公平な選挙制度を!


by sea_of_sound_2008
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 次に書くことは「マスコミに載らない海外記事」が訳している「ジョージ・オーウェルの『1984年』を2010年に再訪」という記事を見て考えたことだ。個人的にこれはとても時宜を得た翻訳だった。というのはアメリカが「一党国家」だというのはまさしく最近の私が考えていたことだから。
一党国家: オセアニア同様、アメリカは事実上、一党国家だ。二つの巨大企業政党が、偽って二つの“対抗している”党であるかのごとき振りをしているのだ。実際には、両党は、実際は一つの党の軟派・硬派二派閥に過ぎない。金融支配層が経済的に重要なあらゆる物事と、資源開発を、しっかり支配している。アメリカ版の一党国家は、表面上、明らかにそうでないもののように見えてしまうがゆえに、実際オセアニア版よりも一層危険な程、オーウェル風だ。オセアニアは、民主主義のふりをしようと気を使わないだけ、少なくとも十分に“正直”だ。

引用元:マスコミに載らない海外記事 - ジョージ・オーウェルの『1984年』を2010年に再訪

 例えばアメリカは中国の体制を非難する。確かに中国の体制に問題はあるだろう。しかしアメリカの体制にも大いに問題はあるのだ(そして日本の体制にも)。アメリカと中国のどちらかに問題があるのではない。どちらにも問題がある。

 だがある人々は、片方に中国というとんでもなく遅れた国家があり、もう片方にアメリカ(やあるいは日本)という素晴らしく自由な国があると受け取っている。「左翼」や「社会主義」に対するお決まりの偏見がそれを増長するだろう。非難のための道具と化した「人権」が正当性を与えてくれるだろう。中国を見る目にはアジアに対する古い偏見も幾分かは加わっている。日本の場合近代以来の福沢諭吉的なアジア蔑視がその代用品となっている。

 言葉をもじって言うのなら、アメリカは「一党独裁制国家」ならぬ「二党独裁制国家」だ。何も非難のために概念をもてあそびたいわけではない。その意味するところは、この記事にある通り、二つの政党のどちらに投票しても支配層に大きな影響はないし、彼らを脅かすような政策が実行されることはないということだ。「第三の道」という名前で新自由主義に転向したイギリスもそうだ。

 今日では誰でもファシズム国家は論外だと言うだろう。そしていわゆる「共産主義国家」も問題だと言うだろう(コミュニストですらソビエトを非難するのだから)。だが民主主義国家についてはたいした検証もなく問題なしと見なされる。そして民主主義体制が最終目標であるかのように言われる。民主主義の中身は問われない。

 共産主義が一度も実現したことがないのと同じくらい、民主主義は実現したことがない。現存する民主主義国家は、文字通りの民主主義国家ではなく、「いわゆる民主主義国家」とか「自称民主主義国家」とでも呼ぶべきものだ。それを見て取るのに何のイデオロギーも必要ないし、敢えてそういう言い方をするのならマルクスを読む必要もない。一体アメリカのどこをどう見れば民《たみ》が支配していると言えるのか。

 それは日本も同様だ。鳩山政権の末期に沖縄の人々が憤ったのは、首相が普天間基地の県外移設を公約し、票を集めて当選して政権の座に着いたにもかかわらず、その公約が実行されないということだった。しかもなぜ実行されないのか本当のところは誰にもわからないのだった(右派のメディアや評論家はいろいろ解説して見せたがそんなものは何の正当性もないし、全くの無価値だ)。

 ソビエトは共産主義ではなかった。アメリカも民主主義ではない。「政権交代のある二大政党制」を掲げる人々、政党、マスメディア、学者が目指しているのはそういうアメリカ型の国造りだ。見せかけの政権交代ということだ。一党が支配する代わりに二党でキャッチボールをするということだ。本当に重要な選択肢はあらかじめ排除するということだ。
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# by sea_of_sound_2008 | 2010-07-16 14:30 | 政治
 「ペガサス・ブログ版」経由。普天間基地の問題を考えていて、この動画をまだ観ていない人がいたら是非観た方がいい。
 米軍基地の問題は沖縄だけの問題ではないとは考えていたけれど、グアムやハワイのことはあまり考えていなかった。これを観てその自分の考えがいかに小さかったかを知らされた。沖縄・グアム・ハワイを結んで考えるのなら、米軍基地の問題はアメリカの太平洋支配という問題だ。
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# by sea_of_sound_2008 | 2010-06-09 03:00
 随分昔に次のショーペンハウアーの言葉に出会って以来、愛国主義というものが何であるのかについて確信を持っている。この文章は歴史修正主義やレイシズムが跋扈する現在の日本(それは「ネット右翼」だけの狭い問題ではない)を前にしても、本質的な洞察を見せている。
 これに反して誇りのなかでも最も安っぽいのは民族的な誇りである。なぜかと言うに、民族的な誇りのこびりついた人間には誇るに足る個人としての特性が不足しているのだということが、問わず語りに暴露されているからである。

 すなわち個人としての特性が不足していなければ、何もわざわざ自分を含めた幾百万の人間が共通に具えている要素に訴えるはずがないからである。立派な個人的長所を具えた人は、自国民の欠点を常日ごろ見せつけられているのだから、この欠点をこそ最もよく認識するわけであろう。

 ところが何一つ誇りとすべきもののない憐れむべき愚者は、たまたま自分の属する民族を誇りとするという最後の手段を命の綱と頼むのである。これによって息を吹き返し、随喜感激して、自国民に具わる欠点や愚かさを何から何まで力のかぎり根かぎり弁護しようとする。

*ショーペンハウアー『幸福について』より引用。見易さのために適時改行。

 ショーペンハウアーはまた、「アレクサンダー大王は、名と追憶とが残っている。ところがプラトーンやアリストテレース、ホメーロスやホラーティウスは、今でも本人が現存し、直接に生きて働いているのである」とも言っている。

 現在まで続くある特殊な極右的思潮の源流は1990年代後半にある。「民族的な誇り」を根拠にするそれらは、19世紀に書かれたショーペンハウアーの鋭い言葉によって、生まれる以前に既に刺し殺されているし、これからも刺し殺され続けるだろう。
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# by sea_of_sound_2008 | 2010-06-03 12:14 | 雑記
 以前から不思議に思っていたのは、なぜネット右翼がああも簡単に自分の意見への反対者を「在日」とみなすのかということだ。私より洞察の深い人にとっては自明のこともしれないが、ごく最近になってその理由が一部分ながら理解できた気がする。

 この傾向は以前からあったが、民主党、社民党、国民新党が連立して政権に就いてから、それが更にひどくなった。小沢一郎がコリアンであるというデマがインターネットを飛び交っているし、つい最近も東京都のレイシスト知事石原慎太郎がインターネットを引き合いにして(いつものごとく卑怯にも)、差別発言した事実があった。


 これは集合論のようなものだ。ネット右翼はおそらく、「全ての人間はその存在のまるごとが国家に従属している」と考えている。国家という円の中に、それぞれの個人が点として含まれている図を想像してもらいたい。これは間違った国家像だ。なぜなら、あくまでも国家は諸個人が契約する限りにおいて立ち現れる概念だからである。
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 個人はその存在のまるごとが国家に従属しているのではなくして、必要な限りにおいて国家に関わる。社会的な生活を営むに必要な限りにおいて、国家というものが存在する。それが国家に対する正しい認識だ。今度は一部が重なる二つの円を想像しよう。片方が国家で、もう一方が個人だ。注目すべきは個人には当然ながら国家に重ならない部分が存在するということだ。
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 重なる部分のみにおいて個人は国家に関わり、重ならない部分においては個人は国家に干渉されることはなく、国家から自由である。法的には自由権の存在がそれを保証している。

 だから、ネット右翼の歪んだ国家観と異なり、「全ての人間はその存在のまるごとが国家に従属するのではなく、必要な限りにおいて国家に関わる」とか「個人が社会的な生活を営む必要において国家というものが存在する」いうのが正しい認識だ。これはアナーキスト以外には受け入れられる国家観だろう(ひょっとして彼らの方が正しいのかもしれないが)。この二つの国家観の違いを検討することで、なぜネット右翼が反対者を「在日」と考えるのかその「論理」が明らかになる。


 「全ての人間はその存在のまるごとが国家に従属している」と考えるネット右翼は、自分の意見に反対する者、自分の卑小な考えでは理解できない発想を持つ者に出会った時、「人には国家から自由であるのだからそういう考えもあるだろう」と考えるのではなくして、「この人物は日本に反対している。ということは他の国家に属しているのだ」と誤った推論をする。

 自分たちの愛国に反対する者に出会った時に、「それは主権者として国家から個人の自由を守る正当な活動だ」と考えずに、外国人であるとか売国であるとか考える。「全ての人間はその存在のまるごとが国家に従属している」という命題が彼らのドグマであるから、他人もまたそうであろうと考える。彼らなりに「論理的に」考えた結果としてそうなるのだ。自分がそういう存在であるから、他人もまたそういう存在であると推察する、これが彼らの思考の筋道だろう。


 愚か者は無知だから愚かなのではなく、自らの愚考に頼って考えるから愚か者なのだ。彼らは近代人ではない。啓蒙思想以前の存在だ。日本は経済的には成功したが、思想の面では近代化していない。そのくせ人々は、それが啓蒙思想が輸入された時代であることなどは忘れて、司馬遼太郎に倣いつつ、明治時代は素晴らしかったなどと言い、「前近代的な」中国を指弾する。


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# by sea_of_sound_2008 | 2010-06-02 01:17 | インターネット
c0187090_20491538.jpgc0187090_2048494.jpg ロゴ画像を変えた。右が以前のロゴ画像で、左が新しいもの。変えてみたものの、新しいのはいまいちしっくり来ないな。しばらく使っているうちに、慣れるかもしれない。それでも違和感が残るようだったら、また変えよう。


c0187090_20454014.jpgc0187090_20455245.jpg 「歴史修正主義に反対します」ウェブリング用のバナーを作った。自分のブログに貼った時にしっくり来る150x150のサイズのものが欲しかったので。左が新しいバナーで、右がオリジナルを拡大したもの。


c0187090_20522144.jpg ネームカードを設定した。
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# by sea_of_sound_2008 | 2010-06-01 21:08 | 運営情報
 「普天間基地問題についての第二の声明」が賛同者を募っている。締切は6月30日まで。なお名前は公表しないとのこと。

米海兵隊は撤収を --【普天間基地問題についての第二の声明】-- 賛同署名 5月29日現在3463筆

下記声明に賛同される方は最下段に署名をお願いします。
なお、この賛同署名は総数公表とし、個々のお名前は公開しないものと致します。

----------当声明へのご賛同は、第一次締め切りの2010年5月20日で3,355人となりました(開始4月23日)。ご協力ありがとうございました。なお、政府案は沖縄県内、しかも辺野古周辺に回帰するとの報道がなされています。海兵隊の撤退を求める声明の意味は減じていないどころか、さらに切実になっていると考えますので、この賛同署名は継続していくことにします。(第二次締切は参議院選挙前の6月30日とします)----------
■ 署名に寄せられた1500余の熱いメッセージもご覧下さい: http://bag654bag.blog57.fc2.com/ 

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 米海兵隊普天間飛行場は、住宅密集地の中にある世界でもっとも危険な基地として、すみやかな閉鎖、撤去が求められてきた。旧自民党政権は、普天間の移設先として、北部名護市の辺野古(キャンプ・シュワブ沿岸部)に代替基地を建設することを米国との間で「合意」したが、それは、沖縄の中に新たな巨大基地を建設することに他ならず、沖縄県民はあらゆる機会にそれに反対する意思を表明してきた。

 2009年秋の政権交代と、民主党の「国外、最低でも県外(移設)」という選挙での訴えが、沖縄県民に希望を与え、状況を大きく変えた。2010年1月の名護市長選挙では、辺野古への移設に反対する稲嶺進候補が勝利した。2月には、これまで移設を容認してきた自民党、公明党を含め、沖縄県議会が全会一致で「普天間基地の県外移設」を求める意見書を採択した。また県内41市町村長全員が県外・国外を主張している。保守が擁立した仲井真弘多県知事も「県内(移設)は厳しい」と語り始めた。沖縄は、いまや“オール沖縄”で「県内移設」反対を明確にしたのである。

 しかし、2010年5月まで「決断」を先送りした鳩山政権は、県外移設の可能性を真剣に追求することなく、キャンプ・シュワブ陸上案や勝連半島沖埋め立て案など、「県内」を軸に決着することを図り、動き始めている。
 私たちはこの政権の動きを深く憂慮し、以下のように声明する。(呼びかけ人のうち18人は、2010年1月に発表した本土の学者・知識人声明の呼びかけ人である。沖縄でもすでに学者・知識人による海兵隊撤収要求の共同声明が出されており、その意味でこれは合同での第二の声明ということになる)

(1) 私たちは、辺野古陸上案(キャンプ・シュワブ内)、勝連半島沖案はもちろん、すべての沖縄県内移設に反対する。これ以上沖縄に過重な負担をかけてはならない。沖縄の意思を無視してはならない。沖縄の環境を破壊してはならない。

(2) 民主党は、衆議院選挙で「国外、最低でも県外」を訴えた。また名護市長選では、辺野古移設反対を主張する稲嶺進候補を推薦し、勝利させた。鳩山政権が、県内移設で決着させるならば、それは明確な公約違反であり、国民・県民への裏切りといわなければならない。鳩山政権は、仮に現在の日米安保体制を前提にするとしても、まず県外移設の可能性を徹底して追求すべきである。

(3) 県外でも県内でも移設を受け入れる地域がなかった場合、現在の普天間飛行場をそのまま継続使用するという案が出ているが、それは許されない。周辺住民の生命と暮らしを脅かしているこの危険な基地は、すみやかに閉鎖されなければならない。

(4) 県外移設を追求した結果、どの地域も受け入れないということならば、日本国民には海兵隊の基地を受け入れる意思がないということを意味する。必然的に米海兵隊は日本から全面的に撤収する以外にない。日本国民には、米海兵隊の存在なしに、東アジア地域の平和と安定を構築する積極的な役割を果たす意思があるということである。米国は、日本国民の意思を尊重しなければならない。

(5) そもそも政権が奔走し、メディアが関心を集中させたのは、「基地用地」探しばかりであった。いま考えるべきことは、本当にそのようなことなのだろうか。むしろ冷戦時代の思考法である「抑止力」とか「敵」とか「同盟」といった発想そのものを疑い、その呪縛から逃れることが必要なのではないか。国際社会に「共通の安全保障」や「人間の安全保障」といった考え方が現れ、冷戦の敵対構造を解体していく大きな力になった。私たちは、米軍基地の代替地をタライ回しのように探すのでなく、米軍基地を沖縄・本土に存在させ、米軍に勝手気ままに使用させている構造こそを問わなければならない。日米安保条約は、冷戦時代の遺物であり、いまこそ、日米地位協定、ガイドライン(日米防衛協力の指針)などを含めて、日米安保体制を根幹から見直していく最大のチャンスである。その作業を開始することを、日本政府、そして日本国民に訴える。

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〈呼びかけ人〉
宇沢弘文(東京大学名誉教授) 遠藤誠治(成蹊大学教授) 岡本厚(岩波書店「世界」編集長) 加茂利男(立命館大学教授) 川瀬光義(京都府立大学教授) 古関彰一(獨協大学教授) 小林正弥(千葉大学教授) 小森陽一(東京大学教授) 千葉眞(国際基督教大学教授) 寺西俊一(一橋大学教授) 西川潤(早稲田大学名誉教授) 西谷修(東京外国語大学教授) 原科幸彦(東京工業大学教授) 前田哲男(評論家) 水島朝穂(早稲田大学教授) 宮本憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授) 山口二郎(北海道大学教授) 和田春樹(東京大学名誉教授) 新崎盛暉(沖縄大学名誉教授) 大城立裕(作家) 大田昌秀(元沖縄県知事) 我部政明(琉球大学教授) 桜井国俊(沖縄大学教授) 島袋純(琉球大学教授) 新城郁夫(琉球大学教授) 高里鈴代(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会) 高良鉄美(琉球大学教授) 高良勉(詩人、批評家) 照屋寛之(沖縄国際大学教授) 富川盛武(沖縄国際大学教授) 仲里効(メディア工作者) 仲地博(沖縄大学教授) 比屋根照夫(琉球大学名誉教授) 三木健(ジャーナリスト) 宮里昭也(ジャーナリスト) 宮里政玄(沖縄対外問題研究会代表) 山城紀子(ジャーナリスト) 由井晶子(ジャーナリスト)

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# by sea_of_sound_2008 | 2010-06-01 04:13 | 政治
 「The U.S. Air Base on Okinawa」と題された下地良男さんの The New York Times への投書の存在を、最初に報道したのは琉球新報だと思います。この投書の最後の一文「How dare Mr. Obama ask Mr. Hatoyama to act without regard to the wishes of his compatriots? 」を、同紙は記事中で「よくもオバマ氏は、同胞である鳩山氏の意思を無視することができますね」と訳しています。
How dare Mr. Obama ask Mr. Hatoyama to act without regard to the wishes of his compatriots?
よくもオバマ氏は、同胞である鳩山氏の意思を無視することができますね

 私はこれは誤訳ではないかと思うのです。ところでなぜ、私がこの文章をですます調で書いているかというと、この指摘に自信がないからです。このブログの読者には、そうした事情を考慮しながらこのエントリを読んで欲しいのです。それでは原文と比較しながら、この琉球新報の訳の正当性を検討します。


 まず、全体を見て気付くのは、「ask」という動詞が全く訳文に登場していないことです。「ask one to ~」で「誰々に~するよう要求する」といった意味になりますから、この一文は取り敢えず大ざっぱに「オバマ大統領が鳩山首相に何かをするように要求する」と捉えることができます。

 そのオバマ大統領が要求している「何か」とは何でしょうか。「act without regard (無視して行動すること)」でしょう。では、無視されるのは何か。「the wishes of his compatriots」です。この「act without regard to the wishes of his compatriots」という箇所を、部品に分けつつ順番に取り上げていきましょう。


 先に「the wishes」に注目すると、琉球新報はこれを「(鳩山氏の)意志」と訳しています。しかしこの部分は複数形です。複数形なのは「the wishes」が沖縄県民のそれであるから、つまり「沖縄県民の願い」であるからではないでしょうか。鳩山氏のものであるとすれば、複数形であることの説明が付きません。

 しかも「願い(wishes)」には「the」という定冠詞がついているのです。これを「オバマに屈服こそしたが、当初は鳩山首相が持っていた願いのこと」と解釈するのは、無理があるような気がします。この投書は全体的として、沖縄県民の思いを伝えるものですから、直前の「沖縄人の圧倒的多数は(The overwhelming majority of Okinawans )…」という文から考えても、「沖縄県民の願い」と訳す方が自然でしょう。


 次に、最後の単語である「compatriots」に目を移しましょう。この単語の意味は「同国人」です。たぶん語源からしても「仲間」とか「主義主張を同じくする人」程度では使いません。日本が果たして「西側」に属しているのか、自由主義国家なのか、民主主義国家なのか、という疑問もありますが(アメリカは本当に民主主義国家なのかというより強力な疑いもありますが)、とりあえずそれは脇に置いておきましょう。

 ちなみに日本語の「同胞」はまさに「同国人」という意味ですから、「compatriots」の訳語としては適切です。しかし「compatriots」の持つ意味からすれば、「同胞である鳩山氏」というのは明らかにおかしいのではないでしょうか。それに、この単語は「compatriots」と複数形になってますね。つまり、「compatriots」とは沖縄県民のことを指していると考えられます。鳩山首相という個人を複数形では呼ばないでしょう。

 ひょっとして「同胞である鳩山氏」という表現は、「沖縄県民にとっての同胞である鳩山氏」という意味なのかもしれません。しかし、その部分の原文は「his compatriots」なのです。「his」が沖縄県民であることはありえませんから、オバマ大統領か鳩山首相を指すしかないのですが、前段で述べた二つの理由から、これは鳩山首相のことだとわかります。


 したがって「act without regard to the wishes of his compatriots」とは、「彼の同国人(沖縄県民)の願いを無視して行動すること」になると思います。最初に大まかに訳しておいた前半と合わせるならば、「オバマ大統領が鳩山首相に同国人(沖縄県民)の願いを無視して行動するように要求する」となります。

 文章を整えつつ全てを訳すならば、「よくもオバマ大統領は、鳩山首相に彼の同国人(沖縄県民)の願いを無視して行動するように、要求することができますね」です。鳩山首相に有権者の願いを裏切るように求めることは、アメリカの至上の価値である民主主義というイデオロギーに反してるのではないか、と言っているわけです。


 さて、「よくもオバマ氏は、同胞である鳩山氏の意思を無視することができますね」という訳が、誤訳であるという私の指摘が当たっているかどうかわかりません。しかし琉球新報の訳と私の訳で、この部分の文面が違っていることの説明にはなるのではないでしょうか。
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# by sea_of_sound_2008 | 2010-05-31 19:52 | 雑記
 ブログ「どこへ行く、日本。」で知った、下地良男琉球大名誉教授による The New York Times への投書「The U.S. Air Base on Okinawa」の翻訳です。もちろん表現の選択などは私によるものですので、これがそっくりそのまま下地教授の言いたいことだと誤解しないでください。誤訳その他はコメント欄にてどうぞ。
沖縄の米空軍基地
編集者へ


 「選挙公約に違反して沖縄の米軍基地で折れた日本(Japan Relents on U.S. Base on Okinawa)」(5月24日の記事)は、普天間のアメリカ海兵隊飛行場を――元々の合意通りに――沖縄の北部に移設するという鳩山由紀夫首相の発表を、「オバマ政権の勝利であり鳩山首相にとっては屈辱的な挫折」として描いています。

 明らかにこのつまらない口喧嘩で、鳩山政権は2006年の日米合意に固執するオバマ政権の全面的な圧力に屈服したのです。鳩山首相はこの前の選挙運動の最中に、普天間の機能を沖縄県外に移設すると言うことによって、沖縄人の期待を高めていました。

 しかしながらオバマ政権は、この勝利はまた自己に対する敗北であることを心に留めておかなくてはなりません。なぜならそれは、「非民主的な」あるいは「啓蒙されていない」国家を相手にする時に、ワシントンが唱道する民主主義の原則に矛盾するものだからです。

 ワシントンが充分に気付いているように、沖縄人の圧倒的多数は沖縄に米軍基地を駐留させ続けるあらゆる計画に反対しています。なんでまたオバマ大統領は、鳩山首相に同国人の願いを無視して行動するように要求するのでしょう?


下地良男
那覇,沖縄,2010/5/24

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# by sea_of_sound_2008 | 2010-05-31 11:55 | 政治
 シン・サンチョルの論文、というよりはヒラリー・クリントンへの手紙といった方が良いのかもしれない、「爆発はなかった 魚雷もなかった」という座礁説を唱える文章に対する評価をめぐり、ブログ「虹の日記」のコメント欄で、ブログ主のどろさんと私の間で議論があった。有用な議論に思われるので、整形して(文面は変えていない)エントリとして立てることにする。
 私の問題意識は、「『陰謀論』とか『トンデモ』とかいった言葉をなげつけることは、現在の状況において政治的な圧力になりかねない」ということにあるので、もう少しそういった点を展開させることができたら良かった。そうならなかったのは、私の責任である。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 01:19

> 一番の弱点は、爆薬成分が検出されたことについての合理的な説明ができない点です。

アルミニウムや爆薬が決定的な証拠になったわけではないでしょう。
「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見です。
http://www.asahi.com/international/update/0523/TKY201005230173.html

ある説に間違った点があれば訂正するのは当然です。

しかし「陰謀論」とか「トンデモ」とかいった言葉をなげつけることは、
現在の状況において政治的な圧力になりかねないことに鈍感すぎます。
シン・サンチョル氏は検察公安部に告訴されています。

ありていに言うのなら、「トンデモ狩り」という形で、
韓国政府の公式見解を押し付ける結果になりかねません。

ついでに言うと「コロンビア衝突説」は田中宇の説でしょう。


どろ@2010/05/30 02:57

sea_of_sound_2008さん
 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。
 自分の説に都合が悪いからシン氏が触れていない部分が多くなるだけではないのですか。
 シン氏は、韓国政府も、軍も、国際調査委員会も、爆発でないものを爆発だと断定しているといいます。
 すると火薬成分が検出されたという発表は、真っ赤なウソだということになります。
 しかも彼の意見が正しいとすると、衝突した相手を韓国政府と軍は隠蔽していることになります。
 事件発生時刻もねつ造ということになります。
 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。
 ここまで言えば、これは立派な「謀略論」だと思います。
 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。
 確かな論拠があってそれを否定するならいいけれど、デタラメな論拠でそれをするのはよくないと言っているんです。

 「コロンビア衝突説」が田中宇氏以外のだれか別の人の説だと私がどこかに書いていますか。
 批判は歓迎しますが、ずれた批判はちょっと受け入れがたいです。。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 04:43

まず、あなたが「謀略論」と呼ぶところのもの(そう呼ぶべきではないと考えますが)に、
反論を加え、正しいのかどうか検証する作業を行うことに賛成します。
その上でいくつかの疑問を呈さざるを得ないのです。

> 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見
> というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。

火薬やアルミニウムの痕跡は、重要視することはできないのではないかということです。

合同調査団の最終報告書にも出てきません。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E1838DE0E2E2E7E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

> 事件発生時刻もねつ造ということになります。

あなたも書いているように、発生時刻は二転三転しています。
この論文に限らず、韓国では疑われている点の一つです。

それを「軍当局も当初は座礁と思っていたのでしょう」と推測で説明するのは、
せいぜいこう考えれば納得できるといったことであって、
少しも科学的に何かを立証するものではありません

「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するものです」
とも書いておられますが、これは韓米軍事演習中の事件で、沈んだのは戦艦です。
それに原因の究明に二ヶ月は長すぎます。

> 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。

下記のURLを見ると天安鑑生存者は必ずしも自由に証言できる状態ではないようです。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1113361.html

> 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。

無矛盾であるだけでは「科学的」ではありません。「検証」を受けつけないものは科学ではないのです。
したがって公式の声明もそれ以外の説も検証されるべきなのです。


bogusnews愛読者@2010/05/30 09:49

沈んだ艦を引き上げて、海の底までさらって証拠を集めて、2ヶ月もかけて検証したのに、「原因の究明に二ヶ月は長すぎます。」と言われちゃあ立つ瀬がありませんな。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 11:44

>bogusnews愛読者さん
そのレスの付け方は本質を外したものでしょう。というのは
「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するもの」
というどろさんに対して、

「軍事演習中にもかかわらず、北朝鮮軍の攻撃だと即座にわからない
のはおかしいのでは?」と言っているのが私のコメントだからです。

ところで私も「bogusnews愛読者」なんですがね。

「公式の声明もそれ以外の説明も検証されるべき」というのが、
私の立場であることを繰り返しておきます。


どろ@2010/05/30 14:05

sea_of_sound_2008さん
事件当時の報道を振り返ってみましょう。

http://www.asahi.com/international/update/0326/TKY201003260537.html
韓国大統領府報道官は27日未明、「北が直接攻撃した可能性は低いが、関与についてはわからない」と語った。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100327/kor1003270005000-n1.htm
聯合ニュースによると、韓国軍消息筋は「船体後方から沈没中で、攻撃を受けた可能性もある。船尾側が爆発して穴が空いたということは、北朝鮮の魚雷艇などによる攻撃の可能性もある」とした。ただ、青瓦台(大統領府)の報道官は「北朝鮮が関与したかどうかは現在、確認できない」としている。また、韓国YTNテレビによると、大統領府関係者は北朝鮮による攻撃の可能性は小さいとの見方を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000548-san-int
「北攻撃」ではなく機雷接触、内部事故説が有力に 韓国艦沈没
3月27日20時0分配信 産経新聞
 沈没現場は南北境界線からは比較的離れている。北朝鮮領からのミサイルや砲撃などの標的にはなりにくい位置だ。
 あえて北の攻撃と考えた場合、境界線を越境した潜水艦による海中での魚雷攻撃がある。しかし北朝鮮専門家たちは「海軍力で劣勢の北朝鮮には現在、韓国に対しそうした大胆な軍事攻撃を加えるほどの意図や動機は見あたらない」としている。
 このため“事故”説が強まっているが、これまでの情報では艦後部で爆発が起き、停電となり、艦底から浸水し船尾が沈没し始めたとなっている。
 1200トン級の軍艦の沈没には相当の爆発力が必要だ。そのため南北双方が海上に設置している機雷の一部が流出し艦に接触した可能性や、艦装備の爆雷など艦内爆薬の誤爆説が出ている。
 また機関故障で発生したガスなどによる爆発事故の可能性も指摘されている。
 韓国海軍は近年、新造艦の配備や装備の改善など兵力拡充が続いている。その結果、兵力・装備では北朝鮮を上回りつつ
あるが、急速な拡充で訓練や運用などの面に問題があるとの声も聞かれる。

http://www.chosunonline.com/news/20100327000016
軍当局は沈没原因について、哨戒艦内部で原因不明の爆発が起きたか、北朝鮮の機雷などによる爆発のいずれかではないかとみている
別の軍関係者は「ペンニョン島、大青島の間は水深が浅く、潜水艦による魚雷攻撃の可能
性は低いとみている

以上のように、当初は北の攻撃に韓国側は否定的でした。
これが変化したのは天安引き上げ後です。
艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
これは外部爆発以外に考えられない状態です。
座礁ではあり得ません。
なぜなら座礁なら、船全体が暗礁に乗り上げなければこんなことになりませんが、そんな推進力があるはずがないからです。

座礁説の欠点は、天安が乗り上げた暗礁を見つけだせない点です。
「暗礁に乗り上げた可能性」を理論的にいくら唱えても、肝心の暗礁がなければなんにもなりません。
現場は漁船も行き来する場所ですから、海図を入手するのは簡単なはずです。
その程度の検証もしないで座礁説を唱えているとは思えませんが、調べても暗礁がなかったから書けないのではないかと私は疑っています。
日本の場合は詳しい海図が販売されていますし、特に注意すべき地域はネットで公開されています。
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210635.html
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210725.html
この点、残念ながら自分は韓国語の読み書きができないので、調べることができません。
もしも現場に暗礁があり、そこに傷があって天安の塗料でも付着していれば、攻撃説への決定的な反証になると思います。
そういうものが発見されれば、自分も自説を撤回するでしょう。
あるいは隠蔽工作のために暗礁を削り取ったかも知れませんが、その場合でも痕跡ぐらいは残っているはずです。
そういうものが見つかれば、かなり有力な反証になるでしょう。

火薬成分とアルミの検出が報道されているのに、調査報告書には記載がありません。
たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。
この点も、韓国側がデータを加工していない傍証になると思います。

ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
検証は大いにやるべきです。
が、いま出されているものには説得力がないと言っているのです。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 17:01

> ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
> 検証は大いにやるべきです。

ということは私たちは基本的に同じ立場に立っているということです。
共同で検証できることを感謝します。そのことを認識した上で、
論点を三つにまとめつつ再反論させていただきます。

1.検出された 火薬の痕跡は北朝鮮攻撃の証拠となるか

> たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、
> この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。

同意見です。その場合あなたは火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因として
みなす態度をとるわけにはいかなくなることに留意してください。
あなたの主要な根拠だったのだから、一歩退却ですね。

「天安号の煙突と切断面、海底で発見されたという火薬痕と金属破片も、事故海域が
韓国軍の射撃訓練区域一帯という点から、韓国軍や米軍のものではないということが
立証されてこそ、証拠の一つとして提示できる。火薬痕は天安号自体の砲煙の可能性
も検証されなければならない。」
http://blog.livedoor.jp/hanchung/archives/1238938.html

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

> 艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
> これは外部爆発以外に考えられない状態です。

これは、かならずしも外部からの爆発によらずとも説明できるかもしれません。
下記URLに次のような説明があります。要約するなら、沈没の原因は座礁であるが、
その際ガスタービン室の周りの骨材の決壊をきっかけとして折れたとするもののようです。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1274485366348Staff/view

「イ・ジョンイン代表は「ガスタービン室は40~50トンの大きな機械なので、
船の強度を維持していた骨材が損傷して折れれば、これらはそこに維持でき
ない」とし「一種の切断の過程で、爆発とは無関係」と主張した。」

「続いて合同調査団が出した爆発の証拠に対しては「それ自体が座礁による
衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話した」

「イ・ジョンウン代表はこの他にも座礁の可能性を示す証拠を提示した。彼
は「後進してプロペラが曲がったのは確実だ」とし「左舷も翼二枚が曲がっ
て損傷したが、それは強引に後進したことによる」と主張した」

3.座礁説には座礁位置の特定が必要か

最後の論点は、天安鑑が座礁した地点がはっきりしていないという点です。
これにはそうせざるをえない事情があります。当局が記録を公開していないからです。

「また「その部分(座礁や衝突)を確認するには、天安艦の航跡と位置さえ確認
すれば良い」とし「その部分が非公開なので、天安艦が座礁したのか衝突した
のか、現在のところ確認ができない」とし、航跡記録の公開を要求した」
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1275031901749Staff

ついでに「こうした座礁事故は潮の干満の差が大きい西海(ソヘ、黄海)では
たまに起きている」とするソースを挙げておきましょう。
http://japanese.joins.com/article/article.html?aid=125310&servcode=400§code=430

最後に再び「公式の声明もそれ以外の説も検証されるべき」という私の立場を
確認しておきます。「北朝鮮魚雷説か座礁説か」ではありません。


どろ@2010/05/31 00:04

sea_of_soundさん

1.火薬の検出について

おっしゃる通り、報告書に基づく限りで私は火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因としてみなす態度をとるわけにはいきません。
火薬成分が検出されたのが報道されていますから、見つかったのは事実でしょう。
しかし調査委員会はそれを証拠採用しなかった。
すると韓国政府のデータは、出ている部分については加工されていない可能性が高く、信用がおけるのではないかという傍証になります。

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

イ・ジョンイン代表は艦が折れた原因を「座礁による衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話していますが、これにはかなりの衝突が必要で、岩礁にぶつからなければ起きない現象ですね。
しかし艦船の推力程度でこんなことになるのでしょうか。
そういう実例はありますか。
同じように座礁説に立っているシン・サンチョル氏(議会推薦の調査委員会委員)は、別の意見です。
シン氏は暗礁説をとっていません。
砂浜乗り上げ説です。
シン氏が調べたところ、現場海域には暗礁がないそうです。

「シン委員はまず、ペクリョン島の砂浜に座礁した天安艦が急いで脱出し、他の船と衝突した可能性に重さをおいた。衝突の可能性を提起した理由は、まず沈没位置の周辺に巨大な岩盤はなく、暗礁は排除した。」

浅瀬に乗り上げた程度で艦がまっぷたつに割れるはずはないので、シン氏は別の艦船との衝突という第2原因を仮定しなければならなくなりました。

しかしその仮説も無理だと思います。
艦の壊れ方が座礁説や衝突説を否定しているからです。
甲板が上方にめくれているのは、座礁説でも衝突説でも説明できません。
艦首と艦尾の船底が上の方向に折れていることも、説明できません。
ビジルキールがやはり上方に強い力でねじれていることもです。
艦全体に下から上に強い力が掛かり、破断部分では特にすべての破断面が上方にねじ曲げられています。
これらの現象は艦底から甲板にかけて強いエネルギーが通り抜けたことを示しています。

イ・ジョンウン代表は左舷の翼二枚が曲がって損傷していることを、強引に後進したことによると主張していますが、それならばすべての羽が曲がらなければなりません。
一部の羽だけが曲がっているというのは、プロペラが回転していなかったことを示していませんか。
プロペラ部分が海底の砂地に半ば埋もれて、艦が潮流に引きずられたから、埋もれた部分だけが曲がったと考える方が合理的です。

3.座礁位置について

イ・ジョンウン代表は「折れた場所で今私たちが 暗礁にぶつかったと言っているのではない」とし「暗礁にぶつかり、そこから 抜け出して5~7km程漂流(して沈没)した」と主張しています。
沈没位置は分かっているのですから、航跡記録などなくても、その付近の海図を入手すれば暗礁の有無が分かるでしょう。
暗礁にぶつかったのなら痕跡が残っているはずです。
削られた暗礁があり、そこに天安の塗料痕でも発見されれば、魚雷説は吹っ飛びます。
しかしスクリューまで乗り上げて、艦が折れるほどの激しい座礁など、艦船の推力であり得るとは思えません。

4.バブル効果は迷信で、調査団の発表通りなら艦はバラバラになるか

 URLが示されている米国ジョーンズホプキンス大のソ・ジェジョン物理学教授の意見ですが、検討に値しません。
 オーストラリア海軍の魚雷実験の写真があるので、本文に追加します。
 実験はMk-48魚雷の威力テストで、Mk-48は艦の直下で爆発して竜骨を折るように設計された魚雷です。つまり今回使われたと推定されているものと同じです。 
 艦はバラバラにならず、まっぷたつに割れています。

 批判はよいけれど、何でも口からデマカセを言うのは、まじめな批判ではないと思います。


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# by sea_of_sound_2008 | 2010-05-30 17:47 | 政治
 随分以前にアカウントを取得していたはてなダイアリーでも活動を始めました。といっても内容はあまりありません。はてなダイアリーの方は、論評以前のメモ、材料、覚え書きのようなものとして使う予定です。

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# by sea_of_sound_2008 | 2010-05-29 17:42 | 運営情報