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by sea_of_sound_2008
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鳩山由紀夫の天皇制――国民に祝意を強制する「臨時祝日法案」

 山口二郎はこう述べている。「鳩山(由紀夫)代表は改憲論者ですが、決して反動的な改憲構想を持っているわけではない」。だが、鳩山試案の天皇条項は、「天皇を元首」と規定している。これは自民党の「新憲法草案」にも、読売の「2004年試案」にもない規定である。そして、言うまでもなく大日本帝国憲法は、天皇を元首と規定していた。これが反動でなければ、最早何ものも反動ではない。

 また鳩山試案では、国民主権を確保する上で大切な「天皇の権能」を制限する第四条が削除されている。その理由について鳩山は「連合国向けの文言であり、今日においてはあまり意味がない」としている。

 この不用意な断定には、憲法研究会が作成した「憲法草案要綱」が有力な反論となる。敗戦から日本国憲法が成立するまでの数年の間に、幾つもの民間憲法が作成され公表された。高野岩三郎が音頭をとって設立された憲法研究会による「憲法草案要綱」では、「天皇ハ国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス」とされている。これは現在の第四条に近い条文だ。

 鳩山への反論の一つは、帝国憲法下における天皇制の暴走を体験した日本人の中から、自主的にこうした発想を持つ民間憲法が出て来ていたという事実である。しかも、GHQは憲法研究会の「憲法草案要綱」に大きな関心を示し、クリスマス休暇の時期に、ATIS(翻訳通訳部)に命じて翻訳を急がせている。英訳された「憲法草案要綱」を見たマイロ・ラウエル陸軍中佐は「民間の草案要綱を土台として、いくつかの点を修正し、連合国最高司令官が満足するような文書を作成することができるというのが、当時の私の意見でした」と述べている(古関彰一『日本国憲法の誕生』)。

 二つ目の反論は、憲法研究会には自由民権運動と繋がりの深い人物がいたことである。前述の高野岩三郎は自由民権の空気を吸って育った人だった。憲法研究会の要であった鈴木安蔵は治安維持法で大学を追われた後、憲法の研究や自由民権運動の研究を続け、特に私擬憲法を研究していた。鳩山は「私擬憲法のいくつかに目を通せば、往時の人々の情熱と苦悩がひしひしと伝わってくる」と、私擬憲法を高く評価している。ならば戦後の民間憲法、とりわけ自由民権運動の復権とも言える「憲法草案要綱」は尚更高く評価すべきである。

 しかし、こうした反論も鳩山には届かないだろうう。何故ならば、鳩山は「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」において来賓祝辞として次のように述べているからだ。

 天皇陛下御即位二十年奉祝をお祝いする議員連盟ができますが、私もその一員として、積極的に参画することをお誓い申し上げます。特に記念事業の中で来年の十一月十二日を臨時休日にしたいということでございますので、政治家としてその実現のためにがんばりたいと思います。

 改めて申し上げるまでもありませんが、天皇陛下はまさに日本の尊厳そのものだと思っております。災害の時に天皇皇后両陛下がご巡幸されることによって、多くの方々の心が安心できたわけでございます。さらには今、町村官房長官からもお話がありましたが、海外からの賓客のご接遇、或いは外国ご訪問を大変積極的にお努めになっておられます。このことも日本の尊厳を大変高からしめていると確信いたします。

 ただ残念なことに、国賓の接遇、或いは外国訪問は、憲法の中の国事行為には記されておりません。私はでき得るならば憲法改正の議論の中でこのようなことも国事行為として謳われるべきではないかと申し上げたいと思います。

 また、これはまだ民主党のなかで議論を深めたわけではございませんが、数年前に私自身の憲法私案の中で書かせて頂いたように「日本国は国民統合の象徴である天皇を元首とする民主主義国家である」と謳うべきではないかと思っております。自民党と民主党、お互いの損得を超えて、日本の未来のために果たすべき役割として、皆様方とともにこの国の繁栄に尽くして参りたく思います。

引用元:http://housyuku20.blog115.fc2.com/blog-entry-6.html

 つまり鳩山にとって第四条を削除する本当の理由は、天皇を「元首」と規定した上で、その政治的役割を強化することにある。象徴天皇制が維持されるとしても、その内実は変容し、固定化され強化される。繰り返すがこれは復古的であり、反動的である。鳩山が個人的に「まさに日本の尊厳そのもの」として天皇の在位20年を祝うのは自由である。しかし天皇在位20年を臨時の祝日とする法案には問題がある。

 憲法第一条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とある。ここで述べられているのは「天皇の地位」とその根拠である。「国民の総意」があって「日本国民統合の象徴」という「天皇の地位」があるのであって、その逆ではない。しかし、「臨時祝日法」は、この関係を逆転してしまう。「天皇の地位」の為に「国民の総意」を要求する。

 日本会議系のブログである「草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN」によれば、「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」には、自民・民主を始めとする議員が超党派で参加し、天皇在位20年を臨時の祝日とする法案を成立させることで一致しているという。

 平成二十年を迎え、いよいよ天皇陛下御即位二十年奉祝運動が始まりました。

 まず、六月3日午後、国会図書館の会議室にて「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」の第一回世話人会が開催されました。

 自民党の島村宜伸、中山成彬、坂本剛二、船田元、臼井日出男、二階俊博、藤井孝男、鴻池祥肇各議員、民主党の鳩山由紀夫、渡辺秀央各議員、公明党の石田祝稔議員、国民新党の自見正三郎議員、そして無所属の平沼赳夫議員らが集まり、人事案と運動方針が協議されました。(参加議員はほかにもいらっしゃいます)

 まず人事案については、世話人会の総意として、森喜朗元総理を会長に推挙することを決定するとともに、世話人会代表には島村宜伸議員が就任しました。

 さらに具体的な奉祝行事の推進については実行委員会を組織し、実行委員長には平沼赳夫議員が、事務局長には衛藤晟一議員がそれぞれ就任することが決定しました。

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 運動方針についても協議され、次の五つが決議されました。

一、平成二十一年の「即位礼正殿の儀の行われた日」(平成二十一年十一月十二日)を臨時休日とする法律を早急に成立させる。
 ……
 設立総会では、日本青年会議所の小田会頭の司会のもと、町村官房長官、伊吹自民党幹事長、鳩山民主党幹事長や、日本商工会議所の山口名誉会頭、日本サッカー協会の川渕会長、女優の浅野温子さんらが祝辞を述べました。(祝辞の詳細は、『日本の息吹』で紹介の予定です)

引用元:http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-1507.html

また産経新聞によれば、この議連には小沢一郎も参加しているという。

 先の通常国会で廃案となった114本の法案の一つに「臨時祝日法案」がある。天皇陛下のご即位20年を記念し、国民こぞって祝うために今年11月12日を休日にするという内容だ。法案を推進してきた奉祝国会議員連盟には453人もの衆参両院議員が加盟し、民主党からも代表、鳩山由紀夫は副会長、代表代行の小沢一郎は顧問としてそれぞれ役員に名を連ねた。

 にもかかわらず、法案は葬り去られた。党内の国家観をめぐる路線対立を露見させたくないとの民主党の事情に振り回されたのだ。

引用元:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090805/stt0908050014000-n1.htm (魚拓)

 自民党と民主党の大連立は、既にこうした議連の形で現実化している。しかし、この法案は憲法に照らして問題のある悪法である。国民に祝意を強制するこの法案は廃止されなければならない。
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by sea_of_sound_2008 | 2009-08-29 19:46 | 政治