公平な選挙制度を!


by sea_of_sound_2008
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

俵義文『「つくる会」分裂と歴史偽造の深層――正念場の歴史教科書問題』

c0187090_230185.jpg 2006年4月の「つくる会」分裂劇を中心に、改悪教育基本法、沖縄集団自決の軍強制の有無、大江健三郎氏への名誉毀損裁判、教科書検定制度への批判まで縦横に論じたドキュメンタリー風の読み物である。この一冊で国内の歴修正主義団体のここ数年の動向がある程度まで知られよう。

 著者自身も書いているように、「つくる会」の分裂劇はエゴとエゴの相克であり「醜い」。だが、そのあくどさの中にこんな笑える一挿話を発見したことは、私にとっては愉快な事実であった。
 ……南京事件の犠牲者・証言者の李秀英らを「ニセ者」と書き、李秀英が名誉毀損で提訴し、東京地裁、東京高裁、最高裁ですべて勝訴した、松村俊夫著『「南京虐殺」への大疑問』(展転社、九十八年)の場合、東京高裁に出された証拠によれば、実売部数は一八〇〇冊であった。

 しかし、本書を貫いているのは、あくまでも「歴史歪曲運動」への危機意識である。著者は、おそらく「つくる会」分裂とともにそうした動きが雲散霧消してゆくのではないかという希望的観測への警鐘を込めて次のように書く。

 ……繰り返しになるが、分裂・抗争で歴史を歪曲する右派の力が弱まるとは限らず、逆に競い合って影響力が広がることもある。事実、沖縄戦教科書検定問題では両者が競い合って集会を開催している。私たちは、引き続き「つくる会」・「再生機構」・「教科書改善の会」などの運動に対抗する活動を強める必要があろう。

 ……この「まとめ」[引用者注:改悪教育基本法に基づく学習指導要領改訂の「審議のまとめ」]がそのまま新学習指導要領になれば、教育や教科書は大変な状況になることが危惧される。教科書は学習指導要領にもとづいて編集し、検定基準の中心は学習指導要領である。もし、そうなれば社会科教科書はすべて現行の「つくる会」教科書のような内容になってしまいかねない。

 こうした危機意識にこそ、この本のもう一つの意義があるのである。それは「正念場の歴史教科書問題」という副題にも現れている。


■ 関連リンク
・俵のホームページ
http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/index.html
・子どもと教科書全国ネット21
http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/top_f.htm
[PR]
by sea_of_sound_2008 | 2008-12-18 23:02 | 書籍