力について確固たる基本原則を改めて定め、確認しておくことは時代の要請でもあり、また、喫緊の課題でもある。

 私共は、我が国の安全保障及び国際協力について、この間慎重かつ精力的に検討を続けてきたが、ここに次の通りの基本原則で一致したので公表する。

<現状認識>

1.いまのままでは自衛隊は米国について世界の果てまでも行ってしまう危険性が高い。政府自民党による無原則な自衛隊の派遣に歯止めをかけなければいけない。

2.世界秩序を維持できる機能を有する機関は国連しかない。日本も国連のこの警察的機能に積極的に貢献する。

3.憲法の範囲内で国際貢献するために、専守防衛の自衛隊とは別の国際貢献部隊を作る。

4.現在国連はその機能を充分果たしていない。日本は国連の組織、機能を拡充、強化するようあらゆる機会に国際社会に働きかける。


<基本原則>

1.自衛隊は憲法9条に基づき専守防衛に徹し、国権の発動による武力行使はしないことを日本の永遠の国是とする。一方においては、日本国憲法の理念に基づき国際紛争の予防をはじめ、紛争の解決、平和の回復・創造等国際協力に全力を挙げて取り組んでいく。

2.国際社会の平和と安全の維持は国連を中心に行う。それを実現するために、日本は国連のあらゆる活動に積極的に参加する。

3.国連の平和活動への参加を円滑に実施するために、専守防衛の自衛隊とは別に、国際協力を専らとする常設の組織として「国連待機部隊(仮称)」を創設する。待機部隊の要員は自衛隊・警察・消防・医療機関等から確保する。また、特に必要があるときは自衛隊からの出向を求める。

4.将来、国連が自ら指揮する「国連軍」を創設するときは、我が国は率先してその一部として国連待機部隊を提供し、紛争の解決や平和の回復のため全面的に協力する。

5.国連軍が創設されるまでの間は、国連の安全保障理事会もしくは総会において決議が行われた場合には、国際社会の紛争の解決や平和と安全を維持、回復するために、国連憲章7章のもとで強制措置を伴う国連主導の多国籍軍に待機部隊をもって参加する。ただし、参加の有無、形態、規模等については、国内及び国際の情勢を勘案して我が国が主体的に判断する。

6.安保理常任理事国の拒否権行使等により安保理が機能しない場合は、国連総会において決議を実現するために、日本が率先して国際社会の意思統一に努力する。

以上

  2004年3月19日
                        横路孝弘

*強調は引用者

引用元:http://www.yokomichi.com/monthly_message/2004.03.19.htm

 読んで明らかなように、これは国連に名を借りた解釈改憲であり、海外派兵の恒久化である。であれば「9条の意義を大切にし、安易な改正は許さない」とすることに、なんの意味もないだろう。九条を改正しなくても、解釈改憲によって、国連の下における海外派兵は可能だと言っているのだから。

 それどころかこれは「日本国憲法の理念に基づ」いているのだという。だが、憲法の理念はただの平和主義ではない。非武装平和主義である。それをねじ曲げる「横路・小沢合意」は、つまみ食い的な解釈改憲であり、憲法理念の剽窃者であり、平和主義の簒奪者である。

 左派である横路と実力者である小沢が、党内で意見がバラバラとされる安保・憲法の点で合意したことは、おそらく大きな影響を与えただろう。「民主党の政策議論の到達点を2009年7月17日現在でまとめたもの」である「民主党政策集INDEX2009」に、この民主党流の憲法解釈が反映しているのを見ることが出来る。

自衛権の行使は専守防衛に限定
 日本国憲法の理念に基づき、日本および世界の平和を確保するために積極的な役割を果たします。自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません。

国連平和活動への積極参加
 国連は二度にわたる大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に世界の平和を築いていかなければなりません。

 国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家の自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章第41条および42条によるものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加します

*強調は引用者

引用元:http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/08.html

 国連憲章の第四十一条と第四十二条は、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」を定めた第七章にある条文である。第四十二条は「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる」としているのだから、明白に「武力による威嚇又は武力の行使」を禁止した憲法九条一項に違反する。これでもまだ民主党は九条を守る護憲派だろうか。

 更に指摘しておかなければならないのは、国連憲章は平和的手段による解決を大前提としていることだ。加盟国の行動原則を定めた第二条三項では、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によつて……解決しなければならない」とし、第六章では「紛争の平和的解決」を定めている。それらの例外としてあるのが第七章なのだ。民主党は、憲法だけでなく、国連憲章もつまみ食いをしている。

 また、民主党が想定している国連憲章の第四十二条と第四十三条は、国連軍についての規定なのだが、未だに国連軍が編成されたことはない。国連決議の下に軍事的措置が行われるにしても、それは加盟国が自発的に参加する多国籍軍であり、個別的自衛権もしくは集団的自衛権の行使として参加しているのである。民主党が「個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず」としているのは、自衛権の拡大を目指すものではないか。

 この問題点は、自民党系の論者によっても指摘される有様である。

 しかし問題は「国連軍」の意味であって、小沢調査会の提言と今回の小沢提言とではその内容が異なる。もしそれが国連憲章42、43条に基づく「正規の国連軍」を指すならば、小沢調査会の言うように、軍を国連に提供した後はその指揮、命令権は国連加盟国の手を離れ、安保理事会に委ねられたものとみることもできないことはない。加盟国は国連との間で特別協定を結ぶことにより、主権の一部を国連に委譲したと解することも可能だからである(ただし、わが国がこのような特別協定を結び、武力行使を目的として自衛隊を国連に派遣することについては、憲法上、疑義がある)。

 ≪多国籍軍と集団的自衛権≫

 だが、このような「正規の国連軍」はいまだ実現しておらず、これまでに編成された「国連軍」はすべて「多国籍軍」にとどまっていた。国連の指揮下にあった湾岸戦争時やイラク派遣の「国連軍」、それにNATO指揮下のISAFも全て多国籍軍である。この種の「多国籍軍」は国連決議によって一定の正当性が担保されてはいても、最終的な指揮、命令権は各国に留保されており、軍隊派遣の根拠も各国の個別的ないし集団的自衛権に基づいている。

引用元:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071030/stt0710300316000-n1.htm (魚拓)

 このように民主党流の「護憲」の内実を探れば、「9条の意義を大切にし」たところで、「憲法改正でも温度差」があったところで、それが九条を守ることに役立つどころか、却って解釈改憲によって海外派兵に利用され、集団的自衛権はおそらく拡大解釈され、九条は骨抜きにされるだけだということがわかるだろう。

 「マガジン9条」も毎日新聞も、候補者にこう聞くべきだったのだ。「あなたは本当に国連の下なら派兵が合憲だと考えているのですか」と。そしてそう言う観点で見れば、「マガジン9条」の候補者アンケートの選択肢が、ほとんど無意味であることに気付かされる。

 ところで、我々は既にこのような憲法のつまみ食いを体験済みである。2003年12月、当時の小泉首相は、自衛隊派兵基本計画を閣議決定した後の記者会見において、イラク派兵を「国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法の理念にかなう」ものだと放言した。もちろんこれが噴飯ものの解釈であることは言うまでもない。だがその結果派兵は行われ、それが憲法違反だと確定するには、2008年4月の名古屋高裁の判決を待たねばならなかった。

 しかし、この決着が付いたはずの問題を巡って、民主党は小泉の後を追っている。

 民主党の直嶋正行政調会長は、「政権を担当させていただければ、作業に着手する」「状況によって憲法解釈を変えることはある」と、政権を獲れば憲法解釈を変更すると述べている。小沢は、ISAF参加は合憲と主張して話題となった「世界 2007年11月号」の論文で、「加えて貴方は、『民主党内でも意見がまとまっていない』と書いてますが……昨年末まで二ヶ月余の党内議論の末、先ほど私が述べたような方針(「政権政策の基本方針」第三章)を決定してます」と書いている。

 「政権政策の基本方針」の第三章は、前述の「民主党政策集INDEX2009」とほとんど同じものである。小沢は党内がそれでまとまっていると言っているのだ。従って民主党の「護憲」は二重に疑わしい。まず解釈改憲を容認する公算が大きい。次に党の方針に反対してまで憲法を守るかどうかわからない。イラク派兵という暴挙を断行した小泉政権と、それに続く内閣を倒すためのものだったはずの「政権交代」が、更なる解釈改憲と海外派兵の恒久化をもたらすとしたら、皮肉と言う他ない。



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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 23:31 | 政治
河北新報 - 09衆院選政権選択/政策競争が歴史の扉を開く

 二大政党化の利点ばかりが強調されるが共産、社民、国民新など小政党の役割を軽視するわけにはいかない。大政党がすくい切れない環境や平和など生活に密着した政策課題を提示し、存在感をアピールしてほしい。

引用元:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2009/08/20090819s01.htm (魚拓)

新潟日報 - 09衆院選 連立の在り方も考えたい

 1994年に成立した「自社さ」政権以降、国政では比較第1党の座を占める自民党を補強し、安定させる形で連立政権が続いてきた。しかし、本格的な二大政党時代を迎え、政治状況は大きな転換期にある。

 そうした時代の中で、情勢によっては小政党の政権への影響力が強さを増していく可能性がある。

 社民党と国民新党はそのことを自覚し、総選挙後に担うかもしれない責任を踏まえた対応をしてほしい。変化を見せてこそ、国民に「政権選択」選挙を実感させることになる。

 有権者もこれまで以上に連立政権の在り方に目を凝らしたい。それは二大政党制の中で政治や政策の二者択一化が進むことを防ぎ、多様性を確保することにつながるはずだ。

引用元:http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/index.asp?syasetsuNo=2168 (魚拓)

神戸新聞 - 二大政党化/重み増す「第三の選択肢」

 野党3党も、共通公約を公表した。

 社民党が重視する製造業派遣の原則禁止や障害者自立支援法の廃止、国民新党が党是とする郵政民営化の抜本的見直しなどを柱に据える一方、3党間で隔たりの大きい外交・安全保障政策の言及は避けた。

 社民党はマニフェスト(政権公約)で「新しい連立政権を目指す中で基本政策を実現」と明記した。しかし、かつての自社さ政権で自衛隊容認などの方針転換を重ね、「護憲」の主張がぼやけて議席を減らした苦い経験がある。改憲派が少なくない民主との連立でも、いずれぶつかる壁だろう。

 国民新党は「政権にはすり寄らない」としており、独自色を強めて影響力を行使する狙いのようだ。

 野党共闘と一線を画す共産党は「建設的野党」を宣言。民主政権が誕生すれば、後期高齢者医療制度の廃止など一致できる政策には協力するという。従来の絶対的野党から現実路線に一歩踏み込み、政権交代を党勢拡大につなげる試みといえる。

 このほか、先日結成されたみんなの党や改革クラブ、新党日本などが政界再編も視野に議席獲得を目指す。

 小選挙区制度で二大政党化が進むほど、二者択一に収まらない多様な意見をくむ「第三の選択肢」は重みを増す。その旗をしっかり掲げ、存在価値をアピールできるか。自、民以外の政党の踏ん張りが日本の議会制民主主義の在り方を左右する。

引用元:http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0002240711.shtml (魚拓)

徳島新聞 - 衆院選公示 この国をどの党に託すか

 多様な国民の声を政治に反映させるには、二大政党だけではなく、他の政党の役割も重要だ。

 公明党の太田昭宏代表は「景気回復に全力を挙げ、医療、介護、子育て、若者の雇用支援に力を注ぐ」とし、共産党の志位和夫委員長は「大企業に応分の負担をさせ、軍事費削減のメスを入れる」と強調した。

 社民党の福島瑞穂党首は非核三原則の法制化や、仕事、暮らし、地域の再建を目指すとし、国民新党の綿貫民輔代表は郵政民営化の見直しを訴えた。

引用元:http://www.topics.or.jp/editorial/news/2009/08/news_125064212584.html (魚拓)

琉球新報 - 09衆院選きょう公示 選択に値する政策論争を/公約と実行力を吟味したい

少数意見どう反映
 ……有権者の間では、二大政党への関心が強まるが、判断材料が二つに一つということでは、そこから漏れてしまう少数意見が政治に反映しにくいという弊害も出てくる。

 政治への不信感は、政党や政治家の姿勢に由来する点も大きい。日ごろからこの国の針路について、真摯(しんし)に思案し、行動することで有権者の信頼を得ることができよう。

 自公連立政権の維持か交代か、政権の枠組みへの国民の高い関心が集まる。だが、自民と最大野党の民主の主張には、県民が関心を持つ外交・防衛政策などの違いが分かりにくい。2党の動向ばかりに目が奪われていては、選択肢を狭めてしまうと危惧(きぐ)する有権者もいるだろう。

 有権者は、確かな目で候補者を判別したい。そのためにも、より幅広く政党や候補者の主張に耳を傾けることで、適切な政策を見つける努力をしたい。政党や候補者は、有権者の審判に堪え得るよう具体的な施策を提示し、主張してもらいたい。

引用元:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-148608-storytopic-11.html (魚拓)

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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 11:24 | 政治
社説:’09衆院選 政治改革 己に甘すぎないか

 今回の総選挙でも「政治改革」は争点の一つになっている。各党のマニフェストでも、公務員改革などは積極的な半面、政治家に課せられるテーマは歯切れが悪い。特に自民党は具体策に欠ける傾向が目立つ。

 世襲議員の制限は自民、民主、公明党などが具体策を提示している。いずれも、前職議員が引退などした場合、その配偶者および3親等以内の親族が同一選挙区内から立候補しても、「公認または推薦しない」方針を明示している。問題は実施時期で、民主党は09年からの適用を打ち出したが、世襲議員が多い自民党は「次回から」と、延引している。

 政治資金問題で焦点になっている企業・団体の献金、パーティー券購入を民主党は3年後に全面禁止することを明示した。相次ぐ党首脳の献金不正問題を抱えているとはいえ、この種の方針転換は歓迎したい。公明党は政治資金規正法の制裁を強化し、不正議員には公民権停止を科すよう求めている。一案だ。

 一方、自民党は、政治資金の透明性を確保する措置を「1年以内に結論を得る」にとどめ、具体策の提示を避けている。政党助成金として税金が投入されて以来、政治資金への国民の視線は一段と厳しくなっている。もっと留意すべきだ。

 政治の責任を大いに指摘したいのは国会議員の定数削減と1票の格差是正問題だ。自民党は「衆院を次回から1割以上、10年後には衆参両院で3割以上の削減を目指す」と、うたう。民主党は衆院の比例代表議席を80減らし、より小選挙区重視の選挙制度に変える方針を打ち出している。1票の格差を抜本的に是正しようと、47都道府県に1議席ずつまず配分する「基数配分」の廃止を提唱している。

 これに対し、公明党は新しい中選挙区を導入し、定数の大幅削減を行う方針を掲げ、共産党は衆院の比例代表の削減は「間違った政治」と指弾。社民党は「比例代表中心の制度への改革」と主張している。

 選挙制度の手直しは各党とも党勢に重大な影響を与える。党利党略に走りやすいが、少数意見を極力取り入れるか、政権交代を常に意識できる2大政党制を促進させるかは、「国のあり方」そのものだ。大いに論議を深めてほしい。

 早々に着手しなくてはならないのは、1票の格差是正だ。衆院は2・3倍に、参院にいたっては4・9倍にも達している。衆院は10年に1度の国勢調査の結果を踏まえ2倍以内に是正されるが、参院は是正策を設けていない。国民の基本的権利に、これほどの格差は許されない。

引用元:http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20090814ddm005070053000c.html (魚拓)

 深刻な問題であるわりに、触れられることの少ない民主党の比例区議員定数削減を、採り上げたのは評価できる。一票の格差問題や他党の選挙制度について、書いているのも良い。しかし、その分民主の政策の危険性には触れられていないのは失点。
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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 11:05 | 政治
二大政党制 多様な民意をどうする

 衆院選の最大の焦点は、紛れもなく政権選択。自民、民主両党ががっぷり四つに組んだ争いを展開している。わが国でも、政権交代が可能な二大政党制の時代が幕を開けたといえるかもしれない。

 とはいえ、この衆院選で定着するかは未知数だ。両党とも国民のすべての思いを代弁できるわけではない。ましてや、選挙結果によっては政界再編もありうる。

 直近の国政選挙だった2007年の参院選は民主が大勝し、自民は初めて第1党から転落した。比例代表の得票率を見ると、民主が39%、自民が28%を獲得した。一方、公明、共産、社民、新党日本、国民新党の各党は合わせて30%を超えた。

 自民が圧勝した05年の衆院選の比例代表でも、自民と民主の数字が逆転しただけで、他の5党の得票率は30%余で変わらない。この数字は極めて重い。

 有権者の価値観は多様化している。選択の基準となるテーマは経済、環境、福祉、護憲、地方など多岐にわたる。比例代表ではそれが率直に表れる。決して二者択一の枠には収まりきれない。

 二大政党の「受け皿」からこぼれ落ちる層が常にあることを思えば、多様な民意をくみ上げるシステムはあった方が良い。

 この点で選挙制度の変革には慎重であるべきだ。民主党がマニフェスト(政権公約)で、比例代表を大幅に減らそうとしていることは疑問だ。自民党も削減をうたっているが、その対象は明確にされていない。

 国民が二大政党制を望んだとしても、ゆっくりと収れんされていくべきものだろう。制度によって強引に推し進めるものではない。それは少数意見を捨てることになる。

 自民党が公明党と連立してから既に10年近くの時間がたつ。一方、民主党もこの選挙で勝てば、社民、国民新両党との連立政権をつくることを明言している。日本の政治は間違いなく連立の時代になっていく。

 小政党はそこに活路を見いだせるのではないか。少数意見を代弁しながら、連立相手の大政党の暴走をチェックする機能が期待される。自公政権では公明党がその役回りだった。

 社民党が民主党中心の政権に参加すれば、安全保障の問題は政権の火種にもなるが、内からブレーキを踏むこともできる。是々非々の「建設的野党」の立場を表明した共産党は、外から政権をチェックする道を選んだ。

 政権を争う二大政党のはざまに埋没するのか、それとも確固とした存在感を示せるのか。小政党は重大な岐路に立っている。

 この選挙で政権交代が起きたとしても、起きなかったとしても、望みたいのは国民の思いが離れれば主役の座から退場させられるという緊張感のある政治だ。

 この選挙はそうした状況をつくり出せる絶好の機会。ぜひ生かしたい。

村井康典(2009.8.20)

引用元:http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2009/m08/r0820.htm (魚拓)

 全国紙にない視点を求めて、衆院選公示前後の地方紙をかなり見て回ったのだが、はっきり言って失望した。ほとんどが「政権交代」「政権選択」「二大政党制」といったキーワードで組み立てられたものだったからだ。その中でこの岩手日報の「論説」は貴重である。

 おおざっぱな枠組みでは肯定しつつも、二大政党制にはっきりと疑念を投げかけている。以前から言われていたように、自民・民主以外に投票する人々は約三割いるのだ。「比例代表を大幅に減らそうとしていることは疑問」と民主党マニフェストを批判しているのも良い。民主党は三割もの民意を切り捨てるのかと言いたい。
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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 10:33 | 政治
以下転載。
原文入力:2009-08-20午後07:02:21
ペク・ナクチョン,ベーカー,和田春樹など
‘東北アジア 平和と安全’共同声明

クォン・ヒョクチョル記者,シン・ソヨン記者

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←韓国・米国・日本の知識人 110人が20日午前、ソウル,太平路,韓国言論会館で‘東北アジアの平和と安全のための知識人共同声明’を発表している。左側からキム・サングン牧師,イム・ドンウォン ハンギョレ統一文化財団理事長,和田春樹東京大名誉教授,ペク・ナクチョン ソウル大名誉教授,エドワード・ベーカー ハーバード大ハーバードイェンチン研究所企画委員,イム・チェジョン前国会議長,イ・ソンジョン円仏教ソウル教区長。 シン・ソヨン記者viator@hani.co.kr

韓国,米国,日本の有名知識人110人が20日‘東北アジアの平和と安全のために’という題名の共同声明を発表した。これらは北韓の核実験と国連制裁などが東北アジア危機を加重させる‘強硬対応の悪循環’を防ぐために、バラク・オバマ米大統領と金正日北韓国防委員長が北朝-米対立を解消する根本的方案を用意することを促した。


ペク・ナクチョン ソウル大名誉教授,和田春樹日本東京大名誉教授,エドワード・ベーカー米国ハーバード大ハーバードイェンチン研究所企画委員など共同声明参加者らは20日午前、ソウル,太平路,韓国言論会館で記者会見を行い、最近ビル・クリントン前米大統領とヒョン・ジョンウン現代グループ会長の北韓訪問を契機に東北アジア危機に対話と妥協で対処することを訴えこのように主張した。

これらはオバマ大統領と金正日委員長に「米国と北韓は公式特使派遣を含め公開と非公開,両者と多者など形式に束縛を受けず即刻交渉を始めなければならない」として「初めの段階で相互主権の尊重を宣言すると同時に、2000年の北-米共同コミュニケを両国間対話の基準として受け入れなければならない」と注文した。

また北韓の核兵器開発を中止させるために、米国,ロシア,中国など東北アジアの核保有国らが自ら核軍縮に出て、大量破壊武器(WMD)だけでなく在来式武器まで含めた‘東北アジア軍縮会議’開催が必要だと話した。これらは韓国政府に対しては去る政府時の南北首脳間合意を尊重することを提言した。

一方、記者会見参席者らは金大中前大統領逝去を哀悼し、6・15共同宣言の意義を再確認した。共同声明提案者の1人である和田春樹名誉教授は「この日の共同声明発表は2000年南北首脳会談が開いた東北アジアの新しい時代を後退させることはあってはならないという意志の表明であり、金大中先生の遺志を継ぐことでもある」と話した。

この声明には韓国44人,米国30人,日本30人など計110人の知識人が名前を連ねた。韓国ではイム・ドンウォン ハンギョレ統一文化財団理事長,カン・マンギル高麗大名誉教授,ペク・ナクチョン ソウル大名誉教授,コ・ウン詩人,シン・ギョンニム詩人などが参加した。米国からはノオム チョムスキーM.I.T.大言語学名誉教授と世界体制論を主に主張したイマニュエル ウォルロスティン エール大特別選任研究教授などが、日本からは1994年ノーベル文学賞を受けた大江健三郎,和田春樹東京大名誉教授,著名な文学評論家であり思想家の柄谷行人などが参加した。

クォン・ヒョクチョル記者nura@hani.co.kr

原文: http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/372287.html 訳J.S

引用元:http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/752358.html

 こうした試みをなす知識人には、深い尊敬の念を持たずにはいられない。ほんの一欠片に過ぎなくとも、アジアの平和の礎となりますように。

 柄谷行人が出席していることは、意外なようで意外でないと思う。彼は韓国との交流があるし、政治にコミットすることも多くなったからだ。もはやただの文学評論家・思想家ではない。
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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-27 10:07 | アジア
 自民党と民主党の両党が、マニフェストで議員定数の削減を競い合っている。民主党のマニフェストには「衆院比例区80削減」が盛り込まれた。自民党のマニフェストも「衆参両院議員の総定数3割以上の削減」を盛り込んだ。この一致は何を意味するのか。


「民意」を偽装する小選挙区制

 小選挙区比例代表並立制が採用されて以来、この国の選挙制度は「民意」を歪める装置として、また作り出す装置として働いてきた。現行の選挙制度の元で行われる選挙結果は、少数派の意思が圧縮され、多数派の意思が増幅されたものでしかない。

 なぜ現行の小選挙区制は、有権者の意思を反映しないのか。それは一つの選挙区で一人しか当選者のいない、「勝者総取り」の小選挙区を中心にしているからだ。

 小選挙区では、二位以下がどんなに票を集めていても、選ばれるのは一人の勝者であり、その他の候補への投票は、死に票となって有権者の意思は大きく切り捨てられる。得票率が過半数に満たない候補が、選ばれることも起こる。その場合、過半数の「民意」がその勝者を選ばなかったにもかかわらず、無視されることになる。

 このような特質のため、「勝つ」候補が票を集める傾向にある一方で、「勝てない」候補への投票は避けられる。政策的には他の候補を支持しているのに、「勝てない」という理由で「勝つ」候補に投票する有権者も現れる。有権者の「民意」はねじ曲げられる。

 小選挙区制は、有権者の「民意」を偽装する。

 小選挙区の弊害を補い「民意を反映」するのは、比例区だとされてきた。得票数に応じて議席が配分される比例区は、小選挙区に比べて「民意を反映」している。だが民主党案によれば、その比例区を一挙に80議席も削減するという。つまり単純小選挙区へ近づくということだ。そうなれば小選挙区の弊害は増幅される。


鳩山代表は細川内閣の官房副長官

 小選挙区制が導入された当時、政府は「民意の反映は比例代表制で補う」と答弁していた。逆に言えば小選挙区は「民意を反映」しないと認めていたのだ。その細川内閣で内閣官房副長官を務めていたのが、鳩山由紀夫である。

……政府は「民意の反映は、比例代表制で補う」と答弁した。小選挙区制に対する「民意を反映しない」という批判を否定できずに、かろうじて比例代表制を加味することで、議会制民主主義を担保できるというものであった。

引用元:http://www.jlaf.jp/iken/99/iken_990500.html

 その鳩山が代表を務める民主党が、今度は「ムダづかい」と称して衆院比例区を狙い打ちするのは、欺瞞である。鳩山は比例区削減が「民意」を切り捨てることであると理解しているはずだ。「国会議員も身を削る」等と言われているが、実際に削られるのは、国民の「民意」であり、選挙権の効果であり、意見の多様性であり、少数野党の議席である。民主党は痛まないどころか、議席占有率を高めることが出来る。

議員数の削減は改革詐欺

 民主党のマニフェストを見ると、「天下りのあっせんの全面的禁止」や「国家公務員の人件費削減」等と並んで、「衆議院の比例代表定数の80削減」が「ムダづかいをなくすための政策」、「行財政改革」とされている。これを読んだ人には「国会議員の数は多すぎる、しかもその維持に相当のお金がかかっている」といった予断が植え付けられることだろう。はっきり言って詐欺である。

 上で述べたように、1) 比例区は「民意の反映」の為の存在であり無駄ではない。2) 日本は海外と比べると、国民の数に比べて国会議員の数が多いとは言えない。国民の多様な意見を国会に届けるためには、議員はもっと多い方がいい。3) 議員を削減することで得られる予算はそれほど多くない。「土佐高知の雑記帳」の試算によると、議員を80人減らすことで浮くのは年額44億円に過ぎない。「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」の試算でも、「議員定数80を削減した場合の公金削減分」は、約54億1853万円に過ぎない。

 それでも約50億円という数字は多いと感じる人がいるかもしれないが、引用した二つのブログも指摘しているように、政党助成金は年額約320億円と文字通り桁違いだ。国会議員にかかる費用は、有権者の意志を国会に届け、民主主義を実現するためのコストであり、「ムダづかい」ではない。

 国会議員が何のためにいるのかを考えよう。国会議員は主権者である国民の代表者だ。それを減らすことは国民の権利を踏みにじることを意味する。

本当のオルタナティブがなくなる

 自民党と民主党がともに議員定数の削減を目指していることは、この二つの党が制度的に二大政党制を完成させ、少数政党を排除しようという共通目標を持ったとみなせる。これはまず両党にとって都合の良いルール作りを進めて、どうするのかは後に持ち越そうという、手続き面での暗黙の合意であるのかもしれない。実現すれば両党が基本的に一致する政策が、なし崩し的に進められる可能性がある。

 改憲や海外派兵に反対することが難しくなるだろう。財界の支配にメスを入れることが難しくなるだろう。大企業・富裕層からの再分配が難しくなるだろう。消費税増税に反対することが難しくなるだろう。特に危惧せざるを得ないのは、将来の憲法改正を見据えつつ、改憲派で議席を確保したいという狙いが透けて見える点だ。議席数は憲法改正の発議は勿論、改憲手続き法(国民投票法)の規定にも直結する。

 「政権交代」が最優先視されるこの衆院選において、改憲や消費税は大きな争点とはなっていない。にもかかわらず、ここで予め未来を方向付けるようなことを決めて良いのか大いに疑問だ。まず大政党に有利な「民意」は増幅し、そうでない「民意」は縮小するルール作りをしよう、という姿勢は間違っている。


国民は二大政党制を望んでいるか

 そもそも国民は二大政党制を望んでいるのだろうか。朝日新聞の調査では、「自民と民主の二大政党以外の政党にも勢力を伸ばしてほしい」と思う人が54%と過半数いる。去年のデータながら、読売新聞の調査では、自民党・民主党の両党に不満を感じる人がそれぞれ8割いる。7月の読売の調査も同様の傾向を示している。

 国民は積極的には二大政党制を支持していない。にもかかわらす二大政党化が進んでいるのは、最初に述べたような小選挙区制のカラクリによる。


二大政党制は「偽装された民意」

 小選挙区制が導入された当初の目的は、リクルート事件などを受けて、腐敗した金権政治をただすことにあった。国民が二大政党制のレール作りを望んで、細川政権に高い支持を与えたとは思えない。だが今や政界・財界・マスメディアがスクラムを組んで二大政党制を既成事実化しようとし、国民が二大政党制を望んでいるかのように「民意」が偽装されている。

 民主党が次の衆院選で大勝すれば、「民意」の支持があったとして、衆院比例区の削減を躊躇しないだろう。そうなれば自民党に比べて「リベラル」な政権が誕生しつつ、社共は排除されて、政治全体としては大きく右寄りになる。

 問題となるのは、今の民主党が隠している改憲や海外派兵、消費税増といった志向性だ。「政治改革」の名の下に小選挙区制を導入した細川政権のように、自民ですらやれなかったことを非自民政権がやる、という逆説が繰り返されるかもしれない。そして議員定数の削減は、そのための布石となる。

 この政治状況下で本当のオルタナティブとなるのは、社民党や共産党だ。しかし今度発表されたマニフェストは、そうした選択肢を選ぶ権利すら国民から奪おうとしている。



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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-17 23:58 | 政治
 日本の戦後政治史を俯瞰すると、改憲に必要な3分の2以上の議席確保を目的として、保守派から小選挙区制が度々持ち出されて来たことがわかる。また小選挙区制は、二大政党制の形成による少数派の排除の道具でもあった。資料を元に、改憲と小選挙区制そして二大政党制の戦後政治史を少しばかり描き出してみたい。


1947年 / 小選挙区制と二大政党制が理想
 国民主権となって初めての総選挙が行われる。この時選挙制度は、46年の大選挙区制限連記制から、42年以前の中選挙区単記制に復帰した。この選挙法の改正における保守派の狙いは、連記制では共産党と女性が伸びると見て、それらを排除することにあった。後に保守合同の立て役者となる三木武吉は、46年の総選挙で社会党と共産党が伸びたのを見て、保守各派を連合しないと「日本は大変なことだ」と思ったという。

 植原悦二郎内相は、記者会見で「二大政党主義による政党政治の安定確立という建前により、小選挙区単記制がもっとも理想的だと思う。小党分立は民主主義の発展を阻害する。しかしこのような一足とびの態勢は直ちに[は]困難だから、まずは中選挙区単記制をとりたい」と述べていた。当時から、保守派の中に小選挙区制と二大政党制を理想とする意見があったことがわかる。

1955-1956年 / 鳩山一郎の改憲策動とその挫折
 鳩山一郎・岸信介らの民主党が憲法改正による自衛軍の創設を掲げ、分裂していた左右両派の社会党が平和憲法擁護を統一決議とするという対決的な政治状況の下で、55年2月に総選挙が行われる。選挙結果は民主党が第一党になったものの、左派社会党も議席を伸ばし、保守全体では改憲に必要な議席を獲得できなかった。

 10月には左右両派の社会党が統一大会を開いて統一し、その一ヶ月後の11月には自由党と民主党の保守合同により、自由民主党が結成される。55年体制の始まりである。保守合同の背景には、熱狂的な反共主義者だった三木武吉の仲介、左派社会党の躍進に危機感を強めた経団連・日経連・経済同友会・日本商工会議所といった財界の介在があった。

 合同を目指した第一回の政策委員会の席上で強調されたのは、「このままの政治の推移では容共社会党の天下」となるという露骨な反共主義だった。これが保守合同の本音であったが、保守政治家たちは表向きには、「二大政党論」や「政局安定」といった言葉で粉飾していた。また、自由党の側から合同を主導した緒方竹虎は、CIAの協力者だった。

 翌56年、鳩山内閣は、今度は選挙制度を変えることで改憲を謀るべく、小選挙区制法案を国会に提出する。この法案は、選挙区の区割りが自民党の現職、特に鳩山派である旧民主党系に有利なように線引きされた不平等なものだった。「ハトマンダー」と呼ばれたこの悪名高い区割りは、野党と世論のみならず、与党内部からも強い非難を浴び、結局廃案となる。これらの挫折の後、鳩山は改憲を諦めざるを得なくなる。

1960年 / 岸信介の改憲構想と60年安保
 岸信介内閣が5月19日の夜に、500人の警官隊を衆院に入れ、安保改定を強行採決したことによって、その強権ぶりが国民的な反発を招き、空前の盛り上がりを見せた60年安保闘争が起こる。岸は安保改定をテコにして小選挙区制を導入し、改憲へ向けた体制を整える構想を持っていた。

 岸はかつて二大政党制による「共産主義に対抗しうる『強力な安定政権』の確立」を望み、保守合同を推進していた。鳩山内閣では幹事長として小選挙区制の導入を計り、前述のように挫折していた。しかし、岸は小選挙区制と改憲を諦めていなかった。

 岸内閣の佐藤栄作蔵相は、58年にマッカーサー米駐日大使に合い、「共産主義と戦うために」自民党への資金援助を要請していた。50年代から60年代にかけて、CIAは数百万ドルの資金を自民党に提供していた。

 安保条約は自然承認されたが、激しい反対の声に押されて、岸は辞任せざるを得なくなり、その試みは瓦解する。

1972-1973年 / 自民党永久支配を目指した田中角栄
 田中角栄は、72年7月に内閣を発足して高い支持率を記録、9月には日中国交正常化を成し遂げる。しかし、その余勢を駆って行われた12月の衆院総選挙の結果は、振るわなかった。自民党は議席を減らす一方、社会党が議席を大きく回復、共産党は三倍近い伸びを見せた。

 自民党一党独裁の危機を感じ取った田中は、選挙制度を変えることで、支配を盤石なものにしようとした。田中内閣は73年4月から5月にかけて、衆議院の選挙制度を小選挙区並立制に変える法案を、国会に提出しようと試みる。

 自民党に極めて有利なこの法案は、野党は勿論、新聞からも大反対に遭い、挙げ句の果ては党内からも異論が噴出して、国会提出を諦めざるを得なくなる。

1989-1991年 / 「政治改革」と小選挙区制の結合
 リクルート事件が自民党を大きく動揺させる中、89年4月に竹下首相が、リクルート社から巨額の金銭を得ていたことが明るみに出て退陣する。5月には、政治腐敗をただすとの目的で自民党が設置していた政治改革委員会が、「政治改革大綱」を発表する。そこには小選挙区比例代表並立制を意味する提案が書き込まれていた。

 6月には、宇野内閣によって第八次選挙制度審議会が発足される。この審議会にはマスメディア関係者が多数含まれていた。これまで小選挙区制が導入されようとした際に、大新聞がこぞって反対して来た経緯を考慮したものだった。

 翌90年に、同審議会は海部内閣に対して小選挙区制導入を答申する。これには野党のみならず、党勢を回復していた自民党内部からも反対の声が挙がる。しかし、海部はリクルート事件で地に落ちた派閥の領袖たちの復権を阻止し、自分の内閣を継続させる目的で、「政治改革」の実現を目指した。

 91年に、選挙制度を小選挙区制へ変える法案が、国会に提出される。衆院に政治改革特別委員会が設けられ、法案が審議されたが、与野党の反対が強いと判断した委員長によって廃案となる。

1994年 / 細川内閣が小選挙区制を導入
 「政治改革」を旨とする細川内閣により、小選挙区比例代表並立制が導入される。法案は社会党の一部を始めとする強硬な反対派により、参院で否決されるが、細川と自民党総裁河野洋平のトップ会談で修正合意されることで決着した。マスメディアはこの「政治改革」を肯定的に捉えて、その内容まで踏み込んだ議論をしなかった。

 この内閣のキーバーソンであった小沢一郎は、前年に『日本改造計画』を出版して話題となっていた。この本の中では少選挙区制の導入や改憲が主張されていた。また同書では「強力なリーダーシップ」の必要性が説かれているのだが、これは小沢にとって多数派が少数派の意見を積極的に無視することを意味した。

 政権党が両院で過半数を得て法案を成立させるために一部の野党に譲歩、妥協したものを、さらに譲歩せよというわけである。……過半数が賛成している案を、少数のダダッ子がいて、その子をなだめるために、いいなりになってすべて変えてしまう。……少数者の横暴のため多数者の意志が通らなくなる。

小沢一郎『日本改造計画』講談社、1993年、24頁

 こうやって眺めると、50年代から60年代には明示的に改憲と結びついていた小選挙区制が、リクルート事件を機に、今度は「政治改革」という新たな衣を纏うことによって、それまで反対していたマスメディアを取り込みつつ、受け入れられていった過程がわかる。その試みが遂に成功したのが、94年の細川内閣においてであった。

 そして改憲手続き法(国民投票法)の成立を見た今、自民・民主の両党が揃ってマニフェストに議員定数の削減を盛り込んだことは、再び改憲志向の選挙制度改革が甦って来たように思われる。自民党は「自主憲法の制定」をマニフェストに書き込み、民主党の鳩山由紀夫代表は筋金入りの改憲論者である。

 特に民主党の定数削減案は、比例のみを削減すると明言しており、実現すれば単純小選挙区に近づくという危険性を持つ。そうなれば、改憲派が国会で多数を占めることが容易になり、本当のオルタナティブは消えてしまうだろう。


    [参照文献]
  • 後藤基夫・内田健三・石川真澄『戦後保守政治の軌跡』岩波書店
  • 石川真澄『戦後政治史 新版』岩波新書
  • 冨森叡児『戦後保守党史』岩波現代文庫
  • 原彬久『岸信介』岩波新書
  • 小熊英二『1968(上)』新曜社
  • 小沢一郎『日本改造計画』講談社
  • 山口二郎『日本政治の課題』岩波新書
  • 山口二郎『戦後政治の崩壊』岩波新書

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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-17 23:27 | 政治
 「民主党マニフェストに“ダメ出し”するのがメディアの仕事か?」と題された記事で、ジャーナリストの上杉隆が、大政党のマニフェストだけがマニフェストと呼ばれるべきであり、少数政党のものはマニフェストとは呼ばないと、以下のように主張している。これは本当だろうか?

 マニフェストは「政権公約」と訳されることからもわかる通り、政権獲得が期待される政党が、今後の数値目標や工程表などを具体的に示した上で、施政に関して有権者に約束するものである。

 そうした意味でいえば、自民党と民主党以外の政党の「マニフェスト」を、マニフェストと呼んでいいのか疑問の残るところだ。

 少なくともマニフェスト発祥の地・英国では、少数政党のそれは「マニフェスト」とは呼ばない。

引用元:http://diamond.jp/series/uesugi/10088/

 検証の為さっそくBBCのサイトで「lib dems manifesto」と検索してみると、あっさり保守党でも労働党でもない、イギリス自由民主党のマニフェストに関する記事が見つかる。ここでは二本の記事を紹介しておこう。一本目の記事では、自由民主党のマニフェストを紹介(マニフェスト自体もダウンロードできる)、二本目の記事では。それに対する人々の意見を紹介している。この上杉の主張が全くの嘘であることがわかる。

 どうやら上杉は我々の知るイギリスとは異なるイギリスを知っているらしい。たぶん時間を気にする白ウサギに導かれて不思議の世界にさ迷い込んだのだろう。

 更に付け加えると、民主党が連立政権を組む場合を想定すれば、社民党・国民新党のマニフェストも視野に入れるべきだが、この記事にそのような視点は全く無い。このような独断と偏見は、民主党への過度の傾倒と少数政党への蔑視に基づくものである。
時事 - 共通政策、8月中旬に=3野党

 民主、社民、国民新の野党3党は31日午前、国会内で幹事長や政策責任者による会合を開き、衆院選で訴える3党の「共通政策」について、8月中旬の早い段階で成案をまとめる方針を確認した。3党は与野党逆転を実現した場合、これを土台に連立政権樹立に向けた協議を進める見通しだ。

 会合には民主党の岡田克也幹事長、社民党の又市征治副党首、国民新党の亀井静香代表代行らが出席。3党がそれぞれのマニフェスト(政権公約)の内容を紹介した。又市氏は「憲法理念の実現」など四つの基本政策を説明し、「新しい連立政権の中で実現すべき政策だ」と訴えた。

引用元:http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009073100058

 また同記事は、「そもそもマニフェストは実現可能性を問うものではない」との理由で民主党を弁護する。しかし結論から言うとこれもデタラメである。
 そもそもマニフェストは、実現可能性を問うものではなく、将来の政策を示し、その達成度合いをチェックするための指針なのである。よって、メディアに期待されるのは、未来の実現可能性を問うことではなく、現実(過去の)のマニフェストの達成状況を検証することではないか。

引用元:http://diamond.jp/series/uesugi/10088/?page=3

 今度はマニフェスト選挙の主導者である「21世紀臨調」のサイトを覗いてみよう。「政権公約(マニフェスト)に関する緊急提言~新政治改革宣言・政党の立て直しと政治主導体制の確立~(pdf)」という文書には、以下の記述がある。

 また、マニフェストで具体的な数値目標などが設定されるということは、①そもそも政策の実現には財源その他の資源的裏付けが必要であること、②この資源は有限であるため、あらゆる願望をすべて実現することはおよそ不可能であること、③だからこそ、掲げた政策の実現可能性が問われるということを、国民と政党の双方に自覚してもらう効果をもつ。検証可能な具体的な目標の設定により、政党は政党間競争を通じて実現可能な政策の立案能力を鍛えられ、政権を獲得した後はその結果が厳しく検証される。

……これまで日本の政党の「選挙公約」は、国民にとっても、候補者にとっても重要視されてはこなかった。しかもその内容は、検証が不可能であるような抽象的な目標や願望を総花的にあれもこれもと羅列したものにとどまり、具体的な政権イメージを惹起できず、実現可能性は無視され、実行体制も構築されず……

 マニフェストは、①政治の機能がダイナミックな選択にあること、②政党の機能は社会の多種多様な利害・関心を複数の選択肢に集約する機能であること、③政党が掲げる政策は、資源の裏付けを含め、実現可能なものでなければならないことを明確に再認識させる。

*強調は引用者

引用元:http://www.secj.jp/pdf/20030707-1.pdf

 明らかにマニフェストは、その主導者たちによって「実現可能性」を問うためのものとして規定されているのである。「マニフェストは実現可能性を問うものではない」とする上杉の定義は、一般性を持たないローカルな「オレ定義」に過ぎない(実現可能性にこだわるマニフェスト選挙自体問題である)。

 上杉は事実に基づかない定義を振りかざして、「まだ打席にも入っていない民主党」のマニフェストを批判するよりは「長い間バッターボックスに立っていた」自民党のマニフェストを検証せよと言う。政権を獲る前から財源に固執する主張には賛同できない(というよりそれがマニフェスト選挙の弊害だ)し、その指摘も正しい。しかしこのような奇妙なレトリックを用いてまで民主党を擁護するのは、詭弁であり贔屓の引き倒しと言うべきである。

 ところで、彼自身が同連載の別の記事で書いているように、民主党は大連立という八百長試合をやりかけた政党である。「まだ打席にも入っていない民主党」ではなく「無理矢理打席に入ろうとしたことがある民主党」というべきだろう。そしてこの記事に明らかなように、少数政党はバッターボックスに立たせてもらえないどころか、ベンチ入りすらさせてもらえない。

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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-13 18:32 | メディア
 マスメディアは自民党と民主党に報道を集中させている。本当に「民意」は自民党と民主党のみを求めているのだろうか。二大政党制を望んでいるのだろうか。世論調査は異なる事実を伝えている。


……自民と民主の政策に「はっきりとした違いがある」と思う人は28%で、「あまり違いはない」は64%に上った。「民主党政権」で日本の政治は「良くなる」は26%、「悪くなる」9%で、「変わらない」59%が最も多かった。

引用元:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20090704-OYT1T00747.htm

 自民党と党民主の政策に「あまり違いはない」「民主党政権で日本の政治は変わらない」が6割。「はっきりとした違いがある」「民主党政権で日本の政治は良くなる」は30%弱。

c0187090_15351846.jpg


引用元:http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20090704-OYT9I01060.htm

 上の記事のグラフ。自民党と民主党のどちらも「これからに不安を感じる」が約8割。「これまでに失望を感じている」は過半数。これは「これからに期待している」や「これまでに満足している」に大きく差を付けている。

◆今度の総選挙で、自民と民主の二大政党以外の政党にも、勢力を伸ばしてほしいと思いますか。そうは思いませんか。

 勢力を伸ばしてほしいと思う 54
 そうは思わない       38

*改行と空白を調整

引用元:http://www.asahi.com/politics/update/0802/TKY200908020173_01.html (魚拓)

 自民党と民主党の二大政党以外の議席増を望む人が、54%で過半数。

 次の調査は去年のものだが、興味深い結果が出ているので、参考としてリンクのみ示す。


 読売の調査結果からは、人々が自民党と民主党の双方に、大きな不安感や失望感を持っていることが見て取れる。また両党に際だった違いはないし、政権交代しても大きく変わらないと認識しつつ、どちらかと言えば民主党に期待する姿が浮かび上がる。そして朝日の調査結果からは、自民党より民主党を支持しつつ、過半数が二大政党制は望まないという結果が出ている。

 こうした調査結果にもかかわらず、なぜ民主と自民だけが採り上げる価値があるとされるのだろうか。それはやはり一つの選挙区で一人しか当選しない小選挙区の存在が大きな理由だろう。二大政党の候補のどちらが勝ってどちらが負けるかに注目が集まり、第三党以下は蚊帳の外に置かれてしまう。

 かつて小選挙区制が導入された時、政府は小選挙区は「民意を集約」するものであり、比例区は「民意を反映」するものだと説明した。それに倣って言えば、現在の報道は「民意を集約」する「小選挙区型報道」と言うべきものであり、「民意を反映」するべき「比例区型報道」が無いと言える。

 それは上の世論調査も例外ではない。読売の世論調査は、自民党と民主党のみを採り上げている。朝日の世論調査も、自民党と民主党から選ばせる項目が多い。これらは勝ちそうな二人の候補のどちらかを選ばせる小選挙区の論理そのものである。

 二大政党制に回収されない「民意」がこれ程あるにもかかわらず、何故無視されるのか疑問である。需要があるのだから、それに応えれば良いではないか。単純なことだ。そうしないのは、マスメディアの主体性の問題だ。これでは世論を誘導しようとしていると言わざるを得ない。

 自公退場を望む声は強い。しかしそれが民主支持となって現れているだけでなく、自民と民主の双方を疑う視点も持ち合わせていることにも注目しなければならない。しかしこの二つの流れの内、マスメディアは前者のみを採り上げて、後者を無視し続けている。

 心配なのは今後選挙戦が盛り上がるにつれ、あるいは前評判通りに民主党が勝利した時に、「民意」は二大政党制を望んでいると既成事実化されてゆくことだ。選挙結果や報道のあり方によって「民意」が左右されることを思えば、そうなりかねない。それが選挙前の「民意」とは異なることを記しておくと同時に、そうなる前にマスメディアが、「民意」に反するこうした報道姿勢を転換することを望む。



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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-13 16:12 | 政治
 最近細川政権のことを考えることが多い。おそらく衆院総選挙後に出現するであろう民主党政権が、どういった性格のものになるかを考える上で、示唆するものを与えてくれそうだからだ。そう思っていたところ、今日8月9日付の朝日新聞朝刊に、細川護熙元首相とその参謀役だった田中秀征のインタビューが載っていた。

 細川政権は初めてが多い政権だった。初めての非自民政権。初めて首相としてアジア・太平洋戦争を「侵略戦争、間違った戦争」と明言。初めて小選挙区制を導入。清新なイメージがあり、「政治改革」を掲げて高支持率を得た。ここから現在まで続くポスト55年体制の政治劇が始まった。

 いろいろと考えさせられるところの多いインタビューだが、今と繋がるテーマとして私が特に注目したいのは、「侵略戦争」発言、小選挙区制と二大政党制、そして改憲のことだ。

 「侵略戦争」という発言は、就任後初の記者会見でなされたものだ。しかし、その後の所信表明演説では「侵略行為」という表現に後退した。当時はどういう経緯で「侵略戦争」発言がなされたのかと、舞台裏を探られた。このインタビューでは、「もう少し言葉を尽くして説明すればよかったと思わないでもなかったが、明快に言ってしまった」と答えており、細川個人の英断があったことを窺わせる。

 ――細川さんは政権発足直後の記者会見で、先の大戦について「侵略戦争だった」と答えられました。

 細川 もう少し言葉を尽くして説明すればよかったと思わないでもなかったが、明快に言ってしまった。

 ――発言への反発、脅しとかも。

 細川 それらしきことは随分ありましたね。

 田中 大量に来たよね。血で書いたような手紙もあった。

 細川 街宣車もたくさん来た。

 田中 細川発言の延長線上で、自社さの村山政権は「侵略」や「植民地支配」を謝罪する「村山談話」を95年に出す。05年、自民党の小泉政権がそれを踏襲する「小泉談話」を出した。小泉さんは、細川さんが「侵略戦争」発言をしたとき、私に「あれでいいんだ」と言ってきました。

 細川 そうなんですか。

 そしてこの二人は、小選挙区制導入のまさに当事者であった。統一会派を組んでいた日本新党と新党さきがけは、選挙制度改革を受け入れることを条件に、他の非自民勢力と結集し政権を誕生させた。そして政権発足の翌年1994年に政治改革法案が成立する。この問題の多い選挙制度に対して、社会党の一部が強硬に反対したが、結局細川首相と自民党総裁河野のトップ会談で、修正合意することで決着した。しかし意外なことに、細川は二大政党制を支持しないと言う。

 ――ただ、細川さんは単純な二大政党論者ではない。国会答弁で将来は「穏健な多党制」に向かうと発言された。

 細川 その時点とその後では事情が変わりました。選挙制度が変わった。最初の政府案は小選挙区250、全国区の比例代表250でしたが、法案成立時は小選挙区300、ブロック制の比例代表200。いまは300と180。だんだん二大政党制に有利な制度になっています。

 田中 政府案の「250・250」がそのまま成立していれば、穏健な多党制を担保できたのですが。少数政党は主張が明確です。大政党にあいまいさを許さない存在になるんですよ。今の流れだと、大政党がわけの分からない烏合(うごう)の衆になります。

 ――民主党はさらに比例区の定数を80、減らそうとしている。

 細川 それはよくない。しかし民主党が今度の選挙で勝利すれば、その先は二大政党制ではなく、「穏健な多党制」に移行するのではないかという予感もある。単純小選挙区制で二大政党制のイギリスでさえ、第三党の自由民主党が力をつけ、「穏健な多党制」にシフトしつつあるのですから。

 インタビューイが語った内容とはいえ、二大政党制批判や民主党の比例定数80議席削減に反対する意見を、朝日が採り上げるのは初めてのはずだ。朝日は自らが音頭をとって論点を提出しない傾向があるので、あまり高望みは出来ないが、今後二大政党制・議員定数削減の問題について、追随するメディアが現れることを期待したい。

 また改憲については、きっぱりとこう語る。

 ――小泉さんの後の安倍政権は、「憲法改正」「占領政策からの脱却」を主張した。どう思われますか。

 細川 「ノーサンキュー」です。それだけです。

 ――宮沢さんは首相をやめる直前に番記者に語っているんです。「憲法は変えないほうがいい。二度と戦争はしちゃいけないんです」と。政権交代は構わない。自分の原点である平和、憲法は守ってほしいと。

 田中 宮沢さんは細川さんがそれを引き継いでくれると期待したんです。

 細川 宮沢さんや後藤田正晴さんなんかと一緒にやれたらおもしろかったでしょうね。

 細川としてはそうなのかもしれない。しかしこの政権の裏方だった小沢一郎は、小選挙区制と改憲をセットで考えていたのではないか。この二つは話題となった小沢の著書『日本改造計画』にはっきりと書かれている。そして、それこそが私が来るべき民主党政権に対して最も不安を覚える点なのである。



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# by sea_of_sound_2008 | 2009-08-09 10:07 | 政治