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by sea_of_sound_2008
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韓国哨戒艦沈没事件:検証をめぐる問題

 韓国哨戒艦沈没事件に対する合同調査団の結果が発表された5月20日は、「科学的」であることとは何かを巡って、中国とアメリカの間で言葉が交わされた日でもあった。それまで「科学的で客観的な調査」を重要視して来た中国に対し、アメリカが合同調査団の最終報告書こそ「証拠に関する客観的、科学的調査」だとやり返したのだ。
 「科学的で客観的」であるためには検証が付き物である。だが、韓国哨戒艦天安の沈没原因については、合同調査団の下した結論の独占状態にある。わかりやすく言えば、「オーケー、あなたがた合同調査団がそのような結論を下しているのはわかった。これは僕らにも関わる非常に重大な問題だ。だから、それを確かめたいんだけど?」ということだ。その意味で、中国が「検証可能なものでなければならない」と言っているのは、全く正しい。


 最終報告書の発表を受けて、北朝鮮は全く異例の反応を見せた。20日には、北朝鮮は韓国に「検閲団」(「検証団」と意訳するのが適当と思うのだが)を派遣すると申し出た。この申し出は韓国側に拒否されたが、22日に再び派遣を申し出ている。ハンギョレ・サランバンによれば、韓国政府関係者は20日の申し出について「南北関係史で前例がないことであり、予想外の対応」とコメントしている。二度の申し出はそれ以上の異例さということになる。北朝鮮のふるまいがいつも通りだとしている人はこの点で正しくない。
 この「検閲団」は、韓国と北朝鮮の相互断絶の流れに呑まれて、一抹の泡として消えてしまったようだ。どんなにこれが受け入れがたい提案であっても、李明博政権は受け入れるべきだったろう。確かに当事者、それも加害者とみなされている立場の国家が、検証作業を行うというのは問題がないではない。しかし、もし北朝鮮「検閲団」が資料を歪曲し無罪を主張したとしても、それに反論すれば良いではないか。それが科学というものだろう。

 これはまた科学という手続きの場を借りて、北朝鮮を対話に参入させることができる絶好の機会でもあっただろう。断罪するが弁明の機会は与えないというのでは、北朝鮮を追いつめるだけである。


 合同調査団の構成について、各報道をまとめると韓国軍が主体であり、米海軍も加わっているようだ。アメリカのキャンベル国務次官補は、「アメリカも調査に積極的にかかわっており、その結論を強く支持する」と述べた。そのことが直ちに真実性を歪めるわけではないだろう。しかし中立性の観点から言うと疑問が残る。それにここにはもう一つの問題がある。
 韓国の参加は(与党に有利な政治的判断を下すかもしれないと言う疑いはあるにせよ)当然として、アメリカもまた合同調査団に関わっている。既に報道されているように、中国とロシアは独自に調査しており、結論をまだ出していない。となると六ヵ国協議関係国の中で、調査も無しに結論を出しているのは、北朝鮮を除けば、日本だけである。このことからも鳩山政権が、合同調査団の最終報告書を受けて、韓国政府に即座に全面支持を与えたのは早計であると言える。

 せめて日本も独自調査をすべきだった。そしてより良いと思われるのは、真に国際的な検証をおこなうように提唱することだ。ここで「国際的な」という意味は、合同調査団が自らを誇って主張しているような意味ではない。「様々な国家に所属している人が参加していること」ではなく、「国家にとらわれない」ということである。

 そのような場が設けられるならば、おそらく関係各国(今や日本もそこに含まれるのだが)にとっては、冷静さを取り戻す機会になるだろう。あらためて北朝鮮の関与が結論づけられたとしても、その過程で北朝鮮を外交的な交渉の場に引き出すことができるかもしれない。そして、これは哨戒艦沈没事件に対する、かなり理性的な回答ではないだろうか。
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by sea_of_sound_2008 | 2010-05-26 08:23 | 政治