公平な選挙制度を!


by sea_of_sound_2008
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カテゴリ:政治( 39 )

 次に書くことは「マスコミに載らない海外記事」が訳している「ジョージ・オーウェルの『1984年』を2010年に再訪」という記事を見て考えたことだ。個人的にこれはとても時宜を得た翻訳だった。というのはアメリカが「一党国家」だというのはまさしく最近の私が考えていたことだから。
一党国家: オセアニア同様、アメリカは事実上、一党国家だ。二つの巨大企業政党が、偽って二つの“対抗している”党であるかのごとき振りをしているのだ。実際には、両党は、実際は一つの党の軟派・硬派二派閥に過ぎない。金融支配層が経済的に重要なあらゆる物事と、資源開発を、しっかり支配している。アメリカ版の一党国家は、表面上、明らかにそうでないもののように見えてしまうがゆえに、実際オセアニア版よりも一層危険な程、オーウェル風だ。オセアニアは、民主主義のふりをしようと気を使わないだけ、少なくとも十分に“正直”だ。

引用元:マスコミに載らない海外記事 - ジョージ・オーウェルの『1984年』を2010年に再訪

 例えばアメリカは中国の体制を非難する。確かに中国の体制に問題はあるだろう。しかしアメリカの体制にも大いに問題はあるのだ(そして日本の体制にも)。アメリカと中国のどちらかに問題があるのではない。どちらにも問題がある。

 だがある人々は、片方に中国というとんでもなく遅れた国家があり、もう片方にアメリカ(やあるいは日本)という素晴らしく自由な国があると受け取っている。「左翼」や「社会主義」に対するお決まりの偏見がそれを増長するだろう。非難のための道具と化した「人権」が正当性を与えてくれるだろう。中国を見る目にはアジアに対する古い偏見も幾分かは加わっている。日本の場合近代以来の福沢諭吉的なアジア蔑視がその代用品となっている。

 言葉をもじって言うのなら、アメリカは「一党独裁制国家」ならぬ「二党独裁制国家」だ。何も非難のために概念をもてあそびたいわけではない。その意味するところは、この記事にある通り、二つの政党のどちらに投票しても支配層に大きな影響はないし、彼らを脅かすような政策が実行されることはないということだ。「第三の道」という名前で新自由主義に転向したイギリスもそうだ。

 今日では誰でもファシズム国家は論外だと言うだろう。そしていわゆる「共産主義国家」も問題だと言うだろう(コミュニストですらソビエトを非難するのだから)。だが民主主義国家についてはたいした検証もなく問題なしと見なされる。そして民主主義体制が最終目標であるかのように言われる。民主主義の中身は問われない。

 共産主義が一度も実現したことがないのと同じくらい、民主主義は実現したことがない。現存する民主主義国家は、文字通りの民主主義国家ではなく、「いわゆる民主主義国家」とか「自称民主主義国家」とでも呼ぶべきものだ。それを見て取るのに何のイデオロギーも必要ないし、敢えてそういう言い方をするのならマルクスを読む必要もない。一体アメリカのどこをどう見れば民《たみ》が支配していると言えるのか。

 それは日本も同様だ。鳩山政権の末期に沖縄の人々が憤ったのは、首相が普天間基地の県外移設を公約し、票を集めて当選して政権の座に着いたにもかかわらず、その公約が実行されないということだった。しかもなぜ実行されないのか本当のところは誰にもわからないのだった(右派のメディアや評論家はいろいろ解説して見せたがそんなものは何の正当性もないし、全くの無価値だ)。

 ソビエトは共産主義ではなかった。アメリカも民主主義ではない。「政権交代のある二大政党制」を掲げる人々、政党、マスメディア、学者が目指しているのはそういうアメリカ型の国造りだ。見せかけの政権交代ということだ。一党が支配する代わりに二党でキャッチボールをするということだ。本当に重要な選択肢はあらかじめ排除するということだ。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-07-16 14:30 | 政治
 「普天間基地問題についての第二の声明」が賛同者を募っている。締切は6月30日まで。なお名前は公表しないとのこと。

米海兵隊は撤収を --【普天間基地問題についての第二の声明】-- 賛同署名 5月29日現在3463筆

下記声明に賛同される方は最下段に署名をお願いします。
なお、この賛同署名は総数公表とし、個々のお名前は公開しないものと致します。

----------当声明へのご賛同は、第一次締め切りの2010年5月20日で3,355人となりました(開始4月23日)。ご協力ありがとうございました。なお、政府案は沖縄県内、しかも辺野古周辺に回帰するとの報道がなされています。海兵隊の撤退を求める声明の意味は減じていないどころか、さらに切実になっていると考えますので、この賛同署名は継続していくことにします。(第二次締切は参議院選挙前の6月30日とします)----------
■ 署名に寄せられた1500余の熱いメッセージもご覧下さい: http://bag654bag.blog57.fc2.com/ 

******************************************************************************************
 米海兵隊普天間飛行場は、住宅密集地の中にある世界でもっとも危険な基地として、すみやかな閉鎖、撤去が求められてきた。旧自民党政権は、普天間の移設先として、北部名護市の辺野古(キャンプ・シュワブ沿岸部)に代替基地を建設することを米国との間で「合意」したが、それは、沖縄の中に新たな巨大基地を建設することに他ならず、沖縄県民はあらゆる機会にそれに反対する意思を表明してきた。

 2009年秋の政権交代と、民主党の「国外、最低でも県外(移設)」という選挙での訴えが、沖縄県民に希望を与え、状況を大きく変えた。2010年1月の名護市長選挙では、辺野古への移設に反対する稲嶺進候補が勝利した。2月には、これまで移設を容認してきた自民党、公明党を含め、沖縄県議会が全会一致で「普天間基地の県外移設」を求める意見書を採択した。また県内41市町村長全員が県外・国外を主張している。保守が擁立した仲井真弘多県知事も「県内(移設)は厳しい」と語り始めた。沖縄は、いまや“オール沖縄”で「県内移設」反対を明確にしたのである。

 しかし、2010年5月まで「決断」を先送りした鳩山政権は、県外移設の可能性を真剣に追求することなく、キャンプ・シュワブ陸上案や勝連半島沖埋め立て案など、「県内」を軸に決着することを図り、動き始めている。
 私たちはこの政権の動きを深く憂慮し、以下のように声明する。(呼びかけ人のうち18人は、2010年1月に発表した本土の学者・知識人声明の呼びかけ人である。沖縄でもすでに学者・知識人による海兵隊撤収要求の共同声明が出されており、その意味でこれは合同での第二の声明ということになる)

(1) 私たちは、辺野古陸上案(キャンプ・シュワブ内)、勝連半島沖案はもちろん、すべての沖縄県内移設に反対する。これ以上沖縄に過重な負担をかけてはならない。沖縄の意思を無視してはならない。沖縄の環境を破壊してはならない。

(2) 民主党は、衆議院選挙で「国外、最低でも県外」を訴えた。また名護市長選では、辺野古移設反対を主張する稲嶺進候補を推薦し、勝利させた。鳩山政権が、県内移設で決着させるならば、それは明確な公約違反であり、国民・県民への裏切りといわなければならない。鳩山政権は、仮に現在の日米安保体制を前提にするとしても、まず県外移設の可能性を徹底して追求すべきである。

(3) 県外でも県内でも移設を受け入れる地域がなかった場合、現在の普天間飛行場をそのまま継続使用するという案が出ているが、それは許されない。周辺住民の生命と暮らしを脅かしているこの危険な基地は、すみやかに閉鎖されなければならない。

(4) 県外移設を追求した結果、どの地域も受け入れないということならば、日本国民には海兵隊の基地を受け入れる意思がないということを意味する。必然的に米海兵隊は日本から全面的に撤収する以外にない。日本国民には、米海兵隊の存在なしに、東アジア地域の平和と安定を構築する積極的な役割を果たす意思があるということである。米国は、日本国民の意思を尊重しなければならない。

(5) そもそも政権が奔走し、メディアが関心を集中させたのは、「基地用地」探しばかりであった。いま考えるべきことは、本当にそのようなことなのだろうか。むしろ冷戦時代の思考法である「抑止力」とか「敵」とか「同盟」といった発想そのものを疑い、その呪縛から逃れることが必要なのではないか。国際社会に「共通の安全保障」や「人間の安全保障」といった考え方が現れ、冷戦の敵対構造を解体していく大きな力になった。私たちは、米軍基地の代替地をタライ回しのように探すのでなく、米軍基地を沖縄・本土に存在させ、米軍に勝手気ままに使用させている構造こそを問わなければならない。日米安保条約は、冷戦時代の遺物であり、いまこそ、日米地位協定、ガイドライン(日米防衛協力の指針)などを含めて、日米安保体制を根幹から見直していく最大のチャンスである。その作業を開始することを、日本政府、そして日本国民に訴える。

-------------------------------------------------------------------------------------------

〈呼びかけ人〉
宇沢弘文(東京大学名誉教授) 遠藤誠治(成蹊大学教授) 岡本厚(岩波書店「世界」編集長) 加茂利男(立命館大学教授) 川瀬光義(京都府立大学教授) 古関彰一(獨協大学教授) 小林正弥(千葉大学教授) 小森陽一(東京大学教授) 千葉眞(国際基督教大学教授) 寺西俊一(一橋大学教授) 西川潤(早稲田大学名誉教授) 西谷修(東京外国語大学教授) 原科幸彦(東京工業大学教授) 前田哲男(評論家) 水島朝穂(早稲田大学教授) 宮本憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授) 山口二郎(北海道大学教授) 和田春樹(東京大学名誉教授) 新崎盛暉(沖縄大学名誉教授) 大城立裕(作家) 大田昌秀(元沖縄県知事) 我部政明(琉球大学教授) 桜井国俊(沖縄大学教授) 島袋純(琉球大学教授) 新城郁夫(琉球大学教授) 高里鈴代(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会) 高良鉄美(琉球大学教授) 高良勉(詩人、批評家) 照屋寛之(沖縄国際大学教授) 富川盛武(沖縄国際大学教授) 仲里効(メディア工作者) 仲地博(沖縄大学教授) 比屋根照夫(琉球大学名誉教授) 三木健(ジャーナリスト) 宮里昭也(ジャーナリスト) 宮里政玄(沖縄対外問題研究会代表) 山城紀子(ジャーナリスト) 由井晶子(ジャーナリスト)

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by sea_of_sound_2008 | 2010-06-01 04:13 | 政治
 ブログ「どこへ行く、日本。」で知った、下地良男琉球大名誉教授による The New York Times への投書「The U.S. Air Base on Okinawa」の翻訳です。もちろん表現の選択などは私によるものですので、これがそっくりそのまま下地教授の言いたいことだと誤解しないでください。誤訳その他はコメント欄にてどうぞ。
沖縄の米空軍基地
編集者へ


 「選挙公約に違反して沖縄の米軍基地で折れた日本(Japan Relents on U.S. Base on Okinawa)」(5月24日の記事)は、普天間のアメリカ海兵隊飛行場を――元々の合意通りに――沖縄の北部に移設するという鳩山由紀夫首相の発表を、「オバマ政権の勝利であり鳩山首相にとっては屈辱的な挫折」として描いています。

 明らかにこのつまらない口喧嘩で、鳩山政権は2006年の日米合意に固執するオバマ政権の全面的な圧力に屈服したのです。鳩山首相はこの前の選挙運動の最中に、普天間の機能を沖縄県外に移設すると言うことによって、沖縄人の期待を高めていました。

 しかしながらオバマ政権は、この勝利はまた自己に対する敗北であることを心に留めておかなくてはなりません。なぜならそれは、「非民主的な」あるいは「啓蒙されていない」国家を相手にする時に、ワシントンが唱道する民主主義の原則に矛盾するものだからです。

 ワシントンが充分に気付いているように、沖縄人の圧倒的多数は沖縄に米軍基地を駐留させ続けるあらゆる計画に反対しています。なんでまたオバマ大統領は、鳩山首相に同国人の願いを無視して行動するように要求するのでしょう?


下地良男
那覇,沖縄,2010/5/24

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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-31 11:55 | 政治
 シン・サンチョルの論文、というよりはヒラリー・クリントンへの手紙といった方が良いのかもしれない、「爆発はなかった 魚雷もなかった」という座礁説を唱える文章に対する評価をめぐり、ブログ「虹の日記」のコメント欄で、ブログ主のどろさんと私の間で議論があった。有用な議論に思われるので、整形して(文面は変えていない)エントリとして立てることにする。
 私の問題意識は、「『陰謀論』とか『トンデモ』とかいった言葉をなげつけることは、現在の状況において政治的な圧力になりかねない」ということにあるので、もう少しそういった点を展開させることができたら良かった。そうならなかったのは、私の責任である。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 01:19

> 一番の弱点は、爆薬成分が検出されたことについての合理的な説明ができない点です。

アルミニウムや爆薬が決定的な証拠になったわけではないでしょう。
「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見です。
http://www.asahi.com/international/update/0523/TKY201005230173.html

ある説に間違った点があれば訂正するのは当然です。

しかし「陰謀論」とか「トンデモ」とかいった言葉をなげつけることは、
現在の状況において政治的な圧力になりかねないことに鈍感すぎます。
シン・サンチョル氏は検察公安部に告訴されています。

ありていに言うのなら、「トンデモ狩り」という形で、
韓国政府の公式見解を押し付ける結果になりかねません。

ついでに言うと「コロンビア衝突説」は田中宇の説でしょう。


どろ@2010/05/30 02:57

sea_of_sound_2008さん
 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。
 自分の説に都合が悪いからシン氏が触れていない部分が多くなるだけではないのですか。
 シン氏は、韓国政府も、軍も、国際調査委員会も、爆発でないものを爆発だと断定しているといいます。
 すると火薬成分が検出されたという発表は、真っ赤なウソだということになります。
 しかも彼の意見が正しいとすると、衝突した相手を韓国政府と軍は隠蔽していることになります。
 事件発生時刻もねつ造ということになります。
 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。
 ここまで言えば、これは立派な「謀略論」だと思います。
 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。
 確かな論拠があってそれを否定するならいいけれど、デタラメな論拠でそれをするのはよくないと言っているんです。

 「コロンビア衝突説」が田中宇氏以外のだれか別の人の説だと私がどこかに書いていますか。
 批判は歓迎しますが、ずれた批判はちょっと受け入れがたいです。。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 04:43

まず、あなたが「謀略論」と呼ぶところのもの(そう呼ぶべきではないと考えますが)に、
反論を加え、正しいのかどうか検証する作業を行うことに賛成します。
その上でいくつかの疑問を呈さざるを得ないのです。

> 「決定的証拠」となったのは漁船によるスクリューやモーターの発見
> というお説には同意しますが、それと私の書いた内容がどうつながるのですか。

火薬やアルミニウムの痕跡は、重要視することはできないのではないかということです。

合同調査団の最終報告書にも出てきません。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E1838DE0E2E2E7E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

> 事件発生時刻もねつ造ということになります。

あなたも書いているように、発生時刻は二転三転しています。
この論文に限らず、韓国では疑われている点の一つです。

それを「軍当局も当初は座礁と思っていたのでしょう」と推測で説明するのは、
せいぜいこう考えれば納得できるといったことであって、
少しも科学的に何かを立証するものではありません

「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するものです」
とも書いておられますが、これは韓米軍事演習中の事件で、沈んだのは戦艦です。
それに原因の究明に二ヶ月は長すぎます。

> 当初は座礁だと述べていた天安乗組員の証言も、いまは隠されていることになります。

下記のURLを見ると天安鑑生存者は必ずしも自由に証言できる状態ではないようです。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1113361.html

> 別に私は韓国政府の説が絶対正しいとは言っておらず、その説明に矛盾がないと言っています。

無矛盾であるだけでは「科学的」ではありません。「検証」を受けつけないものは科学ではないのです。
したがって公式の声明もそれ以外の説も検証されるべきなのです。


bogusnews愛読者@2010/05/30 09:49

沈んだ艦を引き上げて、海の底までさらって証拠を集めて、2ヶ月もかけて検証したのに、「原因の究明に二ヶ月は長すぎます。」と言われちゃあ立つ瀬がありませんな。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 11:44

>bogusnews愛読者さん
そのレスの付け方は本質を外したものでしょう。というのは
「どんな海難事故でも、事件後は原因説明が二転三転するもの」
というどろさんに対して、

「軍事演習中にもかかわらず、北朝鮮軍の攻撃だと即座にわからない
のはおかしいのでは?」と言っているのが私のコメントだからです。

ところで私も「bogusnews愛読者」なんですがね。

「公式の声明もそれ以外の説明も検証されるべき」というのが、
私の立場であることを繰り返しておきます。


どろ@2010/05/30 14:05

sea_of_sound_2008さん
事件当時の報道を振り返ってみましょう。

http://www.asahi.com/international/update/0326/TKY201003260537.html
韓国大統領府報道官は27日未明、「北が直接攻撃した可能性は低いが、関与についてはわからない」と語った。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100327/kor1003270005000-n1.htm
聯合ニュースによると、韓国軍消息筋は「船体後方から沈没中で、攻撃を受けた可能性もある。船尾側が爆発して穴が空いたということは、北朝鮮の魚雷艇などによる攻撃の可能性もある」とした。ただ、青瓦台(大統領府)の報道官は「北朝鮮が関与したかどうかは現在、確認できない」としている。また、韓国YTNテレビによると、大統領府関係者は北朝鮮による攻撃の可能性は小さいとの見方を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000548-san-int
「北攻撃」ではなく機雷接触、内部事故説が有力に 韓国艦沈没
3月27日20時0分配信 産経新聞
 沈没現場は南北境界線からは比較的離れている。北朝鮮領からのミサイルや砲撃などの標的にはなりにくい位置だ。
 あえて北の攻撃と考えた場合、境界線を越境した潜水艦による海中での魚雷攻撃がある。しかし北朝鮮専門家たちは「海軍力で劣勢の北朝鮮には現在、韓国に対しそうした大胆な軍事攻撃を加えるほどの意図や動機は見あたらない」としている。
 このため“事故”説が強まっているが、これまでの情報では艦後部で爆発が起き、停電となり、艦底から浸水し船尾が沈没し始めたとなっている。
 1200トン級の軍艦の沈没には相当の爆発力が必要だ。そのため南北双方が海上に設置している機雷の一部が流出し艦に接触した可能性や、艦装備の爆雷など艦内爆薬の誤爆説が出ている。
 また機関故障で発生したガスなどによる爆発事故の可能性も指摘されている。
 韓国海軍は近年、新造艦の配備や装備の改善など兵力拡充が続いている。その結果、兵力・装備では北朝鮮を上回りつつ
あるが、急速な拡充で訓練や運用などの面に問題があるとの声も聞かれる。

http://www.chosunonline.com/news/20100327000016
軍当局は沈没原因について、哨戒艦内部で原因不明の爆発が起きたか、北朝鮮の機雷などによる爆発のいずれかではないかとみている
別の軍関係者は「ペンニョン島、大青島の間は水深が浅く、潜水艦による魚雷攻撃の可能
性は低いとみている

以上のように、当初は北の攻撃に韓国側は否定的でした。
これが変化したのは天安引き上げ後です。
艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
これは外部爆発以外に考えられない状態です。
座礁ではあり得ません。
なぜなら座礁なら、船全体が暗礁に乗り上げなければこんなことになりませんが、そんな推進力があるはずがないからです。

座礁説の欠点は、天安が乗り上げた暗礁を見つけだせない点です。
「暗礁に乗り上げた可能性」を理論的にいくら唱えても、肝心の暗礁がなければなんにもなりません。
現場は漁船も行き来する場所ですから、海図を入手するのは簡単なはずです。
その程度の検証もしないで座礁説を唱えているとは思えませんが、調べても暗礁がなかったから書けないのではないかと私は疑っています。
日本の場合は詳しい海図が販売されていますし、特に注意すべき地域はネットで公開されています。
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210635.html
例 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN10/zusi/CGI/html/210725.html
この点、残念ながら自分は韓国語の読み書きができないので、調べることができません。
もしも現場に暗礁があり、そこに傷があって天安の塗料でも付着していれば、攻撃説への決定的な反証になると思います。
そういうものが発見されれば、自分も自説を撤回するでしょう。
あるいは隠蔽工作のために暗礁を削り取ったかも知れませんが、その場合でも痕跡ぐらいは残っているはずです。
そういうものが見つかれば、かなり有力な反証になるでしょう。

火薬成分とアルミの検出が報道されているのに、調査報告書には記載がありません。
たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。
この点も、韓国側がデータを加工していない傍証になると思います。

ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
検証は大いにやるべきです。
が、いま出されているものには説得力がないと言っているのです。


sea_of_sound_2008@2010/05/30 17:01

> ところで私は検証行為を否定したことなど一度もありません。
> 検証は大いにやるべきです。

ということは私たちは基本的に同じ立場に立っているということです。
共同で検証できることを感謝します。そのことを認識した上で、
論点を三つにまとめつつ再反論させていただきます。

1.検出された 火薬の痕跡は北朝鮮攻撃の証拠となるか

> たぶん、天安自身のものである可能性が払拭できないという指摘が調査団の中にあり、
> この意見を覆すに足る分析データを提供できなかったからでしょう。

同意見です。その場合あなたは火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因として
みなす態度をとるわけにはいかなくなることに留意してください。
あなたの主要な根拠だったのだから、一歩退却ですね。

「天安号の煙突と切断面、海底で発見されたという火薬痕と金属破片も、事故海域が
韓国軍の射撃訓練区域一帯という点から、韓国軍や米軍のものではないということが
立証されてこそ、証拠の一つとして提示できる。火薬痕は天安号自体の砲煙の可能性
も検証されなければならない。」
http://blog.livedoor.jp/hanchung/archives/1238938.html

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

> 艦艇が外側から内側にひしゃげていて、竜骨が上方に曲がっていた。
> これは外部爆発以外に考えられない状態です。

これは、かならずしも外部からの爆発によらずとも説明できるかもしれません。
下記URLに次のような説明があります。要約するなら、沈没の原因は座礁であるが、
その際ガスタービン室の周りの骨材の決壊をきっかけとして折れたとするもののようです。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1274485366348Staff/view

「イ・ジョンイン代表は「ガスタービン室は40~50トンの大きな機械なので、
船の強度を維持していた骨材が損傷して折れれば、これらはそこに維持でき
ない」とし「一種の切断の過程で、爆発とは無関係」と主張した。」

「続いて合同調査団が出した爆発の証拠に対しては「それ自体が座礁による
衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話した」

「イ・ジョンウン代表はこの他にも座礁の可能性を示す証拠を提示した。彼
は「後進してプロペラが曲がったのは確実だ」とし「左舷も翼二枚が曲がっ
て損傷したが、それは強引に後進したことによる」と主張した」

3.座礁説には座礁位置の特定が必要か

最後の論点は、天安鑑が座礁した地点がはっきりしていないという点です。
これにはそうせざるをえない事情があります。当局が記録を公開していないからです。

「また「その部分(座礁や衝突)を確認するには、天安艦の航跡と位置さえ確認
すれば良い」とし「その部分が非公開なので、天安艦が座礁したのか衝突した
のか、現在のところ確認ができない」とし、航跡記録の公開を要求した」
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1275031901749Staff

ついでに「こうした座礁事故は潮の干満の差が大きい西海(ソヘ、黄海)では
たまに起きている」とするソースを挙げておきましょう。
http://japanese.joins.com/article/article.html?aid=125310&servcode=400§code=430

最後に再び「公式の声明もそれ以外の説も検証されるべき」という私の立場を
確認しておきます。「北朝鮮魚雷説か座礁説か」ではありません。


どろ@2010/05/31 00:04

sea_of_soundさん

1.火薬の検出について

おっしゃる通り、報告書に基づく限りで私は火薬の問題を、外部からの攻撃の決定的要因としてみなす態度をとるわけにはいきません。
火薬成分が検出されたのが報道されていますから、見つかったのは事実でしょう。
しかし調査委員会はそれを証拠採用しなかった。
すると韓国政府のデータは、出ている部分については加工されていない可能性が高く、信用がおけるのではないかという傍証になります。

2.哨戒鑑がひしゃげた原因は外部爆発か

イ・ジョンイン代表は艦が折れた原因を「座礁による衝撃を受けて艦体が前後に折れた証拠」と話していますが、これにはかなりの衝突が必要で、岩礁にぶつからなければ起きない現象ですね。
しかし艦船の推力程度でこんなことになるのでしょうか。
そういう実例はありますか。
同じように座礁説に立っているシン・サンチョル氏(議会推薦の調査委員会委員)は、別の意見です。
シン氏は暗礁説をとっていません。
砂浜乗り上げ説です。
シン氏が調べたところ、現場海域には暗礁がないそうです。

「シン委員はまず、ペクリョン島の砂浜に座礁した天安艦が急いで脱出し、他の船と衝突した可能性に重さをおいた。衝突の可能性を提起した理由は、まず沈没位置の周辺に巨大な岩盤はなく、暗礁は排除した。」

浅瀬に乗り上げた程度で艦がまっぷたつに割れるはずはないので、シン氏は別の艦船との衝突という第2原因を仮定しなければならなくなりました。

しかしその仮説も無理だと思います。
艦の壊れ方が座礁説や衝突説を否定しているからです。
甲板が上方にめくれているのは、座礁説でも衝突説でも説明できません。
艦首と艦尾の船底が上の方向に折れていることも、説明できません。
ビジルキールがやはり上方に強い力でねじれていることもです。
艦全体に下から上に強い力が掛かり、破断部分では特にすべての破断面が上方にねじ曲げられています。
これらの現象は艦底から甲板にかけて強いエネルギーが通り抜けたことを示しています。

イ・ジョンウン代表は左舷の翼二枚が曲がって損傷していることを、強引に後進したことによると主張していますが、それならばすべての羽が曲がらなければなりません。
一部の羽だけが曲がっているというのは、プロペラが回転していなかったことを示していませんか。
プロペラ部分が海底の砂地に半ば埋もれて、艦が潮流に引きずられたから、埋もれた部分だけが曲がったと考える方が合理的です。

3.座礁位置について

イ・ジョンウン代表は「折れた場所で今私たちが 暗礁にぶつかったと言っているのではない」とし「暗礁にぶつかり、そこから 抜け出して5~7km程漂流(して沈没)した」と主張しています。
沈没位置は分かっているのですから、航跡記録などなくても、その付近の海図を入手すれば暗礁の有無が分かるでしょう。
暗礁にぶつかったのなら痕跡が残っているはずです。
削られた暗礁があり、そこに天安の塗料痕でも発見されれば、魚雷説は吹っ飛びます。
しかしスクリューまで乗り上げて、艦が折れるほどの激しい座礁など、艦船の推力であり得るとは思えません。

4.バブル効果は迷信で、調査団の発表通りなら艦はバラバラになるか

 URLが示されている米国ジョーンズホプキンス大のソ・ジェジョン物理学教授の意見ですが、検討に値しません。
 オーストラリア海軍の魚雷実験の写真があるので、本文に追加します。
 実験はMk-48魚雷の威力テストで、Mk-48は艦の直下で爆発して竜骨を折るように設計された魚雷です。つまり今回使われたと推定されているものと同じです。 
 艦はバラバラにならず、まっぷたつに割れています。

 批判はよいけれど、何でも口からデマカセを言うのは、まじめな批判ではないと思います。


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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-30 17:47 | 政治
 「今国会では断念」が伝えられたとはいえ、今後もやはり警戒を要すべきだろう。

 国会法「改正」案について、民主党は「官僚主導を政治主導に変えるための第一歩」としている。しかし、内閣法制局長官の政府特別補佐人からの排除は、明らかに一般に認知された官僚制の問題、例えば公共事業をめぐる政財官の癒着といった問題とは種類が異なる。

 「官僚主導から政治主導へ」といったスローガンの下に、異なる事例を一緒に取り扱うことはできない。スローガンに惑わされず、事実に即した分析と批判をすることが重要である。


 民主党とのいう「政治主導」とは何か。それはこの場合には「内閣主導」「首相主導」あるいは「与党主導」である。現状において、つまるところは小沢一郎が憲法解釈の最終決定権を握るということである。本ブログでは、既に民主党が「小沢流の解釈改憲」で固まっているのではないかと指摘している。
 内閣が主体となって憲法解釈が行われるということについて、果たして内閣にそのような憲法解釈の権限があるのだろうか。内閣の権能については、第73条その他において、はっきり日本国憲法に定められている。内閣はあくまでも行政権の中枢であるはずだ。そして憲法解釈の最終権限は、司法権の最高機関である最高裁判所にあるはずである。憲法学の素人である私でさえ、内閣に憲法解釈の最終権限を与えるような立法はおかしいのではないかと感じる。


 水島朝穂「なぜ法制局を排除するのか —— 歪んだ『政治主導』」によれば、行政府の憲法解釈は、内閣法制局の憲法解釈を聴取した上で、内閣の責任において行うべきものであるという。つまり、行政府による憲法解釈は、そもそも禁止されていないのだ。これが第一に知るべきことである。

 しかし当然そこには限定もある。行政府が全く自由に憲法解釈を行って良いというわけではない。いかに行政府が憲法を解釈するといえども、国会における論議の積み重ねを軽んじてはならないし、法治主義や憲法尊重擁護義務も守らなければならない。

 水島朝穂は「内閣による自由な憲法解釈は、法治主義や国務大臣の憲法尊重擁護義務の観点から問題であるが、憲法解釈それ自体の性質論からも、単なる政策的必要性から憲法解釈は変更されるべきものではない」として、第134回国会における大出峻郎内閣法制局長官の答弁を引用している。

 「最高法規である憲法の解釈は、政府がこうした考え方を離れて自由に変更することができるという性質のものではないというふうに考えておるところであります」。

 もし内閣法制局の答弁を禁じるのならば、内閣法制局と行政府の憲法解釈を比較することさえできなくなってしまう。内閣による全く自由な憲法解釈が可能になってしまう。となると民主党・小沢一郎の言う「政治主導」とは、「内閣独裁」「首相独裁」とでも言った方が良さそうだ。


 まして民主党と小沢一郎との意図は、はっきりと解釈改憲、つまりは実質的な改憲にある。


 憲法改正の手続きは、周知のように憲法によって厳しく定められている。国会法「改正」という立法によって、解釈改憲(実質的な改憲)のための環境作りをすることは、政治的判断を優先させて、法にかなった正当な手続きを迂回する奇策であり、立法改憲の一種ではないのか。

 「国会法等の『改正』に反対する法学者声明」に「明文改憲が提起しづらい政治状況が生まれたなかで、解釈改憲が現実的な路線として追求されようとしている」というのは、そうした事情を指すものだろう。


 また、内閣法制局長官のせいで政治家同士の国会での議論が停滞しているかのような論理は、おかしい。「声明」にある通り「現状でも政府参考人に頼らずに政治家同士で審議をすることは十分可能」なのであって、ようするに総理なり大臣なりが官僚任せにせず、答弁すればよいだけの話しだ。

 それをしないのは政治家の怠慢の問題に過ぎず、立法の問題ではない。やはり、立法によって「政治主導」を実現しようとすることは詐術である。


 最後に一つだけ触れないわけにはいかないのが、この問題への21世紀臨調の関わりだ。前述「なぜ法制局を排除するのか —— 歪んだ『政治主導』」および赤旗記事「国会法改定議論を開始/小沢氏ら会合 憲法解釈変更狙う」によれば(また読売新聞2009年11月5日付「スキャナー」欄によれば)、「国会改革」の源流は21世紀臨調の「国会審議活性化等に関する緊急提言」にあるという。

 21世紀臨調とはまことに罪深い組織である。



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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-29 17:31 | 政治
 「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より転載。この声明には「国会法改正案」の問題が集約的に現れているので、是非一読を。この問題を私の言葉でざっくばらんに言うのならは、小沢一郎が憲法解釈の最終決定権を握る、ということになる。強調は転載者による。

国会法等の「改正」に反対する法学者声明

 民主、社会民主、国民新の与党3党は、5月14日、国会法等の「改正」案を野党側の反対を押し切って国会に提出した。

 民主党は、2009年の総選挙のマニフェストで「鳩山政権の政権構想」の5原則の冒頭の2つに、「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」と「政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ」とを掲げ、衆議院の比例定数の80削減を盛り込んだ。また、この夏の参議院選挙のマニフェストには参議院の定数40削減を盛り込む方針を決めた。これらにより選挙制度や議会制について大がかりな改変が構想されている。その後、民主党は11月12日、「国会審議の活性化について」と題する文書を発表した。その概要は以下の通りである。

①政治家同士の議論を阻害している政府参考人制度を廃止する。
内閣法制局長官を「政府特別補佐人」から削除する。
③各委員会において、政治家同士による審議の場とは別に、行政公務員、各界有識者、市民団体、業界団体等から広く意見を聴取する新たな場を設置する。
④質問通告の規則を改善・厳格化する。
⑤政治主導体制を強化するため、大臣政務官を増員する。

 これを受けて、民主、社会民主、国民新の3党は、2009年12月28日、幹事長・国対委員長会談を開き、上記①から⑤の内容を盛り込んだ「国会審議の活性化のための国会法等の一部改正について(骨子案)」(以下、「骨子案」と略)を了承した。

私たちは、将来提起されてくることが予想される議員定数削減も、国民主権と議会制民主主義にとって重大な問題を惹起するものと考えるが、このたび国会に提出された国会法や議院規則などの改定は、必ずしも国会審議の活性化に資するものではなく、むしろ立憲主義の意義を弱め、国民主権の原理に背馳し、憲法が予定する議会制民主主義の形骸化を導くおそれがあるものと考え、この喫緊の問題についての声明を発表し、その危険性を世に訴えることとした。


1.政府参考人制度の廃止について

 国会の審議において、議員同士あるいは議員と大臣・副大臣・政務官との間で議案について十分な議論を尽くすことが重要であるのは、国会が国民主権のもとでの「国権の最高機関」であることから当然のことである。その点では、現行の「政府参考人制度」(衆議院規則45条の3、参議院規則42条の3)は、議長の承認や委員会が必要があると認めるときに答弁できるとしているにすぎないのであって、現状でも政府参考人に頼らずに政治家同士で審議をすることは十分可能である。

 それにもかかわらず、「行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるとき」に「その説明を聴く」としている政府参考人の制度を廃止することは、むしろ国会における審議の質を低下させ、そればかりか、憲法62条が規定する国政調査権を不当に制限するものである。

 上記の「骨子案」では、政治家同士による審議の場とは別に「意見聴取会」を設けるとしているが、そのような場の設定が国会での審議の充実に資する保障はない。「行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査」は、法律案などの議案の審議のなかで行われることでこそ、現状の問題点の検証や改革の必要性の検討に役立つのであって、制定される法律の質を確保する上でも重要である。そのような審査や調査を「意見聴取会」に切り分けて集めてしまうことは、かえって審議を散漫なものにしてしまいかねない。この「意見聴取会」が大臣等の出席義務なしに開催される場合は、なおさらである。

 また、政府参考人制度の廃止は、官僚による行政運営を、国会とりわけ野党議員の追及からかばい、ひいては政府・与党の政権運営に対する監視や批判の手がかりを国会から奪うことにつながる。その点でも国会の審議機能に低下をもたらす。


2.内閣法制局長官の「政府特別補佐人」からの削除について

「骨子案」は、国会法の69条2項が定める「政府特別補佐人」から内閣法制局長官を削除して、「意見聴取会」で「意見を聴取」する「行政機関の職員」の中に内閣法制局長官を含めるとしている。

 内閣法制局は、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」や「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」(内閣法制局設置法3条1号・3号)などの事務をつかさどり、内閣法制局長官は、閣議の陪席メンバーである。こうした法律問題の専門的部署として内閣の法律顧問的役割を果たし、政府の憲法・法律解釈の統一性を確保するべき内閣法制局の長官を、「意見聴取会」への出席は可能になるとはいえ、国会での法案審議の場から排除することは、国会審議自体はもとより、政府による憲法運用全般にも大きな歪みをもたらすことが危惧される。

 法案の審議の場では、その合憲性や従来の政府見解との整合性が問題とされる際には、政府の憲法解釈が問われる場面がしばしば現れる。そのような場面で、「政治主導」を理由にして首相や閣僚が、その時々の政治判断で憲法解釈を行い、それによって政府の憲法解釈やその統一見解がなし崩し的に変えられてしまうならば、立憲主義国家の憲法運用のあり方としては、重大な問題を生むことになる。とりわけ、憲法9条に関する政府の憲法解釈が安易に変更されることの影響ははかり知れない。


3.憲法9条の重大な危機

 内閣法制局長官の排除に対する小沢一郎民主党幹事長の意欲は、並々ならぬものがある。同氏は自由党時代の2003年5月には、「憲法や条約の有権解釈の権限を官僚の手から奪い返す」として、「内閣法制局設置法を廃止する法律案」を国会に提出している。また、同氏は、「国連の平和活動は国家の主権である自衛権の行使を超えたもの」であり、自衛隊による国連の平和活動への参加は、「たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない」という持論を持っている。こうした独特の憲法解釈は、「(国連憲章上の)集団安全保障に関わる措置のうち憲法9条によって禁じられている武力の行使、または武力の威嚇にあたる行為については、我が国としてこれを行うことが許されない」(1994年6月13日、種田誠衆院議員に対する大出峻郎内閣法制局長官の答弁)とする内閣法制局の憲法解釈と鋭く対立するものである。

 鳩山由起夫首相も、2009年11月2日の国会で、集団的自衛権の行使を禁じているこれまでの政府の憲法解釈を当面踏襲する考えを明らかにしたが、その2日後の11月4日には、憲法解釈について、「内閣法制局長官の考え方を金科玉条にするというのはおかしい。その考え方を、政府が採用するか採用しないかということだ」と述べ、政府に決定権があると強調した。また、平野博文官房長官も同日の記者会見で、「鳩山内閣以前の内閣での解釈は、法制局長官が判断をしてきている。鳩山内閣では政治家が政治主導で、内閣において責任を持って判断する」と述べた。これは、集団的自衛権の行使は違憲とする内閣法制局が長きに渡って維持してきた憲法解釈を、政府の判断で変更することもありうるということである。

 明文改憲路線を掲げた自民党の安倍晋三首相が、2007年の参院選の敗北の結果を受けて退陣を余儀なくされたことを目の当たりにした民主党は、2009年総選挙では、2005年の「憲法提言」に込めた改憲の方針を鮮明にすることなく勝利した。このように明文改憲が提起しづらい政治状況が生まれたなかで、解釈改憲が現実的な路線として追求されようとしている。そうした解釈変更による9条改憲が容易な国会づくりが、内閣法制局長官の「政府特別補佐人」からの除外によって目指されているといえる。

 国民主権の観点からするならば、本来の意味での政治主導とは、国会をすべての議員が国民の代表としてその力能を発揮できるものとする必要がある。そして、内閣は、そのような国会に対して連帯して責任を負い、そうした内閣の責任を実効的あるものにするために行政機関に対する国会による監視と統制を確保することを基軸にして、国会と内閣の関係は構想されるべきものである。与党三党による国会法等を改正する「骨子案」は、そのような国民主権に基づく本来の意味での政治主導の実現には程遠く、「政治主導」を謳い文句にしつつも、政権党なかんずくその執行部による権力の独占、議会軽視、官僚組織の囲い込み、憲法運用の不安定化、政府解釈の安易な変更による憲法の歪曲をもたらしかねないものである。

 私たちは、このような国会法等の改正に強く反対し、法案の撤回を求めるとともに、国会と内閣の運営を、国民主権と議会制民主主義に立脚したものとするよう広く呼びかけるものである。

  2010年5月20日

<賛同者>

愛敬浩二(名古屋大学教授) 足立英郎(大阪電気通信大学教授) 石埼学(龍谷大学教授) 稲正樹(国際基督教大学教授) 井端正幸(沖縄国際大学教授) 植松健一(島根大学准教授) 植村勝慶(國學院大學教授) *浦田一郎(明治大学教授) 浦田賢治(早稲田大学名誉教授) 大野友也(鹿児島大学准教授) 岡田章宏(神戸大学教授) 奥野恒久(室蘭工業大学准教授) 小栗実(鹿児島大学教員) *小澤隆一(東京慈恵会医科大学教授) 戒能通厚(名古屋大学名誉教授) 加藤一彦(東京経済大学教授) *上脇博之(神戸学院大学教授) 北川善英(横浜国立大学教授) 木下智史(関西大学教授) 清田雄治(愛知教育大学教授) 久保田貢(愛知県立大学准教授) 久保田穣(東京農工大学名誉教授) 倉田原志(立命館大学教授) 小竹聡(拓殖大学教授) *小林武(愛知大学教授) *小松浩(立命館大学教授) 近藤真(岐阜大学教授) 佐々木光明(神戸学院大学教授) 笹沼弘志(静岡大学教授) 清水雅彦(札幌学院大学教授) 新屋達之(大宮法科大学院大学教授) 隅野隆徳(専修大学名誉教授) 芹沢斉(青山学院大学教授) 高橋利安(広島修道大学教授) 竹森正孝(岐阜大学教授) 只野雅人(一橋大学教授) 田中則夫(龍谷大学教授) 田村和之(龍谷大学教授)塚田哲之(神戸学院大学教授) *中島茂樹(立命館大学教授) 長岡徹(関西学院大学教授) 中里見博(福島大学教員) 中村浩爾(大阪経済法科大学名誉教授) 永山茂樹(東海大学教員) 名古道功(金沢大学教授) 成澤孝人(信州大学准教授) 新倉修(青山学院大学教授・弁護士) 丹羽徹(大阪経済法科大学教授) 前野育三(関西学院大学名誉教授) 前原清隆(日本福祉大学教授) 松宮孝明(立命館大学教授) 水島朝穂(早稲田大学教授) 三宅裕一郎(三重短期大学准教授) 三輪隆(埼玉大学教員) 村田尚紀(関西大学教授) 本秀紀(名古屋大学教授) 元山健(龍谷大学教授) *森英樹(龍谷大学教授) 諸根貞夫(龍谷大学教授) 山内敏弘(一橋大学名誉教授) 山口和秀(岡山大学名誉教授) 山崎英壽(日本体育大学講師) 若尾典子(佛教大学教授) *渡辺治(一橋大学名誉教授) 渡邊弘(活水女子大学准教授) *和田進(神戸大学教授)
その他5名   以上71名

(*は呼びかけ人)


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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-29 10:51 | 政治
 BBC News の記事「S Koreans divided over response to North」の訳です。私の翻訳を信用せず、重要な箇所は原文で確かめてください。誤訳その他はコメント欄にどうぞ。
北朝鮮への反応で分かれる韓国人

 3月26日に北朝鮮との領海近くで沈んだ軍艦をめぐり、朝鮮半島では緊張が高まっている。

 合同調査団は、北朝鮮の潜水艦から発射された魚雷が船を沈没させたとしているが、ピョンヤンはそれを否定している。韓国は北朝鮮との貿易的つながりを停止してしまった。

 事件の深刻さを、そして北朝鮮にどう対処するのが最善かを、韓国の読者が議論する。


Kyungho Rhee, student, Seoul

 北朝鮮はメッセージを送ろうとしている。彼らは、韓国の人々に大きな怒りを引き起こしつつ、たまにこんなことをする(?)。

 韓国はとても強くなった――立脚点を明らかにしておくならばね(?)。

 北朝鮮との貿易を止めるのは正しい行為だ。けれどもそれが深刻な結果をもたらすとは思わない。

 ここでは戦争への欲求(appetite for war)がそんなにあるわけじゃないんだ。経済は強くなりつつあるけど、戦争は僕らをひどく傷つけてしまう。

 僕らにはとても強い軍隊があるわけじゃない。アメリカの支援があるが、それに頼るわけにはいかない。だから北朝鮮との交易を止めるのが、僕らにできる最善のことだ。

 長期的な観点から見るなら――僕が思うに最も大きな影響力を持っているのは中国だ。この問題をどう展開するのか、彼らはその鍵だ。

 僕は、韓国とアメリカは、中国を北朝鮮に働きかける位置に戻すように、努力をしなければならないと信じている。けれど、それは大変な苦闘になるだろう。


Junwhan, 38, government official, Seoul

 天安艦の沈没はとてもシリアスな事件だ。私は水兵たちの死にショックをうけ大変悲しい気持ちになった。

 私はとても心配している。というのは、これが朝鮮戦争以来北朝鮮によるもっとも挑発的な行為だからだ。

 核実験や長距離ミサイルの実験も非常な脅威だったが、それらは実際に韓国の人々を傷つけたわけではない。この事件は人々の命を犠牲にしてしまった。

 数年前に北朝鮮の船舶が北方限界線 [inter-Korean maritime border] を越え、二つのコリアの間に衝突が起きた。北朝鮮は復讐を誓った。

 北朝鮮はまた韓国の外交力、特にアメリカとの関係、を試したかった。それに彼らは、韓国が北朝鮮にどう対応するのかについて、非常に分かたれた社会だということを知っている。

 個人的に私は、北朝鮮に対するより保守的で強硬な姿勢を支持している。思うに我々は厳しくふせがなければならない、だから貿易削減(?)には全く賛成だ。

 放送も重要だ。金正日は我々の敵だが、北朝鮮の人々は我々の同胞だからだ。彼らは外の世界で何が起きているのか知る権利がある。


Lee Jae-youn, intern in a company, Seoul

 これは本当に悲しい状況です。安全保障の問題が非常に深刻なので、人々は心配しています。けれど、私たちの中には政府の発表に対して疑いを持つ人もいます。

 そもそも、なぜ今これが起きたのでしょうか?一週間後には選挙が控えていますが、北朝鮮の挑発行為の多くは選挙前の期間に起きました。だから私たちは、この哨戒鑑沈没事件が与党によって悪用されているのではないか?と疑問に思っています。

 私たちの政府は調査結果を事実と見なしていますが、証拠は明瞭とはいえません。私が疑問に思っているのは、爆発があったにもかかわらず、どのようにして[魚雷の残骸の上の]インクペン(ink pen)のマークがまだ存在しているのかということ。それになぜ北朝鮮は魚雷の底に署名したのでしょうか?

 なんにせよ、これは私たちの国にとって非常に悲しいことです。私たちは死んだ四十六人の水兵の追悼式で一緒に涙を流しました。だから、私はこの事件が誰かの利益のために使われることを望みません。

 これは深刻な状況です。多くの人が戦争について語っています。朝鮮戦争60周年記念日が近づいているし、繰り返し繰り返し我らは彼らに復讐するのだと言う大統領に、私たちは気が気でない思いをしているのです。


Gyuhang Kim, student, Seoul

 僕やその他の多くの人々は、韓国政府が証拠を作り上げ(making up the proof)さえして、故意に北朝鮮を非難しているのではないかと疑っている。

 僕たちはみな政府の反北朝鮮感情に気付いているし、公式報告書は全く信じていない。

 魚雷前部の「1番」というマークは、あのような衝撃を生き延びて存在することはできない。証拠の信頼性に疑義を呈したいくつかのニュースサイトが理由もなく閉鎖され、僕らは政府の検閲を疑っている。

 それにまた、僕は、再統一に向けて最初の一歩を踏み出そうとするつらい仕事をやってきたこれまでの大統領たち、とりわけ金大中、の長年にわたる苦難の業績を、政府が無駄にしていると思う。

 李明博大統領は、再統一への努力の年月を破壊しているだけではなく、韓国の経済と人々とを北朝鮮との戦争――核戦争もしくは第三次世界大戦への序曲――の危機にさらしている。

 沈没の原因について、噂が広まっている――合同訓練中のアメリカの潜水艦との過ちの可能性のような。それは北朝鮮を非難するために韓国政府によって隠蔽されたとされている。


Choi Jae Woo, 24, science teacher, Cheonan

 この事件のことをとても悲しく思っている。私は兵役で海軍にいた時、同種の艦船で働いていた。こうした攻撃のことは心配したことがなかった。

 私は北朝鮮との戦争の可能性を心配している。友達もまたそのことを心配している。

 私たちは北朝鮮のやったことにとても怒っているが、戦争は望んでいない。

 保守派と進歩派の間では、多くの議論が係争中だ。私は保守派だ。

 私はそんなことはやめて(?)、貿易を中止し、彼らの船が我々の領海に入ってくることを防げと言いたい。けれども、本当に危険なことになるかもしれないから、それ以上のことは無理だ。

 私たちはあまり多くのことはやれない。北朝鮮により大きな影響力を持っているのは中国だ。中国がコントロールしてうまくやっていくことを望んでいるが、彼らが姿勢を変えるとは思わない。

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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-26 10:07 | 政治
 韓国哨戒艦沈没事件に対する合同調査団の結果が発表された5月20日は、「科学的」であることとは何かを巡って、中国とアメリカの間で言葉が交わされた日でもあった。それまで「科学的で客観的な調査」を重要視して来た中国に対し、アメリカが合同調査団の最終報告書こそ「証拠に関する客観的、科学的調査」だとやり返したのだ。
 「科学的で客観的」であるためには検証が付き物である。だが、韓国哨戒艦天安の沈没原因については、合同調査団の下した結論の独占状態にある。わかりやすく言えば、「オーケー、あなたがた合同調査団がそのような結論を下しているのはわかった。これは僕らにも関わる非常に重大な問題だ。だから、それを確かめたいんだけど?」ということだ。その意味で、中国が「検証可能なものでなければならない」と言っているのは、全く正しい。


 最終報告書の発表を受けて、北朝鮮は全く異例の反応を見せた。20日には、北朝鮮は韓国に「検閲団」(「検証団」と意訳するのが適当と思うのだが)を派遣すると申し出た。この申し出は韓国側に拒否されたが、22日に再び派遣を申し出ている。ハンギョレ・サランバンによれば、韓国政府関係者は20日の申し出について「南北関係史で前例がないことであり、予想外の対応」とコメントしている。二度の申し出はそれ以上の異例さということになる。北朝鮮のふるまいがいつも通りだとしている人はこの点で正しくない。
 この「検閲団」は、韓国と北朝鮮の相互断絶の流れに呑まれて、一抹の泡として消えてしまったようだ。どんなにこれが受け入れがたい提案であっても、李明博政権は受け入れるべきだったろう。確かに当事者、それも加害者とみなされている立場の国家が、検証作業を行うというのは問題がないではない。しかし、もし北朝鮮「検閲団」が資料を歪曲し無罪を主張したとしても、それに反論すれば良いではないか。それが科学というものだろう。

 これはまた科学という手続きの場を借りて、北朝鮮を対話に参入させることができる絶好の機会でもあっただろう。断罪するが弁明の機会は与えないというのでは、北朝鮮を追いつめるだけである。


 合同調査団の構成について、各報道をまとめると韓国軍が主体であり、米海軍も加わっているようだ。アメリカのキャンベル国務次官補は、「アメリカも調査に積極的にかかわっており、その結論を強く支持する」と述べた。そのことが直ちに真実性を歪めるわけではないだろう。しかし中立性の観点から言うと疑問が残る。それにここにはもう一つの問題がある。
 韓国の参加は(与党に有利な政治的判断を下すかもしれないと言う疑いはあるにせよ)当然として、アメリカもまた合同調査団に関わっている。既に報道されているように、中国とロシアは独自に調査しており、結論をまだ出していない。となると六ヵ国協議関係国の中で、調査も無しに結論を出しているのは、北朝鮮を除けば、日本だけである。このことからも鳩山政権が、合同調査団の最終報告書を受けて、韓国政府に即座に全面支持を与えたのは早計であると言える。

 せめて日本も独自調査をすべきだった。そしてより良いと思われるのは、真に国際的な検証をおこなうように提唱することだ。ここで「国際的な」という意味は、合同調査団が自らを誇って主張しているような意味ではない。「様々な国家に所属している人が参加していること」ではなく、「国家にとらわれない」ということである。

 そのような場が設けられるならば、おそらく関係各国(今や日本もそこに含まれるのだが)にとっては、冷静さを取り戻す機会になるだろう。あらためて北朝鮮の関与が結論づけられたとしても、その過程で北朝鮮を外交的な交渉の場に引き出すことができるかもしれない。そして、これは哨戒艦沈没事件に対する、かなり理性的な回答ではないだろうか。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-26 08:23 | 政治
 韓国の哨戒艦が沈没した原因がなんであれ、確実にわかっていることが二つある。一つは、韓国では「北朝鮮関与説」以外の異論が提出されていること、もう一つは、そうした異論に対して韓国政府が言論弾圧を行っていること。そうした事情を踏まえるなら、日本が韓国と同様に「北朝鮮関与説」に染まろうとするのは早計だ。


 今日20日、3月26日に韓国で起きた哨戒艦の沈没事件に対して、合同調査団が「北朝鮮製の魚雷による沈没」とする最終報告書を発表した。といっても、その結論は既に知られていた。韓国政府が散々漏らしてきたからだ。李明博大統領は、今月初めには既に「北朝鮮関与説」に心を決めていたようだ。
 哨戒艦沈没事件が日本でも俄然注目されるようになったのは、おそらく16日に行われた日韓外相会談を境にしてだ。韓国の柳明桓外交通商相が岡田克也外相に、北朝鮮の犯行であることを断定したからだ。岡田外相は、韓国側の見解を全面支持する日本の姿勢をはっきりさせている。

 これは哨戒艦沈没を巡る韓国と北朝鮮の政治対立に、日本が巻き込まれていくことを意味する。だが、そのことは日本では充分に検討されているとは言えない。岡田支持発言を批判する声も紙メディアにはなく、インターネット上にしかないようだ。だが、日韓外相会談の時点で、既にこの事件がかなり錯綜したものであることはわかっていた。


 韓国の「北朝鮮関与説」以外の説にはどのようなものがあるのか?二つ取り上げる。

 一つは、『ハンギョレ21』が報道した未回収機雷説だ。「ペクリョン島を要塞化せよ」との朴正熙元大統領の指示に基づき、1970年代に敷設された機雷が、その後の回収作業にもかかわらず一部未回収のまま残されており、それに接触した可能性があるという。要職にあった元軍人が匿名で証言した。
 もう一つは、KBS テレビが、「謎の第3ブイ…なぜ?」という特集で示唆した、米潜水艦との衝突説だ。「田中宇の国際ニュース解説」と「河信基の深読み」での紹介をまとめると、同番組は、沈没した哨戒艇とは別の「第3ブイ」でも捜索作業が行われたことに注目し、そこにアメリカの潜水艦が沈没していた可能性を指摘するものであるらしい。

 なんとこの放送は当局から名誉毀損で告訴されてしまった。

 言論弾圧の状況に関して、やはり二つの例を取り上げる。哨戒艦が沈没した原因に対しては、いろいろと推測が成り立つが、韓国政府はそうした推測を許さない態度で望んでいる。

 まず、韓国の検察は、インターネット上の言論活動に対して、「デマ」への処罰という形で取り締まる姿勢を見せている。それらの中にはくだらないものもあるだろうが、言論の場に権力が介入することは、言論全体を萎縮させる効果をもたらす。
 先程述べたように、KBS の番組「謎の第3ブイ…なぜ?」に対しては、韓国政府が名誉毀損で告訴している。この番組はインターネットでも閲覧できたそうだが、現在は閲覧できず当該ページには「法廷闘争のため原稿掲示と映像サービスは中断します」とあるだけだ(この訳文は「河信基の深読み」による)。
 こうして権力を使って異論を排除してゆくということは、当局が許した公認の結論以外は許されないということだ。「デマ」とは、畢竟「当局の見解以外は全てデマ」「北朝鮮関与説以外は全てデマ」ということではないのか。


 昨日と今日、鳩山首相もまた韓国を支持する発言をした。だが、その日本が支持することに決めた韓国の状況はというと、以上かいつまんで見たように、非常に問題があるものだ。それに同調するのは正しい選択とは言えない。また韓国内でも野党やハンギョレのような進歩派メディアは、政府と違った意見を持っている。
 日本で差し当たりこの先に起こりそうなことは、世論が悪魔化された北朝鮮のイメージを自己確認することだろう。やっぱり北朝鮮はこういうことをする国だ、だから北朝鮮には強硬論で望むのが正しい、というわけだ。もう一つ起きそうなことは、普天間基地問題とのリンケージだ。この合同調査団報告書の出した結論は、「北朝鮮の脅威」に対して海兵隊の「抑止力」が必要であることの証左として喧伝されるかもしれない。
 この件をマスメディアがどう伝えるか非常に心配だ。日本のマスメディアは、拉致事件について強硬論一色から未だに抜け出していない。だが、日本政府が韓国政府に同調し、日本政府にマスメディアが同調するということでは困るのだ。それは結局は韓国の異常な状況を日本に伝染させることになる。


 あと、二三のことを書いておきたい。

 まずはアメリカがこの問題にどう関わっているのかということ。KBS が伝えた米潜水艦との衝突説が本当だとしたら当事者であるのはもちろんだが、そうでなくても朝鮮半島の情勢にアメリカが関わっているのは当然だ。当初アメリカは北朝鮮の犯行とする見方には否定的だった。それが何故変化したのか。今後東アジアで何をしようとしているのか。

 また、特に書いておかなければならないのは、仮に北朝鮮が関与していたとしても、北朝鮮に強硬な姿勢で望むのが唯一の方策ではないということだ。雑誌『世界』6月号の連載「ドキュメント 激動の南北朝鮮」によれば、犠牲者兵士の家族協議会代表は、李大統領に対して「同じ方法で仕返しするようなことはいけない」と語ったという。「北朝鮮関与説」が韓国政府の唯一の見解となっている現状では、それ以外の説を検討することは重要だが、それが全てではない。


 今後起きることが何であれ、李明博政権の強硬論は韓国の政治だけでなく、日本の政治にも良い影響を及ぼさないであろう。これがきっかけとなって日本で対北朝鮮強硬論が勢いづくことが考えられる。李明博政権の「北風」に巻き込まれてはいけない。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-20 14:57 | 政治
 以下は Los Angeles Times に掲載された Chalmers Johnson による「もう一つの沖縄の戦い(Another battle of Okinawa)」の翻訳である。誤訳などあったらコメント欄で指摘していただきたい。
もう一つの沖縄の戦い
反対運動にもかかわらず、アメリカは新しい軍事基地を沖縄に建設する計画に固執している


May 06, 2010
チャルマーズ・ジョンソン

 沖縄の軍事基地に対する議論を巡って、合衆国は日本との同盟関係を恒久的に損なう縁《へり》にいる。この島嶼県は、日本におけるアメリカの軍事施設の四分の三を迎え入れている。ワシントンは生態的に繊細な地域にもう一つ基地を建設したがっている。沖縄の人々はそれに烈しく反対しており、先月には何万人もの人々が基地に抗議するために集まった。東京は板挟みになっており、日本の首相はアメリカの要求に屈したかのように見える。

 第二次世界大戦以来アメリカが獲得した地球を取り巻く海外の軍事基地たち――それは130ヵ国700箇所以上にのぼる――の中でも、我々が沖縄に建設したものほど悲しい歴史を持つものは希である。

 1945年には日本はもちろん敗戦した敵国だったし、それゆえ、どこにどのように基地を配置するかについて発言の機会は与えられなかった。日本本土では、我々は単純に彼らの軍事基地を引き継いだだけだった。しかし、沖縄は日本が1879年に併合するまで独立した王国であり、日本は沖縄をアメリカにとってのプエルトリコのようなものだと見なしたままだった。島は太平洋戦争における最後の大きな戦いで破壊され、アメリカは造作もなく欲しいと思った土地を整地し、住人から取り上げるか、強制的にボリビアに移住させた。

 1950年から1953年にかけて沖縄のアメリカ軍基地は朝鮮戦争を戦うために使われ、1960年代から1973年にかけてはヴェトナム戦争の期間中使われた。基地は補給基地と飛行場として提供されただけでなく、兵士たちが休息し気晴らしし、酒場と売春婦と人種差別のサブカルチャーを生み出すための場所となった。いくつかの基地の周辺では黒人と白人のアメリカ兵の喧嘩が執念深く頻発するため、二つのグループの要求を満たすために、隔離された地帯が生み出された。

 アメリカの日本占領は1952年の講和条約とともに終了したが、沖縄は1972年までアメリカ軍の植民地であり続けた。20年間もの間、基本的に沖縄の人々は国家なき民であり、日本のものであれアメリカのものであれ、パスポートも市民権も取得する資格が与えられなかった。日本が沖縄に対する統治権を取り戻した後も、アメリカ軍は数々の基地で起こることに対して、沖縄の空域に対して、支配を保ち続けた。

 1972年以来日本政府とアメリカ軍は、沖縄の人々が自分たちの未来について意見することをすっかり否定することで共謀しているが、それがゆっくりと変化しつつある。例えば1995年には、二人の海兵隊員と一人の水兵が、12才の少女を拉致し強姦した件で告訴された後、基地に反対する大規模なデモがいくつも開催された。1996年には、アメリカは宜野湾市にすっかり囲まれている普天間基地を返還する用意があることで合意したが、日本が沖縄のどこかに別の基地を代わりに建設することを条件としていた。

 そして名護市を候補とする案が生まれた(2006年の米日の合意までは正式ではなかった)。名護市は沖縄本島の東北部に位置する小さな漁村で、フロリダのマナティーに似た哺乳類、絶滅の危機に晒されているジュゴンの生息地である珊瑚礁があるところだ。そこに大規模なアメリカ海兵隊の基地を建設するには、杭打ち方式か埋め立てによって滑走路を建設しなければならないが、それは珊瑚礁を死滅させてしまう。環境保護家はずっと抗議を続けてきたが、2010年の初めには、名護市は自分の町におけるあらゆるアメリカの基地建設に反対する公約を掲げた市長を当選させた。

 2009年に政権の座に着いた日本の首相、鳩山由紀夫の勝利の一因は、合衆国に対して普天間海兵隊飛行場の撤去と全ての海兵隊の沖縄から撤退を求める公約のおかげである。しかし火曜日に彼は沖縄を訪れ、深くお辞儀するとともに、住人に対して文句を言わないようにぜひにとお願いした。

 私は鳩山の振る舞いは臆病で軽蔑すべきものだと思うが、それよりも日本人をひどくもこのような屈辱的な袋小路に追い込んだアメリカ政府の傲慢さを更に非難するものである。アメリカはそうする余裕もなければ、ますます多くのいわゆる受け入れ国が最早望んでもいない、我らが軍事基地帝国を維持することに強迫観念を抱くようになっている。私は合衆国に対して、その傲慢な態度を改めることを、普天間の海兵隊を合衆国の基地(私がその近くに住んでいるキャンプ・ペンドルトンのような)に帰還させることを、そして沖縄の人々に彼らの65年間にわたる忍耐を感謝することを強く提案したい。

原文:Los Angeles Times - Another battle of Okinawa by Chalmers Johnson

 実は「Internet Zone::WordPressでBlog生活」でこの記事の存在を知ったのだが、一通り訳し終わった後改めて同サイトを見ると GAKU さんが、ご自分の訳を投稿されていた。なんと!

 まあいいや。

 GAKU さんへ。いくつかの訳語を参考にさせてもらいました。この場を借りて感謝申し上げます。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-12 17:29 | 政治